多読書評ブロガー石井です。

また書映のない本になってしまいますが、西洋哲学でなしえなかった「感性」を中心に据えた独自の哲学体系を構築した日本の哲学者がいるという話を耳にして手に取った本です。

哲学というと難しそうな気もしますが、行徳哲男さんという方との対談形式になっているので読みやすい本です。

「感性が命の本質」であり「存在は共存的な世界」だという観点から、感性を「分離」的な理性とは違う「統合」する概念として捉えられています。

昨日レポートしたクエストカフェでは、愛は対象が必要なのに対して、喜びは主客を分けない一体的なものだという話がありました。「感性」というものもそれと似た共有できる感覚としてあるものなのかと感じます。

分離という機能のある理性に対して、感性は統合する。

抜き書きまとめからのキーフレーズの抜粋です。

・感性はひとつひとつの細胞に、その本質として全部存在していて、それが皆いっしょに同時に統一的統合的に働きます
・理性の働きをパッとやめたとたんに、感性の統一作用、調和作用、合理作用が芽をふき出してきます

・真実は必ず矛盾を内包している
・人間は自分の中に醜いものがあるから美しくなろうと努力する

・対象と一体になったとき心自ら躍動する
・命を賭けたとき、命は生き生きとしてくる

相当熱い本です。以下、抜き書き引用まとめです。


■感性論哲学

感性が命の本質である

■生き方の基本

自らの決断に基づいて自分自身の肉体を支配し、動かすという自由律に尽きる

報いを求めない、責任を転嫁しないということ

■報いを求めざる

報いを求めると他人の思惑によって自分の心が支配され、外からの圧力によって因果律が動かされて自由を失います

■責任を転嫁しない

他人のせいにするのは、結局自分自身が意志と決断をする能力のない人間だということを行動によって示すことになる

■哲学

そのためなら死ねるというものをもたなければ哲学は出てきません

死を恐れている限り、あるいは死を拒否している限り、哲学は生まれてきません

■真剣

真剣になればなるほど明るくなります

真剣と深刻は違います

■理性という能力の自己実現

へーゲルにおいて完結

へーゲルが死んだのが1831年

■理性では解決できないような問題

1850年ぐらいになると、理性では解決できないような問題がいっぺんに噴き出してきます

戦争、対立、疎外、公害、無気力、権利の主張

■共存的な世界

自分があることによって右と左ができてくるわけですから、存在は共存的な世界です。

対立すべきものではなくて、ともに存在を支えあっている

■アイデンティティ

感性:求心(悟り)

理性:遠心(迷い)

■不安が感性になる

エイリッヒ・フロム

不安があるから人間はときめく

不安こそ人間を進歩させる原動力

■禅

禅こそ実存主義の神髄

「自分自身を知れ」ソクラテス

禅は知や理の行き詰まりを悟らせる世界

■憎しみ

憎しみは理性的感情で、愛こそ根源的な感性の力

■バク直法

まっしぐらに一直線に抜けろ

逃げるな、そのものになりきってしまえ

頭を使ったら絶対にそのものになりきれません

■感性こそ統合であり、帰一

感性は浸りきれる世界

★対象と一体になったとき心自ら躍動する

■真実は無限

「真理はひとつ」は西洋的な概念

■人間の真髄

人間の真髄が見えるのは感じたときだけ

■理性

理性の力を使わなければ感性の重要性とか、感じ方において対象と合一するという世界に人間を導いていくことはできません

■沢庵

武蔵を野獣のままで徹底的にしごきあげた

■イデオロギー

人間を自由にしたり幸せにするどころか、人間を不幸にし、がんじがらめにしてしまいます

■すべて違う

すべて違うということを自分が知るのは対立によって知る

■本当の力強き善

相手の思うとおりにはなりません

自分がこうだと思うことを相手にしてやります

自分が責任を持てる行動をする

■感情をさらけ出したとき

すべてが収束される

■夫婦喧嘩

子供の感性は年中揺さぶられる

感性を鈍らせなくてすむ

■悪の存在の積極的意味

悪があるがゆえに、われわれはなにが善かを知ることができる

■悪から入る

悪を知らない善人は真実に対して盲

■悪は

善を生み出すためのエネルギー

■そのために命を捨てられるか

悪もできるかどうかということを聞くようなもの

本当に悪いことをすることができるという腹のない人間は本当にいいこともできません

■ディフェンシブなメカニズム

感性をゆがめるもの



人に見せる自分をつくりすぎている

■人がわかるということ

自分で自分がわかるということ

■感情を感性のレベルにもっていくには

自分のディフェンシブなものを割ることしかありません

■三つの作用が感性の本質

統一作用

合理作用

調和作用

感性は常に自分自身を統一的、調和的、合理的な作用としてすべてのものをコントロールする主体として自分を保持していかなければなりません

■合理作用

理性は感性の合理作用の代わり

非常に頑固な殻

理性の働きをパッとやめたとたんに、感性の統一作用、調和作用、合理作用が芽をふき出してきます

■眉間の後ろになにがあるか



人と相対したときに眉間の後ろになにがあるか見抜けという教え

まったく白紙で臨むとわかります

固定観念があったら本当の姿は見えない

■皆いっしょに同時に統一的統合的に

感性はひとつひとつの細胞に、その本質として全部存在していて、それが皆いっしょに同時に統一的統合的に働きます

■エネルギー

人間と人間が出会って感性がお互いに機能し合うことでエネルギーが出てきます

人間とは人の間と書きます

■感性を能動的に使う

自分の心を本当に満たしてくれるものを、肉体を動かして行動的に求めていくということ

■自分の力で創り出そうと努力すること

心を満足させるものが外の世界になかったら自分の理性を使って心を満たすものを自分の力で創り出そうと努力すること

■真実は

真実は必ず矛盾を内包している

人間は自分の中に醜いものがあるから美しくなろうと努力する

真を求めるのは偽が存在するから

■命を賭けたとき

命を賭けたとき、命は生き生きとしてくる

■事を成すための究極の問いかけ

俺はこのために死ねるだろうか



最後は相当熱いです。身体論、人間論大好きな方にオススメします。




【本日の紹介書籍】

いま、感性は力―感性を哲学する (致知選書)
行徳 哲男 芳村 思風
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5 「いま」「ここ」が大事!!

【関連エントリー】

■書評■
「考えない練習」小山龍之介
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「ナイト~脱げなかった鎧の秘密」
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■セミナーレポート・体験記■
「降りていく生き方」対話会
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【編集後記】
最近ふと仏像コーナーに行ってみたくなって2,3日、仏像の本を眺めていたのですが、半分以上の本の表紙が、「赤ら顔の少年の顔を持つ」興福寺の阿修羅像なんですね。

これも結局、感性が共鳴しあった結果なのでしょうか・・・

多読書評ブロガーの石井でした。

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