10月5日(水)、国防部会・安全保障調査会合同会議が開催されました。議題は、主に、北朝鮮による度重なる核実験・ミサイル発射を踏まえた、弾道ミサイル防衛の現状と課題について。

 

政府としては、過去5回に及ぶ核実験を通じ、技術的な成熟がみられることから、北朝鮮の核兵器開発が相当に進んでいる可能性もあると考えている。

 

実際、2006年に行った最初の核実験に比べ、2016年9月の核実験では、想定される出力が、12~22倍になっている。

 

また、威力だけではなく、小型化・弾頭化も進んでいると考えられる。この点については、北朝鮮側が「新たに研究、制作した核弾頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた」と発表していることからも推察できる。

 

核兵器開発が進展しているとみられる北朝鮮は、同時並行的にミサイル開発も意欲的に進めている。

 

例えば、配備済の弾道ミサイルの技術的信頼性については、本年9月5日に、3発の弾道ミサイルを発射した事案からも、向上していることが見て取れる。

 

また、長射程の弾道ミサイルの技術的信頼性についても、先月、新型静止衛星運搬ロケット用大出力エンジンの地上燃焼実験を行っていることなどから、着実に進歩していることが分かる。

 

そして、打撃能力の多様化と残存性の向上についても、発射台付き車両(TEL)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を繰り返していることからも、熱心に取り組んでいることが分かる。

 

さらに、北朝鮮は発射形態の多様化にも努めており、今年の8月には、一般論として迎撃がより困難になると考えられているロフテッド軌道による発射を行っている。

 

こうした動向を受け、わが国もミサイル防衛システムの一層の強化に努めている。

 

例えば、現中期防中には、現有している2隻のイージス艦の能力向上を図り、更に2隻のイージス艦を新造することで、平成33年度頃には弾道ミサイル防衛能力を有するイージス艦が8隻となり、対処能力が向上する見込みである。

 

また、固定式警戒管制レーダーの能力向上にも努めており、来年度中には、山口県の見島分屯基地のレーダーが新しいものへと換装される見込みである。これにより、警戒監視能力も向上が期待される。

 

北朝鮮の核・弾道ミサイルによる脅威は、着実に高まっている。国民の生命と財産を守るためには、現行法の限界と向き合い、必要な議論と可能な限りの対応を早くすべきだ。

 

例えば、現行の破壊措置命令では、解釈上、領空を犯したり、領土・領海に着弾する場合にしか対応できない、とされる。こうした、いわば現行法の「穴」は早期に埋めていくべきであろう。そのために、佐藤も微力の限りを尽くしていきたい。

 

佐藤学校仮入校