1月下旬特選映画【3】★映画のMIKATA「デトロイト」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。




1月下旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞、今月1月は『8年越しの花嫁/奇跡の実話』、『嘘八百』、『キングスマン:ゴールデン・サークル』、『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』、等々通算で8本を観賞しました。選んだ特選映画1本は、『デトロイト』でした。やはりオスカー作品賞に十分ノミネートされてもイイ映画、人種の坩堝と言われるアメリカらしいテーマの作品ですーネ。そもそも、トランプ大統領のルーツもドイツ移民らしいですーネ。邦画の『祈りの幕が下りる時』も見応えがありました。TVドラマを制作している監督は、映画監督を超えているのかな…とどうしても思ってしまいます。ドラマの山場と感動に盛り上がる観客の心理を良くつかんでるーナ、と思わざる負えません。正直いうと、年末年始終TV番組に面白い番組がないので、竹内結子主演の『ストロベリーナイト』全巻と映画版を次々に、風邪で伏せている布団の中から見ていました。あー、面白いな…、何度見ても飽きがありませんでした。『ストロベリーナイト』の続編を是非求めます。日本の刑事ものドラマは永遠ですーネ。犯罪の裏に人間の罪と罰と社会の荒んだ歪みと影が描かれていますーネ。





1

1本目は、天候を自由に操作できる気象宇宙ステーションが何者かの陰謀によって、バラしてしまうと実はアメリカ大統領の側近によって気象コントロールタワーにコンピュータウィルスが感染させられ、地球気象に天変地異を起こす暴走、地球に異常気象を発生させ、地球のあちこちに人類を滅亡させる巨大災害を発生させる地球壊滅寸前の災害を描いた『ジオストーム』(2017年、ディーン・デヴリン監督)でした。


近未来には、科学技術によって地球の気候が宇宙ステーションによって左右できる時代が来るだろうなーと予測できる映画でした。地球温暖化によって南極の氷河が溶け初め、永久凍土が溶解しているー。それによって海水の水位が上がり、地球のある地域や島が水イクロン、大地震による津波などの自然災害が地球の各地を襲い、海洋を吹き荒れる嵐はコンナテナ船や漁船を転覆させ、日常生活か破壊することも、逆に田畑を干からびさせる日照りと水不足に恵みの雨を降らせることも、ニューヨークに大雪を降らせた季節外れの異常気象さえも春の気候に変えられます。こんな地球の気候変動と天変地異と快適な地球環境の恵みは、恐らく解決されるのだろう・・・ね。

過去にこんな宇宙から天候を左右する宇宙ステーションが「悪」のテロリストによって略奪されてしまうストーリは既視感がありました。が、そんな予感を裏返して、暇を持て余した映画ファンには楽しい時間が過ごせる作品でした。


2

混雑した駅で体調を崩して蹲り立ち往生していた食品メーカー勤務の川原由加利(長澤まさみ)は、たまたま近くを通りがかった親切な小出桔平(高橋一生)に介助された。それをきっかけに、同棲をはじめた。男女の偶然の出会いと、男の存在そのものがサスペンスめいて謎に満ちた男と女の関係を追いかけた『嘘を愛する女』(2018年、中江和仁監督&脚本、近藤希実脚本)でした。2本目は、5年にわたって愛情あふれる同居生活を過ごし、結婚も夢見ていた恋人を母親に紹介しようとした日に、病院の研究医の恋人・小出桔平は、くも膜下出血で突然倒れ、寝たきりの植物人間になって警察から連絡を受ける。しかし、桔平の所持していた運転免許証も、病院勤務の医師免許証もすべてが偽造されたものであった。今まで自明のことのように理解していた「名前」も「職業」もあやふやで雲をつかむような人格になってしまう。小出桔平は誰なのか…、小出桔平はどんな過去を持っているのか…、謎の人間を求めて川原由加利は、探偵の海原匠(吉田鋼太郎)と共に桔平の素性を求めて瀬内を歩き回る。手がかりは、いつも座っていた喫茶店で書いていた桔平のノートパソコンに残された執筆中の小説と、その中の故郷の風景だけであった。


中江和仁監督という存在はCMディレクターと言う経歴をもった映画監督。しかも初監督作品のようです…。作品も、第1回「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」でグランプリに輝いた作品を映画化したラブストーリーのようです。でもーネ、誰の企画なのか、原作者も脚本家もはっきりしません。近藤希実という脚本家の正体もはっきりしません…。何だかネットで調べれば調べる程、映画の存在そのものが実体の掴めない、まるで映画の主人公の小出桔平のように曖昧模糊とした存在になってしまいました…。

