「秋夜寄丘二十二員外」 韋應物 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今朝は空砲の音とともに目が覚めた。何処かで運動会が行なわれるのを知らせるためだろう。


実は夜中に目が覚めてコンビニにでも行こうかと外に出た。もちろん長袖でなければ寒い。黄色い明るい星が見えたが、これはたぶん「秋の一つ星」「みなみのうお座」(”Piscis Austrinus”フォーマルハウト(”Fomalhaut”と思われる。


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「秋夜寄丘二十二員外」    韋應物(いおうぶつ)


懐君属秋夜           君を懐(おも)ひて秋夜に属(しょく)す


散歩詠涼天           散歩して涼天に詠(えい)ず


山空松子落           山空(むな)しくして松子(しょうし)落つ


幽人応未眠           幽人応(まさ)に未だ眠らざるべし


(現代語訳)

折しも静かな秋の夜、君のことを懐かしく思い出して書を認(したた)めた。涼気漂う秋の夜をそぞろ歩いて詩を詠んだ。 

山はひっそりと静まり、松毬が落ちる音が時折り聞こえるだけである。定めし君も眠らずにいることだろう。


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詩のタイトルの「秋夜寄丘二十二員外」「秋夜 丘二十二 員外(いんがい)に寄す」であり「丘二十二」は丘家の二十二男という意味である。


韋應物は中唐の詩人で、謝霊運、陶淵明の伝統を継ぐ自然派とされる。一方で盛唐の孟浩然や王維を受け継ぐとされ、柳宗元も一括して「王孟韋柳」と並称されることもある。


流離の翻訳者 果てしない旅路はどこまでも-Piscis Austrinus