第12話
「お帰りなさい…ハザマツヨシさん…」複雑な笑みを浮かべたハインが言う。
「君は…誰だい??」ハインを見るなりの疑問である。
「私、ハインと申しまして、魔人をさせて頂いております、ハザマさんが握っています黒刀鶉丸に封印されていました」一番最初のせりふと同じである。
「ふぅんそうなんだ…」アイダに感動は無い。
「あ…どうでもいいけどアイダって呼んでよ、気に入ってるから…はは」どこまでもマイペースだ。
「お前…ほんとにアイダだよな??」ケンジが唐突に聞く。
「うん…心配した…?」茶目っ気たっぷりのまなざしを向けると、
「このヤロー!!!どんだけ皆が心配したと思ってんだよ!!」ケンジの目には涙が浮かんでいる。
「で、皆さんお喜びの所申し訳ありませんが…話しておかなければならない事があるんです…」ハインは深刻な表情だ。
「世界が不幸になるって言うあれかい??」イシが反応した。
というのも、現実に目の前で人間が生き返ったのだから『不幸』に関しての興味や不安、信憑性などが爆発寸前であった。
「ええ…私、魔人をさせていただいてると言いましたね…」話の前置きの段階だがアイダだけはついていけてない。
「アイダ、お前には後で説明するからちょっと黙って待っとけ」ケンジが釘をさす。
「ボクだけ仲間ハズレかよぅ…」不機嫌な声を出しはしたが手にした黒刀を見つめたり微かに光にしながら一人遊びをし始めた。
「で…」ユミが身を乗り出して聞く体制になる。
「はい、実は魔人は私一人じゃないんです…」
ゴクリ…生唾を飲み込む。
「私と対になる魔人がいまして…私が何らかの願いを叶えると、その魔人の封印も解けてしまうんです」
「その魔人が何か不幸を起こすって言うんだね?」イシが切り返す。
「はい…私は与える魔人なんです…願いを叶えて不思議な力を授ける魔人なんです…」
「え…じゃぁその対の魔人は…?」
「はい…この世界から私が叶えた願いの対価を奪っていきます…」
「え・・・」アイダ以外の三人の言葉が詰まった。
対価…どうやら話のキーワードらしい。
願いはアイダの命だった…対価とは…。