11月上旬特選映画【27】★映画のMIKATA「奇蹟がくれた数式」★映画をMITAKA | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。




11月上旬の特選映画をアップロードします。今回11月は『スター・トレック/BEYOND』、『われらが背きし者』、『奇蹟がくれた数式』、『何者』…通算で4本を観賞しました。名作傑作映画が押し競饅頭状態で、実りの多い霜月です。頬をなでる朝の風が急に寒くなりました。私の「休業」はいつ終わるのかな…?。再び、横浜地下鉄・坂東橋で降りて、南区役所の防災センターに帰る日は何時なのかな???次第に映画館「ジャック&ベティ―」から足が遠ざかりました…!!!今月も「ジャック&ベティ―」で観たい作品がたくさんあります。「ダゲレオタイプの女」「だれかの木琴」「ソング・オブ・ラホール」は、必見カナ。邦画も洋画も、そろそろアカデミー賞狙いの映画が公開され」る時期デスーね。私が選んだ特選映画1本は、『奇蹟がくれた数式』でした。


最近映画のおしゃべりが聞きたくてfm那覇78.0mhzの「なーりーの星空シアター」という番組を聞いてます。この番組で『沖縄を変えた男』という沖縄の高校野球の映画なんだけれども、初めて知りました。ガレッジセール・ゴリさんが主演しています。ただ、上映館を調べて見ると神奈川県内ではやってないんだよね・・・。女性のパーソナリティーが映画についての話題を毎週木曜日20:30-20:56にオンエアしてます。もうちょっと長く1時間ぐらいは聞きたいよね!。ポッドキャストでも聴けます…、一度お立ち寄りのうえ耳を傾けてください。本当は≪ジャック&ベティ―」≫か≪チネチッタ≫か≪川崎アートセンター≫で上映してほしいですーネ。そろそろ沖縄の作家か監督が、沖縄と米軍基地を小説か映画にして、沖縄から「本土」に発信してほしいです…。放送の感想メールを届けると喜ぶかもしれません。下記アドレスをご参照ください。

http://www.fmnaha.jp/podcast_detail.php?program_id=68













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本目は、≪パワーストーン≫をめぐり、ジェームズ・T・カーク達はエイリアンたちに襲撃され、エンタープライズ号は破壊され、避難のためにカプセルで脱出する向った先は、宇宙基地≪ヨークタウン≫であった。この宇宙基地でエイリアンに対して逆襲する『スター・トレック/BEYOND』(2016年、ジャスティン・リン監督、原作:ジーン・ロッデンベリー、脚本:サイモン・ペッグ他)でした。

 

新シリーズの今作第3弾では、前2作のJ・J・エイブラムス監督は製作側に回り、監督は『ワイルド・スピード』などの製作でメガホンをとったジャスティン・リンが務めた。正直言って、余りに長いシリーズなので、私はこういう作品は嫌いです・・・。だってね、もはや、ブラックボックスとか銀河系とかビックバンに関する宇宙論は、いまだ神秘の謎に包まれてはいるが、「ロマン」のままで「無限の宇宙」の前に科学は躊躇して平伏している訳ではありませんから。常に科学の解明は進んでいます。でも、昨今の「スタートレック」の宇宙論は、この「無限の宇宙のロマン」のままで、科学は「神」に跪ずいてる気がしました・・・。「スタートレック」も「スターウォーズ」も、最早、陳腐な宇宙の冒険ロマンしか残っていないのではないのか・・・ナ?アメリカの天文学者、SF作家であり、コーネル大学教授としてNASAの惑星探査の指導者であったカール・エドワード・セーガンが、『コスモス(COSMOS)』(1978年~1979年にKCETが制作放送)や『コンタクト』(1997年公開、ロバート・ゼメキス監督、マイケル・ゴールデンバグ 脚本)の製作に参加したように、ノーベル賞クラスの天文学者や物理学者が参加したSF映画を制作すべきではないのかな…!!!


