2月上旬特選映画【6】★映画のMIKATA「ザ・コンサルタント」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。





2月上旬の特選映画をアップロードします。今回4本を映画館で観賞しました。2月の特選映画1本は、『ザ・コンサルタント』でした。これまでの暗殺者が狙う殺人ターゲットとは違って、善でも悪でもない殺人、まるで正義のために悪人を殺すような一味違う暗殺者です。主人公がアスペルガー症候群というパーソナリティーによって、映画は大変面白いからくりのあるバイオレンスアクションになってます。もう一本は、唯一の邦画「新宿スワンII」も良かったです。続編とはいえ、手抜きのないヤクザ映画、配役俳優が同じなので、分かりやすかったです。延び延びになって未だにアップできないDVD特選映画のテーマ≪ヤクザ映画≫で、是非暴力論を書きたいのですが、参考になる暴力に関する参考書がないですーネ。どれもこれも難解で良く分からない、平易で納得のゆく本はないですか…?。どなたかヒントを与えてくれる一冊を教えてください。


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天賦の才能を持つ凄腕の脳外科医、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、他の外科医では手に負えない難しい脳外科手術を成功させて名医として、その知名度も傲慢さも知られていた。1本目は、医師が主人公のファンタジー&医学映画『ドクター・ストレンジ』(2016年スコット・デリクソン監督)でした。 


 医学界で地位も名誉も財産も手に入れていたが、治療交渉の途中で交通事故に遭遇、神の手と崇拝された医術の手腕さえ失ってしまった…。元の手と指先の機能を取り戻すため、金に糸目を付けずに治療とリハビリを繰り返すが、元の神の手は戻らなかった…。最後に彼が望みを託したのが、どんな傷も脳神経の麻痺も手の不具合も、治せる心のリハビリと魂の治癒によって回復するチベットの魔術師でした。前半は医学映画なのだが、チベットの地で回復訓練として、エンシェント・ワンの弟子として修行の一歩を始めた以後はファンタジーなのです。


時として神秘の地、宗教の聖地として、時としてヒマラヤ山脈への麓の登山口として、時にノーベル平和賞を受賞したダライラマ14世が世界に呼びかけるチベット仏教と平和と非暴力は、中国軍隊の侵略と弾圧の政治の理不尽さ…は、チベットを世界にストレートに届きます。舞台としも映画は数々数多あります。私がこれまで見た映画ですぐ思い浮かべる作品は、エディ・マーフィ 主演の『ゴールデン・チャイルド』(1986年、マイケル・リッチー監督)でしょうね…。千年に一度、この世に生を受ける神秘の子≪ゴールデン・チャイルド≫が、チベットの寺院から連れ去られてロサンゼルスに幽閉される…。そう言えば、私は以前『バレット モンク』(2003年、ポール・ハンター監督)も見たことがありました。チベット寺院に代々守られていた神秘の巻物がナチス親衛隊の襲撃によって略奪されてしまう。その巻物を追って不老不死の力を持った魔術を使う神秘的なチベット僧がニューヨークへ現れ取り返そうとする…。アイガー初登頂で知られるオーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーが戦争中チベットで過ごした7年間の自伝を映画化した『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(1997年、ジャン=ジャック・アノー監督)もありました。シアトルの9歳の少年の元に、突然三人のラマ僧が彼の前に現れ、少年を仏陀の生まれ変わりだと言う輪廻転生の物語『リトル・ブッダ』(1993年、ベルナルド・ベルトルッチ監督)も、私は以前観ました。ダライラマ14世も農家に生まれ、4歳の時に後継者として認定されました。でもダライラマが魔術を使うことは知らないよーナ。こう一作一作を思い出してみると、チベトを舞台にした映画は結構ありますーネ。


でもねそれにしても、チベット一つをとりあげても『ドクター・ストレンジ』には、スコット・デリクソン監督と脚本家の怠惰で手を抜いたアイデアの乏しい作品でした。もっと悪いことは、ディズニー製作の映画が、盗作剽窃で作品を制作する創意工夫のない二番煎じの駄作が多いことです…!!!例えば手塚治虫の漫画『ジャングル大帝』をパクったディズニーのアニメ『ライオンキング』は、大胆な盗作でした。結局、ディズニーのアニメのネタの参考になって光栄です―と言うことで裁判沙汰にはならなかった…。ディズニーの「アニメブランド」ならばなんても許されるー、ヒットして人気を博すれば「ディズニーブランド」原作になるという詐欺まがいの驕りです。回復不能の神経麻痺のリハビリまでは医学の映画で、通り一遍のストーリですが、チベット仏教の聖地を魔術の戦いにするファンタジーの後半は誤魔化しですーネ。まるで「ハリーポッター」の続編の世界ですーネ。