国民一人一人が12桁の番号を持ち、税金、年金、保険、給与などの手続きに「マイナンバ―」で処理されるよって以来、最早、存在の分からない個人の謎など、過去のロマンになりつつあります…。この映画を見乍ら、私は一時代昔の古臭いラブストーリめいた推理小説を読んでいる錯覚になりました。

映画の最後に、桔平の指が動き、意識を回復するシーンで、ハッピーエンドになるのですが、2人の同棲生活はこの先どうなるのかな…???心配したくなりました。長澤まさみ演じる川原由加利の女ごころー、男の過去の全ての謎が解けた後も、尚、ベッドに植物状態で横たわる男の髭を剃る献身的な愛情に、女の心の空洞を埋める男と女の「愛」という異常心理、相互依存、補完性の高い愛の幻想に、改めて女の愛は不思議に満ちているナ…と、私の中の女心の謎はますます深くなります。


3

 

東京都葛飾区小菅のアパートで、滋賀県に住む40代女性・押谷道子の腐乱遺体が発見された。アパートには越川睦夫と名乗る男性が同居していた形跡があった。さらに事件は、焼死事件の現場に近い新小岩の河川敷でホームレスの焼死体が発見される。押谷道子の腐乱死体と焼死体事件から、警視庁捜査一課の刑事たちが事件の解明に動き出す。加賀恭一郎(阿部寛)が子供時代に失踪した母・田島百合子(伊藤蘭)が、彼女が失踪後に努めていたスナック「セブン」の客で、女川原発の作業員ジプシーで、彼女の恋人・綿部 俊一(小日向文世)が捜査線上に浮かぶ…。3本目は、明治座の舞台演出家の浅居博美(松嶋菜々子)などの登場人物の縦糸の過去の時間と人生、加賀恭一郎に結びつく横糸の濃密な人間関係が、殺人事件の緊密に絡んだ謎を解きほぐす本格的な刑事もの映画『祈りの幕が下りる時』(2017年、福澤克雄監督、 - 東野圭吾原作『祈りの幕が下りる時』、李正美脚本、主題歌 - JUJU「東京」)でした。
 

私は刑事もののTVドラマも映画も大好きです。はみ出し者の若手刑事・青島俊作役を織田裕二が演じる湾岸署刑事課強行犯係の『踊る大捜査線』(フジテレビ系)シリーズは、あのカーキ色のコートが印象的でした。老齢な刑事役の和久さん演じるいかりや長介の渋い演技がよかったですーネ。一時期を風靡した刑事ドラマの傑作でした。田村正和が演じる古畑任三郎』(フジテレビ系)シリーズもまた、刑事コロンボとシャーロックホームズを足して2で割ったような独特のパーソナリティーと推理は面白い刑事ドラマでした。依然、続編と映画版が制作されている息の長い水谷豊が演じる杉下右京の『相棒』(テレビ朝日系)シリーズは、未だに人気があるようです。刑事もののドラマが、単に殺人事件の謎の解明ばかりを追いかけるのではなくて、事件そのものが警察組織の軋轢や、政治家の絡んだ政治性や、社会的な問題を孕んだ作品とテーマが多くなりました。刑事役に女性が活躍する雪平夏見役の篠原涼子の『アンフェア』(フジテレビ系)シリーズもユニークなTVドラマでした。何よりも、刑事そのものの内面性が描かれる警視庁捜査一課殺人犯捜査係に配属される姫川玲子役の竹内結子演じる『ストロベリーナイト』シリーズ(2013年映画公開、佐藤祐市監督)も面白かったですーネ。阿部寛が演じる加賀恭一郎が一貫して主役の『新参者』シリーズは、犯罪の影に人間の悲しい運命を感じさせる刑事ものになていますーネ。久々に作品に没入して鑑賞しました…。

 

誉田哲也の描く姫川玲子の女刑事、東野圭吾の描く加賀恭一郎

の2作品は、刑事ものドラマの最高傑作です。私はどちらかと言うと、竹内結子主演で映画版『ストロベリーナイト』の続編を見たいです。

4

1967年7月23日から27日にかけてアメリカ合衆国ミシガン州デトロイトで白人優位と警察の横暴に対して黒人たちの不満が暴動の引き金となってデトロイトは黒人たちの日頃の鬱憤が炎上した。暴動は商店の放火、略奪が横行した。その鎮圧のためデトロイト警察、ミシガン州警察、陸軍州兵、地元の警備隊やデトロイト警察が、大挙出動されたが、黒人と警官の衝突と発報で43人が死亡し、1189人が負傷した。2日目の夜、州兵の警備する一角で銃声が鳴いたので、窓際で狙撃の怪しい動きのあるアルジェ・モーテルの別館に武装した地元警備隊が傾れ込み、捜査のためにに入る。黒人青年がモーテルの窓からオモチャの銃を鳴らしたことで、狙撃されたと勘違いした白人警官たちは、そこに居合わせた黒人男性6人と白人女性2人を、人権を無視した暴力的な尋問で建物に拘束、捜査の行き過ぎと人種偏見と、その事実を隠蔽しようと黒人青年を二人射殺した。4本目はデトロイトの暴動と、そのアルジェ・モーテル事件の告発裁判まで映画化した『デトロイト』(2017年、キャスリン・ビグロー監督)でした。

