多読書評ブロガーの石井です。
内田樹さんの「映画の構造分析」を紹介します。
最近内田樹(たつる)さんの本を乱読していて、面白いのでいくつか紹介することになるかもしれませんが、先日紹介した「身体知」に引き続き、「映画の構造分析」を紹介します。
映画の紹介をしながら、内田樹さんの専門分野であるラカン等のフランス現代哲学の思想を読み解いていこうという本です。
私もラカンやシジュクなどの本を直接まだ読んだことはないのですが、そういう前提知識がなくても読むことができるのでオススメします。
■人は「お話」を常に作っている
特に映画の構造分析ということで、本ブログでも多く紹介してきたストーリーテリング関連の内容で言えば、「ひとは何かを説明しようとするときに、お話を一つ作る」というくだりが非常に新鮮でした。
人は皆物語の原型を持っているということが、「神話の法則」にも書かれています。
ストーリーを何かを伝えるために頭を絞って出す努力をする以前に、実は普段の会話や生活の中で人はどんどん「作り出している」ものなんだということに目からうろこでした。
■エイリアンの構造分析
内田氏の他の著作にも何度も登場しているというエイリアンの構造分析という文章では、とても本ブログに抜き出せないような人間の裏の心理が読み解かれています。
■致命的な無知「俯瞰感」
また抜き書きキーフレーズで最後に上げている「ただ一人全体を俯瞰している」という思い込みが実は致命的な無知なんだという示唆も、何かよくわからないのですが、身につまされるものがありました。
【抜き書きフレーズまとめ】
以下、本文からの抜き書きです。
■悪役がいないと良い人が認識できない
私たちはこの二項対立図式で物語を語るのが「よくない」と言っているのではない
■思考
ひとは何かを説明しようとするときに、お話を一つ作る
人間が思考するということは、「お話を一つ思いつく」ということ
■解釈
解釈というのは、それを動員してこないと脈絡が成立しない場合にのみ要請されるもの
「原因は何だろう」という問いは、原因が何だか分からないときにのみ発される
解釈とは、この論理的架橋
解釈が発動するのは、原因についての思考がそうであるように、「そこに穴がある」ときだけ
■人間の欲望
それは「人間はほんとうに隠しておきたいものを、どんなふうに隠すか?」という問い
「何もないところに何かがあるように思わせる最良の方法は、それを隠すことである」
■致命的な無知
ただ一人全体を俯瞰していると思い込んだとき
無知というのは、「知りたくない」という欲望の効果
「「自分が無知である」ということを他人は知っている」ということを知りたくない、という欲望の効果
【関連エントリー】
■書評■人間観と社会観についての対談本「身体知」内田樹
身体の流れを止めないことが大切です。
■書評■映画を読み解くフレームワーク「ハリウッドストーリーテリング」
自分で見た映画を構造分析するためのフレームワークが解説れています
■書評■インスピレーションが生まれるストーリー!!川上徹也さん新刊 カカクロ本
ストーリーテリングと言えばこの人 川上徹也さんです
■セミナーレポート■シゴタノ大橋さんブログコンサルティングレポート
ブログ分析、USP分析、人間分析等様々な学びがありました。
【本日の紹介書籍】
晶文社
売り上げランキング: 166300
映画は思考のメタファーである
ハリウッド映画に潜む構造を鮮やかに分析
映画と構造
タイトルがおこがましい
【編集後記】
最近ももちゃんが頻繁に「立っち」をしてくれるようになりました。
さっくんはももちゃんが立っちをするごとに、「ももちゃんが立ったよ~!!」と大声で報告してくれます。そして、ももちゃんもうれしそうに笑って立っています。
そんな日常の些細なことに満面の笑みでいてくれる子供たちのあり方に感謝!!
あり方といえば、「ホンキキ」「あり方コンサルティング」を行っているインナーライズの富田さんが、初の著書「人生の目覚まし時計」を出版されました。出版プロデューサーはあの本田健さんのプロデュースも行っていた児島慎一(旧和久ユタカ)さん。
個人的に相当大注目の書籍なのですが、更に12月18日に無料の出版報告会をされるとのことです。私も行きます。
http://honkiki.com/2009/11/post-43.html#more
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。