もう一つだけ、苦言を呈しておきます。アメリカは、トランプ大統領が選挙によって政権を取ってからすぐに、大統領令によってアメリカ国民にとって重大な政策選択が幾つか出されました。一つは今アメリカを二分にして、イスラム教国のビザパスポート携帯者を対象に、テロ撲滅テロ対策のためというスローガンによって中東7か国の入国禁止令ですーネ。宗教への弾圧、人権侵害としてとうとう大統領令無効の裁判まで続いています。もう一つは、「オバマケア―見直し」と呼ばれる政策で、オバマ前大統領が導入した医療保険制度の改革撤廃を掲げた。先進国で唯一の皆保険制度のないアメリカで、民間保険会社の保険料が高額のため、6人に1人が健康保険に未加入の市民が、「盲腸」で入院手術した、財産破産することがあるという…。オバマはアメリカの保険会社主導の保険制度に対して、普通のアメリカ市民に手頃な価格で、質の高い治療を受けられる健康保険制度に加入できる制度へ改革する施策だった。もう一つは自民党政権が無理してゴリ押しで加盟を宣言した「TPP」への離脱かな…。少なくても、医療に関係のある新しい映画ならば、この「オバマケア―見直し」の愚作、金持ちをと資本家を優遇する、アメリカ医療制度を問題視する映画を制作してほしいですーネ!!!医療はますます高度化、高額になっている現状で、病気になったら薬を処方してもらえる金もなく、ただ「死」を待つだけの貧困層のアメリカ人に…、いや日本は呑気に傍観してられないよ、日本もアメリカと同じ路線を進んでいます…医療と社会保障の充実こそ、アメリカも日本も景気対策と雇用増大よりも大きい問題だろよ…!!!
 


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2本目は、2013年6月に情報関係のCIA職員エドワード・スノーデンがアメリカ政府の国際的監視プログラムの存在を世界中に知らしめ、史上最大の醜聞を内部告発者した人間として、世界中にそのニュースが駆け巡り、歴史に名を刻んだ「スノーデン」事件をオリヴァー・ストーン監督が映画化した『スノーデン』(2016年公開、オリヴァー・ストーン監督)でした。


2004年に戦争で大怪我を負って除隊したスノーデンは、9.11テロで傷ついた祖国のために働きたいと念願し、CIAの情報部門に転職した。スイス、日本、ハワイでの情報勤務を経験していく過程で、スノーデンは2012年12月頃より、対テロ捜査の名のもとでアメリカ政府が行う情報戦略が不法行為であることを悔み、上層部の私生活の監視まで政府の干渉をしているという強迫観念に囚われる。英紙ガーディアンはスノーデンを通して様々な極秘情報や機密資料を暴露した…。例えば、国家情報長官の指示によって合衆国内で30億件/月、全世界で970億件/月のインターネットと電話回線の傍受が行なわれていたことを明らかにした。また、スノーデンによると、NSAは世界中で6万1000件以上のハッキングを行っており、そのうち数百回以上が中国大陸と香港の政治、ビジネス、学術界を目標として行われたという。例えば、NSAが日本を含めた38カ国の大使館に対しても盗聴を行っていた、特に、ロシアのメドベージェフ大統領(当時)の衛星通話の盗聴を試みていたという。


オリヴァー・ストーン監督)は、映画でこうしたスノーデンのアメリカ政府への疑惑と不信感と情報の暴露までをドキュメンタリー風に克明に映像化しています。


さて、今の彼はどうなっているのか?気になりますが。FBIは情報漏洩罪など数十の容疑で捜査に乗り出した。初めスノーデンはアイスランドへの政治亡命を希望したが、アイスランド政府は関与せずだった。2013年8月1日、スノーデンは、ロシア連邦移民局から一年間の滞在許可証が発給され、漸く空港での足止めからロシアに入国。滞在期間延長が申請され、3年間の期限付き居住権を得た。後にロシアの居住許可は2020年までに延長された。私もスノーデンを応援したいですーネ。

 




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3本目は、新宿・歌舞伎町を舞台に、繁華街で可愛い女性に声をかけてキャバレーのホステスや風俗嬢、AV出演などのお店に女性を送り込むスカウト会社「新宿バースト」のスカウトマンで、新宿に腹ぺこ一文無しで流れ着いた白鳥龍彦(綾野剛)を主人公にしたヤクザ&バイオレンス映画『新宿スワンII』(2017年、園子温監督)でした。


part2では、新宿繁華街でライバルスカウト会社「ハーレム」と合併して平穏になったスカウト合戦に、今度は新店舗がオープンする横浜繁華街に進出する計画が持ち上がった。横浜に縄張りをはり、横浜に君臨する横浜ウィザードの滝正樹(浅野忠信)と勢力争いする。横浜のタキと新宿バーストの白鳥が、麻薬の密売も絡んで、刑事・砂子(笹野高史)や新宿の暴力団・紋舞会の会長天野修善(吉田鋼太郎)も介入して、新宿バーストはピンチを迎える…。