全編を詳しくもう一度見ないと、私は今作は・・・となんか書こうとすると、言葉が詰まってしまいます。昔々は欠かさずにTVでウィリアム・シャトナーの「スタートレック」を見てましたよ。あの頃のTV版は見るのが楽しかったです。でもね、シリーズが長くなると、ストーリが複雑になり、ゴチャゴチャして来る。しかもクルーの俳優が多くなって、ストーリがコンガラガッテ来るんですーヨ。それが嫌いなんです。勿論、J・J・エイブラムス監督の第一弾『スター・トレック」(2009年公開)、第2弾『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013年公開)は観ましたよ…。デモなんか、レナード・ニモイ監督が懐かしい、カーク船長役の若いクリス・パインが未だにどうしても馴染めないのですーよ。


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イギリスで「詩」を教えている大学教授ペリー(ユアン・マクレガー)と、その妻で敏腕の「弁護士」ゲイル(ナオミ・ハリス)は、不倫の末の険悪な夫婦仲を修復しようと、モロッコでバカンスを楽しんでいたのだが、その夜に立ち寄ったバーで、ロシアンマフィアのディマ(ステラン・スカルスガルド)と偶然知り合いう。2本目は、初対面のディマからその夜のパーティ―に付き合えーと誘われ、やがて彼から、マフィア組織の資金洗浄をめぐる情報の入ったUSBメモリーをイギリスの空港に到着した時にMI6に渡してほしいと、危険で無謀な依頼を受けるスパイ映画『われらが背きし者』(2016年、スザンナ・ホワイト監督、 原作:ル・カレ)でした。


ジョン・ル・カレといえば、英国の秘密情報に勤務して、後に作家となった経歴ゆえに、その稀有な本格的諜報活動のキャリアと経験から、スパイ小説を次々に書いた作家です。『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963年刊行)は、マーティン・リット監督によってス映画化され、私も以前DVDを観賞しました。

 

イギリスの下院議員を何人も抱き込み、国益を左右する銀行さえも組織の末端として捲き込む巨額の汚れたロシアンマフィアの資金洗浄のストーリは、ストーリそのもので魅了するスパイ小説でした。ただ、米ソの冷戦時代も終わった21世紀は、「スパイ活動」という国際舞台の魅力が半減した。『れらが背きし者』もまた、『寒い国から帰ってきたスパイ』程の手に汗握るハラハラがあまりなかったです。まあ、エドワード・ジョセフ・スノーデンが、日本やフランスなど同盟国を含む38カ国の在米大使館や代表部を米国家安全保障局が盗聴してきたことを暴露した「スノーデン事件」は、スノーデンが国外へ亡命するなど時の国際ニュースになった。やはり古臭いスパイ合戦だな…と感じる時代ですからーね。もしもスパイ合戦によりリアリティーを着色するスパイ映画ならば、やはり中国共産党中央委員会総書記の習近平や、北朝鮮の最高指導者「金 正恩(キム・ジョンウン)」や東南アジア、特に話題の多いフィリピンのドゥテルテ大統領や、未だ軍事政権の強いミャンマー連邦共和国のトップを盗聴をしないとね…。いやや、アメリカはひょっとすると彼らの寝室にもう既に盗聴器を隠しているかもしれませんーね。


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イギリスの植民地だったインドの極貧のバラモン階級の家庭に生まれ、独学で数学の難問を研究した数学の天才といわれたインド人青年・シュリニヴァーサ・ラマヌジャン(デヴ・パテル)は、ケンブリッジ大学のイギリス人数学者G・H・ハーディ(ジェレミー・アイアンズ)に自分の数学論文の片鱗を手紙に書いて届けた。後々、数学者G・H・ハーディは、ラマヌジャンの、驚異的な数学の才能を見抜き、彼をケンブリッジ大学に招聘した。3本目は、教授とインド人青年との篤い友情を描いた数学史上の秘話を映画化した『奇蹟がくれた数式』(2015年、マシュー・ブラウン監督&脚本、原作:ロバート・カニーゲル『無限の天才/夭逝の数学者・ラマヌジャン』)でした。


学位もなく社会的階級も低いインド人青年が、15歳のときにたまたま手にした数学公式集『純粋数学要覧』の古本から影響を受けて、木の棒やチョークで地面に計算式と公式を描き、イギリスの港湾事務所で帳簿つけをしながら数学の研究に没頭した。ところが、無名の青年が次々と閃き、導き出した数学的発見は、数学史上の難問と、学史上未知の「定理」を、証明さえ飛ばして奇跡的に発見した天才…。しかも、ラマヌジャンが瞬間的に閃いた定理は、マギーリ女神が教えてくれた啓示のようなものだという神秘的奇跡的なものであった。。『スラムドッグ$ミリオネア』で出演していたラマヌジャン役のデヴ・パテルが好演でした。後の数学者は彼を「数学の詩人」「インドの魔術師」と呼んだそうだ。数学史上有名なロマンチックなエピソードは、恐らく、アインシュタインを映画にするならば、自伝的なドキュメンタリー風の内容になる筈です。だが、ラマヌジャンを描くこの映画は、彼の天賦の才能と、貧困の末の数学的な「定理」の発見、病気で志半ばで倒れ夭折した光の当たらぬ境遇は、「神の恩寵」と不遇と思いたくなる・・・それくらい不思議な奇跡の物語でしたー。

