多読書評ブロガーの石井です。
「自我の終焉」(クリシュナムルティ著)を紹介します。
以前夜の読書会マックスという後藤たくひろさんが行われている読書会でおススメさせていただいた本で、その際のエントリーで少し触れたことがあったのですが、改めてお伝えしたいと思います。
結論的な部分でいえば、「今ここ」に注力し、徹底的な「自己凝視」を持って真実を認識することだというようなお話です。
ただし、この「自己凝視」という過程が、通常「自分で自分のことはわからない」もので、それをブロックする過程や精神、時間、恐怖、信念、努力、など、さまざまな私たちが通常疑ってかからないようなあり方の固定観念を払しょくしないといけません。
時間というものは存在しないとか、信念や努力なんていうものは、分離を引き起こすものだと切って捨てられてしまいます。
この常識的な部分を揺さぶられる感覚は、最近ハマっているU理論での、「手放す」「恐れを克服する」という課題にもつながるものなのかと考えています。
「自分の意図を明確にすることが一番難しい」とも書かれています。常識と反対のことが多く並ぶ中で、思わず共感できるフレーズなのですが、そのために本書が書かれているともいえます。
クリシュナムルティの本は、多く出ていますが、多くが講演録だったり、対談形式だったりするなかで、議論が断片的で、思想背景がわからないと理解しにくい本が多いのですが、本書はクリシュナムルティ自身が編集している本なので、論理の流れが追いやすく読みやすい本の部類に入ると思います。
以下、抜き書きまとめですが、またPOMERAが不調でデータが飛んでしまったので、半分弱位の抜き書きしか残っていませんが、それでもかなりな量の抜き書きなので、ご参考までに公開しておきます。
■真理
「真理」は自己の思考が完全に停止したときに向こうからやってくるもの
■自己認識とは
自己の内部で働いているすべての思考や反応や感情の全体を、正確に完全に知ること
■自己凝視
絶え間なく動いている思考や感情を、判断や比較もせず、また正当化もしないで、ただ受動的に注意深く見つめていること
■聞き方
たいてい私たちは抵抗というスクリーンを通して聞いている
■幸福
幸福は派生的なものであって、何か別のものから生じた副産物
自分の意図を自分の心の中で明確にすること
これが一番難しい問題
■恒久的なもの
私たちはたいてい、心の中で何か恒久的なものーすがりつけるもの、確信や希望や、持続する情熱、安心感などを求めているのではないでしょうか。
なぜなら私たちの心は全く不安定だから
■自己認識
果てしのない河のようなもの
その中に深く突き進むにつれて、あなたは心の平安を見いだしていきます
■観念
観念というものは、常に敵意と混乱と軋轢を生み出します
観念が先に生まれ、そのあとに行為が続いておきる
観念の結果でない行為は、自然で自発的なもの
■共通の問題
いかにしてこの社会に根本的で徹底的な変換を起こすか
絶えざる心の内部の革命がなければ、いかなる希望もありません
あなたの姿が世界の姿
あなたの問題は世界の問題
従って私たちは手近な問題から出発しなければならない
■職業
単に生計を立てる手段ではなく、実は羨望に基づいている
羨望は、私たちの人間関係の中で最も破壊的な要因の一つ
■信念
信念は人間同士を分離させるもので、結合させるものではない
■徳
あるがままの自分を理解することが、「徳」ー真価ーの始まり
「徳」によって私たちは、自由を与えられる
理想を求めるということは、実は、あるがままのものに面と向かい合うのを引き延ばしているだけ
「徳」はあるがままのものを理解することであり、それによって同時にあるがままのものから自由になること
あるがままのものは片時もじっと静止していることがなく、常に動いている
■信念
信念に束縛されない人は、心の平和な人であり、人間存在の全体的な働きを真に理解したいと思っている人
★こういう人は自分の欲望が安全のための手段として働いていることを知っています。
信念は内面的な心の安全に対する切望の現われ
欲望の働きーそれは信念にすがりつくという形で表されます
■知っている
「私は知っている」という主張そのものが、「あなた」と「私」を分離させるもう一つの壁
■無意識
無意識な心は意識的な心よりも、反応がはるかに敏捷
意識的な心が静かに考え、聞き、見守っていれば、そのとき無意識な心は一段と活発に機敏に働き、はるかに感受性が強くなる
こういう心は答えを発見することができる
■努力
努力とはあるがままのものから目をそらすこと
何らかの形の争いや闘争があるということは、その人があるがままのものから目をそらしている証拠
心の空虚感から、活動、黙想、獲得、達成、権力というようなものを通して逃避しようとするときにのみ、努力が生まれてくる
空虚さをそのまま受容したとき、奮闘や努力とは何の関係もない創造的状態が出現したことに、私たちは気づくのです
■あるがままのもの
★あるがままのもの - つまり空虚さと内面の不十分さ - を理解し、それと共に生き、完全にそれを理解しきったとき、創造的な「真の実在」と創造的理解力が誕生する
