多読書表ブロガーの石井です。
日経ビジネス副編集長の金田さんを招いて、プロデューサーの森田さんとのトークセッションと映画のメーキング映像を見る「プレ上映会」に参加しました。
今回は、登りたい意識をまだ持っている自分と、降りていくという生き方に共感する自分との折り合いをつける道が探せればというのが参加動機でした。
その思いが解消できた上に、金田さんという日経ビジネスの敏腕記者の取材や文章についての考え方などにもふれることが出来、一粒で数度おいしい会でした。
<今回の学びポイント>
・登山は登るのと降りるのがセット
・自分の感じた思いが原点
・中立性とは、自分の意見をしっかり表明するところから始まる
・日経ビジネス副編集長金田さんの取材観・文章観
・人間は組織に入るから弱くなる(役人・J○○)
■登山は、登るのと降りるのがセット
武田鉄矢の言葉「登るだけだったら遭難になります」と言う言葉が印象に残りました。
通常、登山とは「登ること」にフォーカスが行きますが、実は登りっぱなしという登山はなくて、登ったら降りなければ登山は完了しません。
人それぞれ登っている山があって、それは違うものなんだけど、降りてきて自分の登った山について語り合える。
登りっぱなしではなくて、実は降りて語り合う仲間がいることにこそ意義があります。
■日経ビジネスについて
日経ビジネスは、マクロフィル社と合同開発した比較的新しいビジネス雑誌だということを始めて知りました。
また、雑誌の名前につけられたビジネスという単語は「ビジネスウィーク」からもらったものだとのこと。
当時部長以上でなければ読めない、直販のみではじまり、現在も99%直販で売られています。
巻頭特集15~20ページの特集には3ヶ月位かけられているとのこと
■金田さんの文章観
自分がその場所に行って五感で感じたもの、それを読者に伝えるために、現場のにおいを伝える、リズム感が伝わるような文章を心がけているとのこと。
それは実際、今回配られたオバマ大統領の生い立ちを語るために、インドネシア・ケニアまで取材に行った経験を生かした文章に現れています。
例)
「コミュニティー開発プロジェクト」
小さな看板には、青いペンキでそう書かれていた。
二十数年前、ここでオバマは、年棒1万ドルで働き始めた。
扉を開けると、カビの匂いが鼻を突く。薄暗い廊下の先には、仕切られた空間があり、机の上には書類が積み上げられている。
例)
成功と失敗を繰り返しながら、オバマはある手法にたどり着く。
相手の話ばかり聞こうとするのではなく、まず自分の過去を語るのだ。黒人と白人の子供として生まれた苦しみ、インドネシアで過ごした日々、体験した人種問題・・・。すると、人々は自らの体験を語り始める。そこに共通する憤りや苦悩が見えてくる。心がつながる瞬間とでも言おうか。
文章力がさすがにすごいですと言ってしまえばそれまでなのですが、こういったビジネス書という枠にとどまらない情景描写の妙まで、なぜ金田さんは表現できるのでしょうか。
■「テレビはなぜつまらなくなったのか」
「男たちの大和」のファンドを日経ビジネスの話をしに行った時に、日経ビジネスで一番の記者として紹介されたのが金田さんでした。
著書「テレビはなぜ、つまらなくなったのか」は、ジャニー北川の写真などテレビを知っている人なら書けないような内容が記述されています。
あえて、主戦場の経済ではなく、テレビという既存の金田さんのフレームワークが直接適応できない、逆を返せば、素の状態で見れる題材を元に、テレビをつけても面白いものがない、没頭できるものがないという思いを原点として書かれたものとのことです。
■原点は自分自身の感じた思い
資料として配られた日経ビジネスの取材記事についても、「なんでオバマのスピーチを聞くと心を揺さぶられるのか?」という思いが原点となっています。
「自分が感じていることがなんなのだろうかということを、調べて読者にも体感してもらいたい」
「考えるための一つの材料にしてもらうには、何か一つでも心が動かされる、心に残るものがあってほしいと思って記事を作る」
関係ないと思っていたことが、記事を読むと「ハッ」とさせられる
そんな記事を書くように心がけているとのこと。
■行き当たりばったりの取材だから出来ること
オバマの出た学校も分からない状態でインドネシアに降り立ち、そこから段々と協力者を増やしていって、校長から名簿をもらって、実家も教えてもらって・・・というように取材を進められたそうです。
あえて下準備しないことで、お兄さんに実家も見せてもらうなど、相対でどこまでやれるか現場で交渉できるとのこと。
■降りてゆく生き方の経緯
当初は堺屋太一さん著の「エキスペリエンツ7」を映画化しようというところから始まりました。
社会派エンターテイメンツを作りたかったが苦戦。
そこで、町のひとへ取材をするところから「降りてゆく生き方」の歯車ががまわりだしていきます。
■200人の町の人への取材記録「夢縁」
