日曜スペシャル 56歳パパの「子育て宝石箱」⑤
「離乳食はいつから?」
離乳食はいつから始めるのがいいのだろうか?
育児書を見るとバラバラだ。
「2~3か月から果汁を飲ませ、4~5か月はスープ状のものでゴックン期」
というのがあるかと思うと、
「5か月は早すぎる。せめて6か月くらいたってから」
という本もある。
なんでこんなバラバラなの!?
調べてみると、どうやらアメリカの影響で日本の方針がコロコロ変わったことが原因のようだ。
離乳食開始時期の歴史
50年くらい前まで、日本では「1歳くらいから離乳食」が普通だった。
ところが、「離乳食は早いうちから」とした「スポック博士の育児書」というアメリカの本の翻訳本が1966年に発行され、日本の知識層の間で大評判に。
1980年には母子手帳でも、スポック式育児を導入。
「生後4か月くらいから離乳食を開始しよう!」ということになった。
そうすればアメリカ人みたいに大きくなれる、と思ったのかも?
(後に訂正され「5か月から」になった)
同じころアメリカでは、ハチミツを食べた赤ちゃんが突然死亡するという事故が各地で起こった。
早すぎる離乳食は赤ちゃんの腸では消化できないと、「スポック博士の育児書」は否定されてしまったのだ。
ところが、日本ではそのまま「4か月で離乳食」が定着。
本家のアメリカで否定されていたのに・・・
ちなみに、ちょうどこのころからアトピーが増えたという。
2001年、アメリカの小児学会はとうとう「母乳栄養児には6ヶ月前に果汁などを決して与えてはならない」と禁止勧告した。
日本では遅れること6年、2007年に母子手帳をようやく改訂。
離乳食の開始時期は「5,6か月」となり、それまであった「離乳前に果汁を飲ませる」という部分は削除された。
一気に「6か月」にならなかったのが、日本のお役所っぽい!?
今では多くの国で「6か月」が採用されており、日本でも近い将来「6か月」になるんじゃないかな?
うちはどうしたかというと、離乳食開始は9か月ごろ。
太晴が食べ物を欲しがるようになり、「早く食わせろ!」というプレッシャーを感じたタイミングでスタートした。
西原式の影響もあったので、遅いのはあまり気にならなかった。
西原式って知ってます?
「2歳半まで母乳とミルクだけでいい!」
という大胆な育児法だけど、これが説得力あるのだ。
かいつまんで説明すると・・・
・赤ちゃんの腸が完成するのは2歳から2歳半。
・それまでは腸壁の目が粗いので、離乳食を食べると、消化されない腸内の悪玉菌(大腸菌など)まで吸収してしまう。
・白血球に乗って体中に悪玉菌がばらまかれると、細胞内感染がおきる。
・皮膚にでた細胞内感染はアトピー、気管支にでたらぜん息、耳にでたら中耳炎などさまざまな病気の原因になる。
うーん、かなり論理的だ。
それにこの人、東大医学部大学院を出て、東大付属病院で臨床をやりながら研究していた人。
ぼくは、東大医学部と言われると、無条件に「へ、へー、参りました」と頭を下げてしまう癖がある。
この西原式を知って思い出したのが、人間はすべて未熟児で生まれてくるという話。
人間は二足歩行するようになってから、骨盤が変化し産道が狭くなった。
だから頭がまだ小さいうちに、未熟児のままで生まれるしか方法がなかった。哺乳類の常識で言えば、人間の赤ちゃんはすべて未熟児だという。
つまり、本来だったら母親のお腹の中にもっと長く、1年半とか2年いたかもしれない。
出産の直後、ウマみたいにすぐ歩き出したかもしれない。
だとしたら、しばらくの間ミルクだけで大丈夫、という説も納得できる。
それに、ネットで評判になっているわりには、西原式はクレームが少ない。
「2歳半まで母乳とミルクだけでいい!」というのは、かなり斬新すぎる育児法なので、もっと批判があるのでは?と思っていたのに・・・
ということは、実際に実践してみて満足した人が多いのかもしれない。
(ネットでは、西原式の一部だけ採用して自己流の子育てをしている人の体験談が、よくヒットした)
ところが先週も書いたけれど、昨年のWHO発表では、英国の科学者がこんなことも言っている。
「母乳のみを与えられた赤ちゃんは鉄分不足に陥り、アレルギー症状を引き起こしやすくなる危険性があるという。生後4か月ごろから離乳させて固形物を食べさせても良い場合がある」
もうー!今まで言ってきたことと真逆じゃない!
コロコロ変わりすぎ!
それに「良い場合がある」なんて言われても、そうでない場合もあるわけで、どうしていいか、ますますワケがわからなくなる。
でもわかってほしい。
育児についてマジメに調べて書くと、どうしてもこうなってしまうのだ。
普通の育児本だと「結論」をしっかり出さないといけないので、書いた人の考えにあわない情報は、削除してしまう。
結論がないと、説得力に欠けるので本は売れないのだ。
「子育て宝石箱」は、「結論」はあえて出さない。
(だって、そんなの誰にもわからないんだもん)
重要な情報、役立ちそうな情報を厳選するので、その中からあなたの子にとっての「宝石」を見つけてほしい。