何かになるという観念は、自分が不安を感じているときにのみ生じるもの
■矛盾
矛盾というのは、精神がある一つの欲望に固定されたときにのみ生じてくるもの
一つの欲望を捕えて、それを永続化させようとする
欲望の中には、元々固定した定点というものはないのですが、精神が定点を作り出す
そこに別の欲望が生じたとき、矛盾が生じることになる
■自我
自我の中には競争心や、何かになろうとする欲望が含まれています
自我は自他を分離するもの
自我は自己を閉鎖するもの
■恐怖
死
死を恐れているのではなく、私に所属している様々なものとの関係を失ってしまうことを恐れている
恐怖は未知のものではなく、既知のものとの関係の中にある
あるがままの本当の自分を発見することが恐い
未知のものに対するきょうふは、実際は蓄積された既知なものを失うことの恐怖
蓄積は常に恐怖を意味しています
恐怖を持たずに生きるということは、実は特定の型を持たずに生きること
精神そのものが枠であり、型であるということが分かってくる
■素朴
根元的な真の素朴さは心の内面にしか生まれません
素朴さが私たちの感受性を一層豊かなものにしてくれる
精神が何かになろうともせず、また何かになるためにそれに合せて精神を形成しようとしないとき、そのときにのみ精神は真理を受け入れることができる
■受動的な凝視
重要なのは
凝視することによって生まれた経験を記憶の中に蓄積せずに、一瞬一瞬常に注意深く見つめ続けていること
■創造
創造というものは、感情とは全く何の関係もない
精神は新しいものは何も経験することはできない
精神は、感情と欲望の道具である
■関係
関係なしには「私」は存在しない
関係は私自身の姿を見ることができる鏡
★私たちは本当は他人に関心がない
満足している間だけ、関係が存在する
自他の関係を注意深く観察するなら、それらが他人に対して抵抗という壁を築く課程であり、私たちはその壁越しに他のものを見たり観察したりしていることに気づく
■思考
統合は、思考する人がもはや観察する人でなくなったときにのみ可能
★私の中に貪欲な観察者がいるのではなく、「私」自信が貪欲であることを明確に認識するならば、そのとき私たちの問題全体が全く違ったものになる
思考は反応
条件づけられているすべての生活背景に従って応答する
自我というものは思考によって解消することができない問題
自我を避難したり正当化したりせずに、その自我の動きを目を凝らしてじっと見詰めていること、それだけで十分
問題を理解するためには、私たちはきわめて静寂な精神を持たなければなりません
「私」や思考の努力が全くないときに出てくるもの
■精神
精神の働きは分離すること
以上、途中までですが、本書の断片だけでもお伝えできればと思います。
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凡人としての聖人が語る・・・
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新鮮な気持ちで学び直したいです
【関連エントリー】
■セミナーレポート■夜の読書会MAXに参加してきました
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10189359337.html
■書評■因果律と無常は同じ概念「仏教は心のの科学」
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■セミナーレポート■U理論とは何か?U理論セミナーby中土井僚さん
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10401544974.html
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【編集後記】
親戚が集まってのももちゃんの1歳のお誕生日会(一升餅尻もちなど)、地域のもちつき大会、保育園入所の申し込み、2台のPCがほぼ同時に逝かれてしまったことによるバックアップなど多くのことがあった週末でした。
2年ぶり位にPC購入を検討して、ヤマダ電機に行くとDVDの書き込みが出来る外付けのドライブが5000円で売られていました。安いです・・・ノートPCに内臓ドライブ不要と思いました。
そして、ネットを検索するとヤマダ電機で10万円以上で売られている2つのコアが動くCore2DuoなどのCPUが入ったミニノートが5万円前後、それでフォトショップがサクサク動かせるなんていうレビューまでありました・・・
4つのコアが動くクアッドコアのデスクトップも5万円台で手に入る時代になっていたことにまた驚きです。
良い時代になりましたね。
ケーブルテレビの一番安くて遅い通信環境しかない多読書評ブロガー石井でした。
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。