今年の「アカデミー賞」にノミネートされそうな感動的な名作でした。


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就職活動を始めた大学生が四人、部活の舞台で脚本と俳優を続け、友だち仲間をいつも冷静に分析する覚めた若者で、就活のために演劇を引退する拓人役の佐藤健、光太郎の元カノで、拓人が恋心を寄せるが一線を越えない友達付き合いの時、光太郎に先に恋人に獲られる。後に父親の不倫で夫婦別れとなり母親と暮らすようになる最も質素な良妻賢母型の女子大生・瑞月役の有村架純、拓人の部屋の上に住んでいた帰国子女で、一流企業よりも自分の能力を発揮できる企業へ就活を続けるモダン女子大生・理香役に二階堂ふみ、拓人のルームメイトで、バンド演奏でギターとボーカルに青春を燃やしたネアカな、もっとも現代大学性らしい天真爛漫な光太郎役に菅田将暉、でも就活では真っ先に内定を決めた。理香と少し前から同棲中で、大学を一年休学しつつ「個」の能力を開発したいと雑文を書いて寄稿している、就活とは距離を置いているクリエイター志望の隆良役に岡田将生、理系の大学院生で、拓人のアルバイト先の先輩でもあり、皆を客観的に見ているやや年上の山田孝之・・・。4本目は、現代大学生の就活の生態観察記であり、これから就職して企業の一歯車として働く学生の姿、社会人になる直前の複雑な意識調査でもある『何者』(2016年公開、三浦大輔監督&脚本、朝井リョウ原作、川村元気企画)でした。


早稲田大学在学中2009年に、『桐島、部活やめるってよ』で、高校生の初々しい生態を描いて、第22回小説すばる新人賞を受賞、華々しくデビューした朝井リョウです。その作品は直ぐに吉田大八監督、神木隆之介主演により映画化されました。出版社の広告塔としての並々ならぬ後ろ盾がなくては、才能以上の不可能なトントン拍子の出世だな…と、嫉妬深い私は勘繰ってしまいます。この映画は私のブログでも批判的なコメントを載せたことがありました。更に、2012年11月に刊行された『何者』(新潮社)で、平成生まれの作家・朝井リョウ(本名:佐々井 遼、27歳)は、第148回直木賞を受賞・・・、直ぐに今回、三浦大輔監督&脚本によって『何者』は、映画化されました。もはや、朝井リョウは直木賞受賞作家で、押しも押されぬ一流作家になったな…!?。私には27歳の朝井リョウの直木賞は早すぎるーナ、尚且つ、精一杯の人間観察かなーと感じました。でもねーもっとゆっくり自分を作家として、体験を積んで、才能をもっと磨いてもいいのではないのかな…。確かに、緊張した面接の風景はTVドラマでよく目にします。学生には身につまされるだろうーネ。でもね、「朝井リョウ」の世界は、限られた学生生活と、出版社内しかないのかな???小さい小さい…ヨ!!!


気になったのが大学の演劇部で拓人と一緒に活動して、就活をせずに新しい劇団を立ち上げて、一か月に一回公演している演劇仲間の烏丸の輪郭と姿が曖昧ですね。拓人がラストシーンで企業面接で志望動機を1分間で発表する中で、彼は面接官の前で幾度か途中で言い淀んだー。「すいません…彼の公演を初めて観に行きました…見ていて恥ずかしかったです…すいません1分間ではとてもまとまりません…」とつっかえて中断した。やはりその後で、彼の心にわだかまっていた心意は、「公演は自己主張の塊のような演劇でした。でも表現したい≪個性≫を持っていました、私も彼のように生きたいです…≫と、言いたかったのかな???何よりも、でも劇中の舞台に私は目を見張りました、素晴らしい前衛的肉体表現です。寧ろ、劇団演出家の三浦大輔監督の生き方と大作なのかな、という感想です。


尚、 誤字脱字その他のために、アップした後で文章の校正をする時があります。予告なしに突然補筆訂正することがありますが、ご容赦ください…