帰国します | まなちゃんを救う会

帰国します

10月5日 私たち家族を支えてくださっている多くの皆様、いつも本当にありがとうございます。



これまでお伝えしてきましたとおり、私たちの娘、愛は、昨年12月に特発性(原因不明の意)拡張型心筋症と診断され、心臓移植しか生き延びる手立てはないと宣告されました。アメリカで心臓移植を受けるためには、1億3600万円もの資金が必要であることから、両親の知人・友人が中心になって「救う会」を立ち上げてくださり、募金活動を開始いたしましたところ、皆様の厚いご支援のおかげで、驚くべきスピードで目標を達成し、予想よりも1ヶ月以上も早く渡米することができました。



ロマリンダにて、内科的療法を続けながらドナーが現れるのを待機し始めてから1ヵ月半を過ぎたころ、ドクターより移植の順番が次ぐらいにくると告げられました。

「あと少し、心臓よ突然止まらないでくれ!」と祈りを強めた翌々日の検診で、「心臓を肥大させている原因がわかるかも知れないので、至急冠動脈造影の検査をさせてください」と主治医から告げられました。日本では、「とても危険な検査なので、渡航前に必要がないものは無理にやりません」と言われていたのでびっくりしましたが、「移植を直前に控えて、移植の必要性がないと疑われる場合は、その可能性が低くとも必要な検査は行ないます」と言われ、翌日早速検査が行なわれました。

「冠動脈異常の可能性は、5%もないと思いますよ・・・検査は念のためです」と言われて、処置室に連れて行かれる愛を見送ってから数時間後、冠動脈造影を行なってくださったドクターが、私たちの前に愛の心臓の写真を手に興奮して現れました。
「ALCAPA(アルキャパ=左冠動脈肺動脈起始症)です。この修復手術を行なえば、移植をしなくてもすむかもしれません。」
こう告げるドクターに、移植しかないとずっと考えていた私たちは激しく動揺しました。
「娘さんの心臓は、すでに相当ダメージを受けている。ALCAPAの修復を行なっても完治するかどうかはわからないが、治る可能性は高いと思う。ぜひトライしてください。」こう説得するドクターに、日本の主治医にも相談してから返答するとして、その日は愛の側で必死に日本と連絡を取りました。日本の主治医をはじめ、相談した人全員が、修復手術を受けるべきだと強く勧めてくださったので、私たちは手術を行なう決心をいたしました。
「乳児の冠動脈は非常に細く、手術はとても繊細なものになる。」

一般論でもそう言う状況なのに、写真でみる限り、愛の冠動脈は非常に発見しづらいところで肺動脈とつながっていたことから、実際に修復できるかどうかは開胸してみないとわからないと言われましたので、手術が終わるのをとても緊張して待ちました。約4時間後、手術が終わったとの連絡が入りました。もっと掛かると言われていたので、ちょっと不安になりながら、ICUに向かいました。手術に立ち会ったドクターより、「手術は成功した。1週間もすれば退院できる。来月(7月)末には帰国できるよ。」と告げられ、私たちは嬉しさのあまりこみ上げてくる涙を止めることはできませんでした。


しかし、喜びもつかの間、1週間経っても2週間経っても愛の心機能は思ったほど良くなってきません。愛の心機能がようやくわずかながら回復に向かったのは術後1ヶ月が過ぎてからのことでした。しかし、これ以上入院を続けると予算がなくなってしまいます。ICUは1泊するだけで100万円がとんでいきます。万が一やはり移植が必要になったら・・・そう考えると、早く退院できないかと気が気でなくなりました。ドクターと交渉の末、ミルリノン(強心作用の強い点滴薬)を止めるわけには行かないが、自宅で両親がきちんと管理できるなら退院させて見ましょうということになりました。ロマリンダでは、このミルリノンを使用しながら退院させるのは、小児でははじめての試みだそうでしたので、ホームナースをつけるなど、ドクターもかなり慎重に通院スケジュールをたててくださいました。こうして7月17日に41日ぶりに3人揃っての帰宅となりました。


その後、順調にミルリノンの投与量は減少し、8月6日に点滴ラインがとれました。心機能の回復には栄養が必要不可欠ということですが、愛は経口摂取できないのでNGチューブ(鼻から胃に通す栄養管)で栄養剤を投与し続けたところ、体重が増加を始めました。その後も長期的に栄養剤の投与が必要との判断からGチューブ(胃にお腹から直接穴をあけて通す栄養管)を設置する手術を行ないました。ALCAPAの手術から4ヶ月近くが経ち、ようやく渡航にも耐えうるほど心機能が回復してきたことにより、10月2日にGチューブをより簡易なものに取り替えた後、帰国の日程を調整するよう指示されました。ロマリンダ側でも私たちの滞在コストが安く済むよう考慮してくださっていました。


現在、私たちは帰国の飛行機の中で付き添っていただくドクターとスケジュールの調整を始めております。完全に移植の必要性が回避されたわけではありませんが、きっと回復すると信じて、家族3人笑顔で帰国いたします。こうして家族3人再び日本の土を踏める日が間近に迫ってきたことを日本や世界各地で支援してくださった皆様にご報告できることを感謝しつつ、今後とも引き続き愛の回復を応援してくださいますようお願い申し上げます。


光一・玲子