今月初めに開かれたゴールデン・グローブ(Golden Globes)賞の授賞式では、俳優ら出席者が黒い衣装でレッドカーペットに登場しセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)に対する抗議の姿勢を示して話題となりましたが、、ニューヨークで開かれた28日の米音楽界最高の栄誉とされる第60回グラミー賞(Grammy Awards)の授賞式では、音楽界をリードするレディー・ガガ(Lady Gaga)からケリー・クラークソン(Kelly Clarkson)、スティング(Sting)、カリード(Khalid)など多くのアーティストが男女問わず白いバラの花を身に着けて「ジェンダー(社会的性別)の平等」を訴えた。更に、会場にヒラリー・クリントンがビデオで登場、ドナルド・トランプ政権に関する暴露本「炎と怒り」を朗読した。朗読は、ジョン・レジェンドやカーディ・Bらも参加し、会場を多いに沸かせました。下記はその朗読を収録したサイトです。
  https://youtu.be/DjbysQgJ64Y


この「デトロイト」は、アメリカのトランプ政権の人種差別政策への批判から、環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先する政策を打ち出したトランプ大統領の経済政策まで引きずった映画ですーネ。石炭産業の復活を掲げたトランプ政治に期待するケンタッキー州や、鉄鋼業が衰退した「ラストベルト(錆びた帯)」と呼ばれるオハイオ州と並んで、ミシガン州デトロイトもまた、フォードなどの自動車産業で活況を呈した町だったが、今は衰退している…。


最早、黒人が大統領になったアメリカに、黒人への人種差別は多少緩和されてきたのだろうか…。それがトランプ大統領によって中東のイスラム人への差別が始まり、人種差別が揺り戻された、と言えます。それに、経済的貧困という、経済格差が白人の差別意識を助長している…と言えます。人種差別、経済格差、LGBT性差別など、「差別」は重層的な問題を孕んできました。日本も同じような「差別」があるのだけれども、何せ人権意識が低いので静かですーネ。「一億総活躍社会」を掲げる「自惚れ安倍政権」の「標語政治」、官製春闘で正社員の賃上げを政府が経団連企業に求める以前に、企業の人権意識を呼びかける方が必要ではないのかな…!?

 


この作品の最後で教会の聖歌隊に参加してゴスペルを歌う、黒人コーラスグルーブの「ザ・ドラマティックス」の一人、ラリー役のアルジー・スミスの讃美歌がよかったですーネ。私は少なくても感動しました。「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督に50年前の戦慄の一夜を描く最新作「デトロイト」についてインタビューした下記サイトがありました。
https://gigazine.net/news/20180125-detroit-kathryn-bigelow-interview/  

 

◆映画『デトロイト』の可能性をどのようにお考えですか?

 

ビグロー:・・・ 芸術(映画)の目的が変化を求めて闘うことなら、そして人々がこの国(アメリカ)の人種問題に声を上げる用意があるなら、私たちは映画を作る者として、喜んでそれに応えていきます。この映画が、少しでも人種に関する対話を促すための役に立つこと、そしてこの国で長きにわたって根強く残っている傷を癒すことができることを願ってやみません。
◆時代背景や土地が違ってもかなり普遍的なことをテーマにしていると感じましたが、監督が今作で一番表現したかったものが詰め込まれているなと結果的に感じたシーンはどこでしょうか。


ビグロー:・・・たくさんあるけれど、最後にラリーがゴスペルを歌うシーンはその一つね。あのシーンは、芸術的精神は、何があっても生き残るんだということを示している。彼にあんなひどい夜を経験させたとしても、アーティストとしての精神は死なないの。あのせいで、彼の人生が永遠に変わったとしてもね。私にとって、それはとても大きな意味を持つことだった。…と述べています。「アーティストとしての精神」というよりも、一人でも人間がこの地上で苦しむ限り、それを癒やす黒人音楽ゴスペルは死なない…と言うことだろうかーナ。あの讃美歌について知ってる人は教えてください…!!!もう一つ、映画の役割をこんな風に明確に発言できるというのは素晴らしいですーネ。日本の映画監督にも稀有ですーヨ。
 






是非、コメントを一言お寄せください。必ずご返事させていただきます。尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…