水金地火木・・・冥王星「降格」について | 非常勤講師はつらいよ―私学非正規教員の本音と生活向上作戦

水金地火木・・・冥王星「降格」について

太陽系  おととい「冥王星が、太陽系の惑星から除外された」というニュースを聞き、最新の記事は紹介しました。
昨日は新聞にも大きく取り上げられ、今日も、教科書書き換えの件や発見国アメリカの反応などについての記事がありました。
天文学のこれまでの常識を覆すような大ニュースですから、私も、これらをよく読んでコメントを書くつもりでいました。
しかし、理科を教える仕事をしているとはいえ、地学分野は分からないし、特に天文の分野は教えた経験がないので、正直のところ何と書いたら良いか迷っています。
自身も天文の分野は、中学の時に(当時は中1で学習した)生物教師にサラッと習った程度だでしたし・・・


「水金地火木土天冥海」惑星を太陽から近い順に、このように唱えて覚えてきましたが、
それを聞いたのも理科の授業ではなく、小学校の時の演劇鑑賞で見た「銀河鉄道の夜」の劇中で、理科のワンポイントレッスンみたいな感じで役者さんが先生に扮して教えてくれたのでした(汗)
冥王星が先か海王星が先かは、時期によって変動があるようです。私達は上記のように聞きましたが、海王星が先の「水金地火木土天海冥」の時期が長いようですね。


とにかく今回の決議で、惑星は9個から8個に減らされ水金地火木土天冥海」になったわけです。
最初は、12個に増やすなどという案もあったようですが。
確かに、これまで親しまれてきた「惑星」の1つが惑星でなくなる事の衝撃は、関心のある人ほど大きいかもしれません。
ただ今回、惑星の定義がはっきりしたのは、学問的な面からは良かったと思います。
この新定義と、近年の他の小天体の発見などから見直されたのならやむを得ないでしょう。別に、冥王星がなくなるわけではありませんから。

でも、ロマンの点からすると、やはり寂しいですね。。。
今後は「矮惑星」に分類されるようです。


しかし、教科書の書き換えという点では、一番都合の悪い時期になってしまった感じです(苦笑)
akioakioさん、教科書はだいたい4年に一度改訂されますが、中学は今年新しくなったばかりですし、
高校も来年から変わる事になっており、既に教員には見本が届いています。
今から書き換えとなると、相当大変だと思いましたが、記事によると、書き換えは来年以降になるとか。
自分自身も、今年は天体の分野を教える予定はないですが、来年はどうなるでしょうか??

あとは、物語・アニメの世界や星占いなどが痛手になるでしょう。
逆に博物館や科学館などでは、これによる関心の高まりを歓迎しているかもしれません(^_^;



太陽系惑星:冥王星の除外決定 9個から8個に--天文学連合・新定義可決


 【プラハ会川晴之】チェコのプラハで総会を開いている国際天文学連合(IAU)は24日、全体会議で惑星の定義案を議決、1930年の発見以来76年間、第9惑星の座にあった冥王星を惑星から降格する最終案を賛成多数で可決した。太陽系の惑星は一つ減り8個になった。全体会議に出席した数百人の科学者による投票で、教科書を書き換える歴史的問題が決着した。

 定義は、太陽系惑星を(1)太陽を周回する(2)自らの重力で球状となる(3)軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体--と規定。軌道周辺に同規模の天体があり3番目の条件を満たさない冥王星は、惑星から外れた。冥王星や03年に発見された2003UB313、小惑星セレスは、惑星とは異なる「矮(わい)惑星」となる。

 水星から海王星までの八つを「古典的惑星」とする一方、冥王星などの矮惑星も惑星の一種とする対案も提出されたが、否決された。

 惑星の定義案とは別に、冥王星を海王星以遠にある天体群の典型例と位置づけることも可決された。ただ、その名称を「冥王星系天体」とすることは否決された。

 冥王星周辺で新天体の発見が相次ぎ、「惑星とは何か」を巡る議論が盛んになったため、IAUは2年前に惑星の定義づくりを始めた。惑星を専門とする天文学者には最終案支持が多かったが、他分野の専門家にはさまざまな見解があり、複数の案を提示して決着を図った。


 ◇教科書記述変更「08年度以後に」--日本学術会議

 【プラハ会川晴之】IAU総会に日本代表として出席した海部宣男元国立天文台長は24日の会見で、教科書の記述変更は08年度以後とするよう、日本学術会議として政府に要望する考えを表明した。矮惑星など新たな概念の正式な和名を決めるには「半年程度は必要」になるという。07年度の教科書作成の締め切りは目前に迫っており「冥王星の記述だけを記載すると教育現場が混乱する」(海部氏)と判断した。


毎日新聞 2006年8月25日 東京朝刊



太陽系惑星:冥王星除外 安易な拡大懸念、社会的意義で議論割れ--IAU


 【プラハ会川晴之】国際天文学連合(IAU)総会は、最終日の24日まで惑星の定義をめぐる議論が続いた。焦点は、1930年の発見以来、惑星の地位を保ってきた冥王星を惑星として存続させるかどうかにあった。教科書の書き換えにつながる歴史的決定だけに、総会に出席した天文学者は最後まで悩み抜いた。

 IAUの惑星定義作成委員会は当初、惑星数を12個に拡大する案を示した。7人しかいない委員を務めた国立天文台の渡部潤一助教授は「惑星数が増えるのは、天文学の進歩を示すもので魅力的と思った」という。

 しかし、天文学界では「80年代に冥王星が見つかっていたら、惑星とは呼ばれなかった」との認識が支配的だ。冥王星と同規模の天体は多数見つかっており、冥王星より大きな「2003UB313」を発見した米国の天文学者、マイケル・ブラウン氏も「(冥王星を惑星とすると)太陽系惑星は少なくとも53個になる」と、安易な拡大に懸念を示す意見だった。

 全体会議で最前列に陣取った渡部助教授は「惑星数増加」案に賛成票を投じたが、否決された。会議終了後に会見した同助教授は「残念だが、惑星の定義を決めるという大テーマを達成でき、正直ほっとした」と語った。

 日本代表として総会に出席した海部宣男・元国立天文台長は「惑星の定義は社会的にも影響がある。その点で議論が分かれた」と説明する。

 17世紀初頭、惑星運動に関する三法則を確立したケプラーが研究を続けたプラハで、惑星論議に決着がつくのは、歴史的な因縁かもしれない。


 ◇多くの人の夢に配慮欲しかった--松本零士さん

 アニメ「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」では、冥王星は敵の前線基地が置かれたり、人間の墓地として利用されるなど、太陽系の重要な惑星として描かれた。

 原作者である漫画家の松本零士さん(68)は「冥王星こそが太陽系の果てで、そこを離れることが太陽系から外宇宙に旅立つことだと描いてきた。今回の決定は、論理的には正しいのだろうが、多くの人が少年のころから抱いていた夢にも配慮してほしかった。心構えができていないうちに突然決まってしまった感じがする」と残念そう。そのうえで「冥王星はこれからも太陽系の一族だ」と強調した。


毎日新聞 2006年8月25日 東京朝刊