和久井健の人気コミックを、園子温監督がpart1の「新宿スワン」を製作した、その続編なので、私はついついて観てしまいました。同じバイオレンス映画のDVDディストラクション・ベイビー』(真利子哲也監督)とは似て非なる作品です…。果たして、どうしてこうもやくざ映画が多いのかな…という私が以前吐露した疑問の「答え」をその内に書きたいなと思っています。「世の中からはみ出してまともなサラ―リーマンで生きていけない少年、社会からつま弾きされたグレた少年はこんなヤクザ世界でしか引き受け手はないだろうよー」と何処かのヤクザがテレビで言っていたかな…。よく永六輔がラジオで、「敗戦後間もなく、GHQが東京の繁華街にジープで乗り込み、街の商売女パンパンでない、素人の女の人に傍若無人にちょっかいを出していたのを、日本のヤクザが身を挺して守った戦後の闇市の時代のヤクザの役割と歴史を忘れてはならないよー」と言ってたことを記憶しています。もともとヤクザや露天商のルーツを中国まで遡って、この人間の「アナーキな力」の所在、暴力論を是非論じて見たいです。

 

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主人公の会計士、クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)の裏の本当の顔は、実は、世界中に蔓延る極悪人たちの裏帳簿を仕切る闇の資金管理人、それていて大企業や権力者やヤクザたちの悪に鉄槌を下す正義の暗殺者でした。しかも、標的は必ず仕留める周到な殺し屋でした。ある時、彼に軍事的武器とか義腕義足など多角経営をする大手企業・リビング・ロボから内部収支決算の経理帳簿の誤魔化しを暴いてくれという財務調査の依頼が寄せられる。4~5年分の過去の財務帳簿をなんと一晩で分析するクリスチャンの驚異的な数学処理能力の結果、重大な経理不正のからくりを発見する。が、突然彼への依頼と調査がストップがかかる。リビング・ロボの社長ラマー(ジョン・リスゴー)が、ウルフの暗殺の最後の標的になった。


4本目は、会計士でありながら凄腕の殺し屋であるが、更にもう一つの顔は子供の時より発達障害の子どもであったというチョット変わったアクション&犯罪映画『ザ・コンサルタント/THE ACCOUNTANT』(2016年、ギャヴィン・オコナー監督)でした。

 

「月曜日に生まれ、~水曜日に結婚して~」と、一週間を人の一生のように歌う古いイギリス伝承の童謡を繰り返して呟きながら、人を暗殺するウルフの存在を事件捜査するFBI分析官のメリーベス(シンシア・アダイ・ロビンソン)が気づいていた。映画の初めに精神障碍者の施設へ入所させる場面から始まった…。私はつい、「これなんの映画なの」と胡乱に思いました。教師の母と離婚してた軍人の父は、幼い頃よりコーチを雇い東南アジアの格闘技「シラット」を教え、「自分の殻を破れ・・・」とウルフの発達障害を強制する特訓をしていた。私はこれまで、「アスペルガー症候群」やサヴァン症候群などの自閉症の子どもや青年を主人公にした映画はたくさん見てきましたー。ダスティン・ホフマン主演の映画『レインマン』(1988年、バリー・レヴィンソン監督)、SMAPの中居正広主演の『ATARU』( 2012年~TVドラマ、2013年劇場版、木村ひさし監督 )、ジョナサン・サフラン原作トム・ハンクス主演の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011年、スティーヴン・ダルドリー監督)などがすぐに思い浮かべます。その特殊な才能を犯罪や芸術の分野で開花する作品は多数ありましたが、.ただ、今作のようにその特殊な才能を暗殺者として登場させるのは初めてです。でもね、あれこれアスペルガーについてネットで調べると東大生の4人に一人がアスベルガであると書いている東大生がいました…。



過去にDVD特選映画のテーマで「障害者と映画」中で発達障害の映画をかなりたくさん観賞しましたが、私もストーリの持つ突飛なオリジナリティーにエ~エーエ~と意表を突かれました…。でも、この映画には、明かされていない謎のピースが幾つか残っています。敢えて故意に未解決のピースを残しているのかもしれません。今までお互いに行方不明だったウルフの弟がリビング・ロボ社長のラマーを襲撃するときに、彼の敵対者として登場する。しかし、プロットでは別れた後にどうなったのか、再び行方不明です。もし続編があるならば、弟・ブラクストンから始まるーネ。それとウルフの殺しの取次ぎ役で、彼に依頼者からの指示を伝える電話の女性は誰なのか…?精神障碍者の施設にいたコンピュータを捜査する女性かな…?最後に、キャンピングトレーナーで逃亡中のウルフの居た隠れ家に戻ったあの経理事務の女性・ディナはどうしたのかな…?もし続編があるならば、二人は一緒に意気投合して生活できるのかな…?この3点が続編で明らかにされるでしょう。





  

尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…