東日本の新幹線を取り上げた連載も、今回で最終回。今回は、各新幹線の今後を占ってみようと思います。

実は今日、北陸新幹線用の新型車両について、JR東日本から正式に発表がありました。編成は12連となり、1両がグリーン車、もう1両が「グランクラス」となる予定だとか。「グランクラス」が北陸への列車にも設定されるというのが意外でしたが、編成単位が12連と長くなっているのも特徴です。これはE5系のようにミニ新幹線編成を併結しないのも理由でしょうが、現行E2系の8連よりも輸送力が増強されることになります。
しかし、風貌は…E2系とE5系、そしてJR西日本の500系を足して3で割ったような感じで、失礼ながらそれほど斬新さは感じませんでした。
(詳細はJR東日本の公式HPからどうぞ)
余談ですが、この車両はJR東日本とJR西日本の共同設計となるそうですが、JR東日本の保有車両が「E7系」となるのに対し、JR西日本のそれは何と「W7系」! 「W」とはもちろん西日本のW(West)ですが、これでこの会社の新幹線電車の付番方式は、JR東海流とJR東日本流の2つが併存することになってしまいました。これは仕方ないんでしょうけどね。「E7系3000番代」なんてしてしまったら、他社の称号(JR東日本のE(East))を冠することになってしまいますからね。かといって数字のみにしてしまっては、東海道・山陽で走っている(Nのつかない)700系との区別ができませんし。乗り入れ相手に翻弄されるJR西日本の悲哀が見えるかのようです(っていうとちょっと大袈裟か!?)。

…それはさておき。

北陸新幹線の金沢開業は、再来年の平成26(2014)年度ですが、そのさらに2年後、平成28(2016)年度には、新幹線が北海道に達することになります(北海道新幹線新函館開業)。北陸新幹線・北海道新幹線とも将来の延長を見越していますので、これが完成形というわけではないのですが、一応それなりの形が出来上がることになります。
このとき、問題になるのが、東京-大宮間の線路容量です。東京-大宮間ではJR東日本の全ての新幹線列車が走行し、ダイヤも過密になっています。以前の記事で、上越新幹線の駅として新宿駅を作る計画があったことを指摘しましたが、これはいうまでもなく、東京-大宮間の線路容量の不足を懸念してのことです。
北陸新幹線開業後は、現在の「あさま」の他に、金沢・富山へ直通する列車が走ることになります。まさか運転本数が現行のままとはいかないでしょうから、そうなると北陸新幹線の列車本数も増加します。さらに、新幹線が北海道に達すれば、東北・北海道系統の本数が増え、さらに線路容量は逼迫します。
JR東日本もその点を分かっているようで、いつぞやの記者会見では「大宮始発の列車を設定することも考えている」旨を述べていました。現在は新幹線の開業当時とは異なり、大宮からは京浜東北線や東北・高崎線だけではなく、埼京線や湘南新宿ラインもありますので、そちらへ乗り換えを誘導する方法もとれるだろうと思います。
あるいは、将来的には大宮以南に別線・別ターミナルを作ることも必要になってくるかと思われますが、流石にそこまでやるのは投資額が過大になる気がします。

もうひとつは、今後の新幹線の車種構成、特に「200系はいつまで活躍するのか」ということが関心事となります。
既に何度か触れていますが、JR東日本は東北系をE5系、上越系をE2系、北陸系をE7系にして、車種を単純化する方策を打ち出しています。オール2階建ての「Max」は、初代のE1系が今月29日限りで全車退役、E4系も近い将来の退役が確実となっています。
では、東北新幹線開業時から活躍を続ける200系は、いつまで残るのか?
流石に開業当時の車両は残っていませんが、現在残っているのは昭和60(1985)年前後に高速化対応を施した1000番代が中心となっています。平成11(1999)年には大々的なリニューアル工事を受けましたが、その工事からでも10年以上経過してしまい、既に「風前の灯」とも言えます。
しかし、この車両は重装備であるが故に車体その他の構造が非常に頑丈で、そのため東海道の0系に比べて長持ちしているようなのですが、いくら接客設備を新しくしても、やはり直流電動機であるという点で、保守の不要な交流誘導電動機には一歩譲ります。そこで、今後は、E1系に続いての淘汰対象となると思われます。再来年の北陸新幹線金沢開業まで生き延びてほしいと、愛好家的視点では思いますが、どうなるでしょうか。
なお、200系は、現在の日本の新幹線で唯一残る、直流電動機を装備した車両であり、この車両が退役すると、日本の新幹線車両(ミニ新幹線も含めて)は、全てVVVFインバータ制御・交流誘導電動機搭載の車両に統一されることになります。
他には、今月29日で勢力を縮小する2階建て新幹線「Max」。E1系はともかく、2代目のE4系は、製造初年が平成9(1997)と新しいのですが、既に製造後15年が経過、新幹線車両としてはそろそろ耐用年数に達しようかという年数を経ています。加えて2階建てという構造が使いにくいという指摘もあり、今月以降は活躍の場を上越のみに限定することが決定しています。ですので、E4系は近々退役することになるのでしょう。

さらに列車名の話もしたいと思いますが、北陸系は前回取り上げましたので、今回は北海道新幹線の話題を取り上げたいと思います。
新青森開業・E5系導入の際、愛称名を「はやぶさ」としたのは、鉄道趣味界のみならず一般マスコミにも意外に受け取られました。このときの公募の第1位は「はつかり」だったので、なぜ「はつかり」をお蔵入りにしたのかですが、実際は北海道新幹線(新函館)開業に備えて温存しているという話もあり、もしそうなら復活に期待したいところです。あるいはさらなる公募を行い、他とは全く異なる愛称を冠する、という大どんでん返しもあるのかもしれませんが…。最近のJR東日本は、鉄道趣味界や一般マスコミの「斜め上」を走りまくっていますからね(笑)

いずれにしても、新幹線の開業は大きな楽しみなのですが、そこには並行在来線の切り離しなど、影ともいえる問題もあります。これはJRが営利企業である以上やむを得ない部分もありますが、地元の福祉、そして国防を考えた場合本当にベストな回答なのか、管理人は疑問を禁じ得ません。このことは、問題点を指摘するにとどめておきます。

全17回にわたって取り上げて参りましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
それでは、間もなく当列車は終点に到着いたします。

-完-

【重要なお知らせ】
本連載終了後、「YとFの肖像」を順次アップする予定でおりましたが、来年3月の日比谷線直通列車の運転終了に際し、記念記事をアップしようと考えております。したがいまして、当初予定しておりました連載「YとFの肖像」は、来年1月からの開始とさせていただきますので、ご了承のほどよろしくお願い申し上げますm(__)m