「改革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから始まる」の著者の清水義晴さんへのインタビューから始まる「夢縁」という映像は相当良かったです。
取材と編集を担当されたカメラマンの方が「本編より良い」とおっしゃっていました^^
清水義晴さんは、「新潟を日本一の福祉社会にしたい」という言葉を聞いて、「命を懸けてもやりたいテーマを発見できた」と瞳に涙を潤ませます。
多くの街作りに奔走した人や、熊の住める森を守ろうという活動をされている森山さんという方など多くの方の取材VTRからの名言が納められています。
日本熊森協会の森山まり子さんという方は、自然に生かされているという感覚を失った都会のエリートと呼ばれる人たちから、活動を意義を認めてもらえなくても、熊の生態を守りたいという自分たちの感じた感覚について「地球上で人類が滅びないように神様がくれた感性」だと言って大切なことを守ろうと活動されています。
また印象的だったのは、自然農法での卵作りをひたすら幸せそうに語る宮尾浩史さんの笑顔も印象的でした。
■山田さんの取材スタイル
自分もしゃべるし、相手もしゃべる。
いろんな人から話を聞いて、共通点を探していく。
自分が何をというよりは、相手が何をしゃべりたいかが分かるまで、いろんなことをしゃべって相手の核が何かを探る。
■1700人のオーディション
あるお母さんの車いすの理由を森田さんが尋ねたことから、森田さんも監督も、そこにはオークションに来てくれた1700通りの人生があるということに気づいてしまいます。
そして、下されたオーディションの結果は「全員合格」。
助監督さん以下の方は大変だったとのこと。
■場面があって、やりたいことが見つかる
やらざるをえないような思いにかられることがある
■出版界
伝えたいことが伝えたい人に伝わらない?
■夢縁
取材した人たちへの恩返し
■思い
右肩上がりの経済成長の後の話をしたい
■大学卒業間際の人の思い
価値の基準というのが何かあるような、比べてしまうような、打算してしまうような、そうじゃない
その人の中の価値
■JAL
高学歴な人が集まっているが、本来運送会社だから安全に飛ばせれば良いだけの会社
ブレーンを張れる人達がやることと言えば権力闘争
■今の子供を見て感じること
・感じる力がなくなってきている
・つながりをつくる力がなくなってきている
・愛されていた(いる)という思いを持っていない
受験に求められているのは理性
理性は、人との差異を見つけ、人を拒絶してしまう
■大企業に行く人
社会はおかしい、就活もおかしい
何が正しいかと考えると余計迷走する
抑えがたい何かがあって、それを抑えながらやろうとしている部分もあり、迷いもつきない
働く動機:世の中のロジックを知りたい
■アホ
熱く惚れられる人
■人間は組織に入るから弱くなる
役人になる人
そもそも何かの役に立ちたいという思いを最初は持っている
「情報の普及啓発」
環境白書 無味乾燥になってしまう?
マンガ化しよう!!
まず伝えたいメッセージ(言葉)を決める!!
それを伝えるためにストーリーを考える
■若者
物心着いた頃から右肩上がりの経済を知らない
上っているというかんじがしない
■新しいメディアとは?
テレビは分かりやすくしようとし過ぎる
今までのメディアでは伝えられないもの
人間自身がメディア?
■中立性とは
おれはこうだということが中立性
チェンジャブルであること
例えばアメリカの主要メディアは、どこを支持するというスタンスを最初に打ち出すらしいです。
さすがディベートの国という感じもしますが、まず自分のスタンスを打ち出すことが中立であることを意味するということは面白い視点です。
■登山
山を登って降りることまで含めてが「登山」
降りた後に登った道について語り合う仲間がいれば良い
何度かワールドカフェ等で、この映画についての対話の場に参加したことがあるのですが、本編を見る前にこれだけお腹いっぱいになれる映画もないなと感じています。
【関連書籍】
太郎次郎社
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【関連サイト】
夢縁ムービー
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【関連エントリー】
■イベントレポート■ワールドカフェ「さらさらの組織」
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10195615619.html
【編集後記】
ももちゃんは大分歩けるようになってきました。
そして、ハイハイの方もまるでごきぶりのように相当早いです。
ハイハイの速度だけならもうさっくんより早いのではないでしょうか。
だからといわれればそれまでなのですが・・・
ちょっと明け方眠くなる多読書評ブロガーの石井でした
本日も最後までありがとうございました。
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