開会セレモニーで挨拶する辻本館長

国際シンポジウム開会の際のあいさつのつづき。
「昨年は、初公開となった谷崎潤一郎の春夫宛書簡の展示、潤一郎の「春琴抄」の執筆時期の様子が、これまでの想像を覆(くつがえ)すものとして、注目されました。それに、「芥川賞を下さい」という、太宰治の春夫宛の書簡の展示を12月1日から今年の2月末まで行いまして話題になりました。展示終了間際に、太宰治の遺児で作家の津島佑子さんがお亡くなりになりまして、哀悼の辞を掲げておきました。津島さんは、新宮出身の作家・中上健次とも親しく、台湾の原住民と言われる人々の文学にも深い理解を蔵しておられたと聞いています。今回、台日「文学と歌謡」国際シンポジウムが、南台科技大学の皆さまのご努力と国立台湾文学館の皆さまのご支援で、ここ、台南の地で開催されますこと、そうして私どもの佐藤春夫記念会が共催の一角に名を記させていただけたことは、大変うれしく光栄なことに存じます。私どもの熊野の地は、はやくから木材を通して、台湾との交流を続けて来た土地です。いままた、佐藤春夫の文学を通して、私どもの文学館と国立台湾文学館とが交流の機会を持てましたことは、まことに有難く、有意義なことと、関係各位に、深く感謝申し上げます。さらに交流、友好の絆がますます深まるように努力して参りたいと思います。」


国立台湾文学館の内部