以前の記事でも取り上げた、北総線の不可解な「高額運賃の問題」ですが、裁判という司法を通しての動きだけではなく、今度は北総に対して「外圧」ともいえる動きに出た住民有志。

何と、バスを貸し切って、千葉ニュータウンの中心部から新鎌ヶ谷をダイレクトに結ぶバスの運行を開始したというのです。

「もう北総線には乗りたくない」…民間主導で新鎌ヶ谷駅までのバス路線が実験運行開始 (ブログ『白井市速報』より)
※管理人注=このブログは千葉県白井市の公式ブログなのか、個人のブログなのかが不明なため、記事本文の引用はしませんでした。また、実験運行は10/13で一旦終了しています

この記事によると、実験運行では千葉ニュータウン高花地区から新鎌ヶ谷駅・鎌ヶ谷中央病院までの運行とし、運賃は破格の300円としたとのこと。高花地区は千葉ニュータウン中央駅から離れていて、徒歩では距離があるためバスを使わざるを得ないのですが、バス運賃が180~230円。さらに千葉ニュータウン中央駅から北総線で新鎌ヶ谷へ向かうと、この区間の距離がたった11kmにもかかわらず運賃が540円と、バストの合算で700円を超えてしまい、住民の経済的負担が大きすぎました。それを和らげるために、住民有志がこのようなバスの運行を計画したということです。
つまり、700円以上かかる区間の移動を、乗り換えを1回減らして300円ということですから、これが仮に定期路線として運行されることになれば、北総線にとっては大きな脅威ですね。
この実験運行にバスを貸し出して協力したバス会社の専務によれば、「仮に新車のバスを導入しても1日あたり100人が利用してくれれば400円で採算が取れる」と話していますから、仮にこのバスが路線バスとして正式に認可されて、かつ運賃が400円となったとしても、住民が公共交通機関を利用する場合の金銭的負担は、現在よりも格段に軽くなります。
今のところ、このような動きは白井市のみのようですが、もしも沿線の印西市などでこのような動きが出てきた場合、北総線の利用が減少することが予想されます。このバスが通勤や通学に使えるダイヤだったのか、あるいは高齢者の福祉に重点を置いたダイヤだったのかは、上記ブログの記事を読む限り分かりませんが、もし通勤通学時間を外した形で路線として認可されたとしても、北総の定期外収入は減りますので、やはり北総にとっては少なからぬ打撃になります。

現在、北総線の運賃が高額すぎるということで、その是非を問う訴訟が行われていますが、一審の地裁判決では1勝1敗だったそうで、今後は1敗の方は控訴審に舞台を移すことになりそうです。
裁判を起こすことは、勝敗以外に世間に大きなインパクトを与えることがありますが、それでもやはり負けてしまっては、世間に対する問題提起以上の役割を果たすことはできません。そこで今回のような「実力行使」となったのでしょうが、このような動きが定着し、あるいは広まれば、少なからず北総線に打撃を与え、不可解な高運賃を考え直すきっかけになるのではないか。そのように思います。現在の不可解な高運賃を北総が維持できるのは、競合交通機関がほとんどないのが理由ですし。北総線と並行する国道464号線にバス路線が欲しいという住民の声もあるようですが、これは国交省が認可しないのだとか。どこまで本当かわかりませんが、確かにあの道路を通るバス路線を認可して、しかもそれが北総線より安かったりしたら、間違いなく北総線の利用は蚕食されてしまいますから。

この実験は13日まで行われ、年明けからの定期運行につなげたいとのこと。もう実験は終了していますが、どのような結果になったのか、興味深いところです。

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