多読書評ブロガーの石井です。
推理小説にはあまりハマった経験はないと思っているのですが、シャーロックホームズのシリーズにだけは何度も呼んでいた記憶があります。
本書はそのシャーロックホームズの推理について、各種の引用を交えながら解説してくれていて、シャーロックホームズワールドを展開してくれます。
コナンドイルの生い立ちから、シャーロックホームズのモデルになったある医師の話、チャールズパークという実在の天才との比較などを通じて、推理の方法論について学び、洞察力を鍛えていくためのヒントが得られる本です。ちなみに本ブログではよくあるのですが、また絶版本ですいません。、。
■限りなく小さなものが計り知れない重要性を持つ
仮説を最小の論理要素に分解し、ひとつひとつ検討するパースの「20の質問」と同じ考え方とのことです。何のヒントもない状態からだいたい20質問を重ねればそのものにたどり着けるつけるという遊びみたいなゲームです。
警察の間違いについて、「めだった事実を元にたてた仮説を前提に、些細な事実を見逃してしまう」と指摘しています。
実際、シャーロックホームズの推理の手がかりはかなり細かい部分を観察することにより成り立っています。
■観察自体が推理
この観察ということが肝で、何を観察できているかということが、推理の肝です。
だからよくある場面ですが、初対面の人に対して行った推理の内容を説明したときに、「聞いてしまうとなんともないことですね」みたいな発言がよく場面としてでてきます。
考えてみると私が多読をしている理由も、この着眼点の広さを身につけたいということが大きな動機の一つです。
■発想:逆向きの推理
今から将来を推理するのは普通
結果から逆算する思考
■推理力の効能
医者がひと目で自分の過去を見抜いたとすれば患者は医者の治療力を信頼する
いわゆるコンサルタントは、その会社の実状を指摘することからまず信頼を得ていくということと同義ですね。
■普通の視点
ワトソンは普通視点人物
彼の五感を通じて読者は物語を追う
普通の視点が普通に提示されているからこそ、シャーロックホームズの推理が生きます。
■昔の学者像
1981年に刊行された本書の時代において、著者であるシービオクは自分の研究についてこう語っています。
自分の研究に集中できる時間はせいぜい2、3時間
問題はそれ以外の時間をいかにすごすか
実は今でももしかしたら人間の能力ってそれ位なものなのかもしれません。タイムマネジメントの勉強会やブルーオーシャン戦略のやることやらないことのマトリクスで色々考えても、メールやネットなどの多くの情報処理に割かれている時間をどうにかしたいものです。
【本日の紹介書籍】
「シャーロックホームズの記号論」Jユミカ・シービオク
絶版本ですいません。。。
岩波書店
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【編集後記】
最近、ようやくPOMERAを入手。
原稿書きが電車の中で気軽にできるようになりました。
クールビズも終わって久々に着るようになった背広の胸ポケットに入る大きさなので重宝します。
セミナーレポートの同時入力がしやすいのも可でおすすめします。
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ポメラに出逢えて
バージョン2に期待
これはいいです。
キーボードジャンキーのための玩具