7月4日 日本飛行機(株)横浜本社・工場を見学させていただきました。

最近はNIPPIの愛称で知られていますが、昭和9年(1934年)に海軍用航空機の製造を目的に創業された歴史と伝統と技術のある会社です。戦中は秋水、赤とんぼなどを量産。戦後は在日米海軍航空機の修理をはじめ、自衛隊の戦闘機の主要部品を製造しています。



機械よりも精巧な金属加工をする「現代の名工」に認定された職人さんもいます。


佐藤正久オフィシャルブログ ”守るべき人がいる”

NIPPI売り上げの内訳について、防衛部門の売り上げは減少傾向、米軍関係は横ばい。代わりにBOEING777AIRBUS380など民間機部門が伸びています。

実際に工場を見学すると、民間機部門は24時間体制で活気もあります。



防衛部門の売上減少傾向は他の企業でも同じ状況にあります。売り上げが伸びなければ防衛部門から撤退する企業も出てきます。実際にF-2戦闘機のレドームを生産していた企業は撤退し、主翼の複合材の供給をしている企業は辞めたいと言っています。


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US-2など新型機の部品製造も受注していますが、2年に1機程度しか発注がないと、工場のライン変更、人員配置計画、治具の保管などあらゆる面で大きなロスが発生します。

防衛相はこういうロスは面倒みてくれないので、設備投資も人事育成も研究開発も全て企業が負担するわけですが、この負担が大きくなると、企業は防衛部門での事業意欲を減少させてしまいます。



米軍は、日本と韓国に基地があり駐留しています。そこには航空機があります。

定期修理などわざわざアメリカに持って帰るより、日本や韓国でやったほうが経済的で効率的です。米軍機定期修理がもし国際入札にかけられたら、現在、設備と技術で対応できるのは日本と韓国しかないでしょう。



韓国は、在韓米軍航空機の修理に対し韓国企業に9割の助成金を付けているそうです。

日本は、在日米軍に対して地代や日本人労働者の人件費などを「思いやり予算」で支援していますが、戦略的には韓国のやり方の方が産業育成と技術向上に貢献します。

日本は昨年末にようやく「武器輸出三原則の緩和」の方針を打ち出しました。わが国も自国の利益に資する戦略の見直しが必要です。


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現場を見学させていただき、経営者からお話を伺うことで、現状を課題を掌握することができました。早野社長、大山社長をはじめご案内をいただいた皆様に感謝申し上げます。

機会があれば多くの企業の現場も見学させていただきたいと思います。