もう一つのマジすか学園 第3章8話番外編その4 | 指オタクオリティー

もう一つのマジすか学園 第3章8話番外編その4


~ミソのゲキカラROCK~

「あの~シブヤさんってゲキカラさんに何の用だったのですか?」

優子の名前が出てから黙り込んでしまったゲキカラにミソは話しかけてみた。

「ああ~シブヤか・・・さっきの話・・・優子さんって人なんだけど・・・

優子さんがココのラッパッパ部長だったのは知っているか?」

ゲキカラの口調は重かったがそれでもポツリポツリ話始めた。

「はい。それは知っています。ウチの先輩達もかなりヤラれたみたいですよね」

「ああ~ヤバ女とは嫌って言うほど喧嘩したな。優子さんはいつも誰よりも真っ先に飛び出して

行くんだよ。それで楽しいって言うんだよ。本当に楽しそうに喧嘩してた・・・」

「相当強いんですよね?ゲキカラさんより強いんですか?」

「私なんて手も足も出ないよ。今まで色々な奴と喧嘩したけど笑いながら殴られて負けたのは

優子さんだけだよ」「笑いながらですか?」「ああ~それも心底楽しそうにな。そんな相手に

負けてみろ。もう2度ゴメンだと思うよ」

少し照れながらゲキカラは優子とのタイマンの話をしてくれた。

「その人、優子さんって人は卒業したんですよね?今は会ってないのですか?」

今年1年生のミソは優子が病気で亡くなった事を知らなかった。

「えっ?ああ~今は会ってないな」ゲキカラは答えながら心臓が痛くなる想いだった。

「私、会ってみたいです。ゲキカラさんがそこまで言う人に」

「ああ~そうだな」とゲキカラが言った時に体育館のドアが開き

「嘘つくな!優子さんはもういないんだ。いい加減に目を覚ませ!」

シブヤが怒鳴り込みながら入ってきた。

「嘘?いない?どう言う事なんですかゲキカラさん」

ミソがゲキカラを見ると表情は怒りに満ちていたが目がすごく悲しそうな感じがした。

「てめぇ何言ってんだ。それ以上、言ったらぶっ殺すぞ」

「ああ、やってみろよ。何度でも言う、優子さんはもういないんだ」

シブヤが言い終わるとゲキカラが動き拳をシブヤに向かって放ったが、

その2人の間に人が入りゲキカラの拳は空を切った。

「ダンス!余計なことするんじゃねぇ」真っ直ぐゲキカラを見つめたシブヤが口を開いた。

「でも・・・」「いいから。ありがとな。これは元ラッパッパの問題なんだ。コイツの目を

覚ませる事が出来るのは私だけなんだ」「誰がそんな事、頼んだよ。お前に関係無いだろ」

「お前それ本気で言ってるのか?今のお前の姿を優子さんが見たら何て言うかな?」

「何とでも言えば良いよ。何でも良いから言って欲しいよ」

ゲキカラは大粒の涙をこぼしながら大声で叫んだ。

この場にいるミソ、ダンス、おたべ、ホルモンの面々はゲキカラが感情を剥き出しにしている

姿を初めて見た。そしてその理由が今は亡き優子への想いだと知ると胸が締め付けられる思い

だった。対峙しているシブヤは当然その理由は分かっていたが

「はあ?お前はバカか。もういないのにどうやって言えるんだよ」

「てめぇ・・・」言葉にならない悲痛な叫びを発しながらゲキカラはシブヤに殴りかかった。

しかしその拳はあっさり避けられ逆にシブヤのパンチを貰いその場に倒れた。

「いいかゲキカラ。優子さんは悲しいけどもういないんだ。1人で前を向くのが怖いなら

私やサド達もいる。後ろを振り向いてもしょうがないんだ」シブヤは倒れているゲキカラに言った。



「・・・もういいや・・・面倒臭せぇ・・・ははは・・・そうだよ・・・みんな壊れちゃえば

いいんだよ・・・そうすれば優子さんに会えるかも・・・ははは・・・」

ゲキカラは片膝を付きながらそう言って立ち上がってきた。

「ふん。そう言えばお前とちゃんとヤルのは初めてだよな?私がお前を壊してやるよ。

それで全てリセットしろ」シブヤはそう言い切ると前に出た。

ゲキカラはフラフラ揺れていた。シブヤにパンチを貰ったが今度は倒れなかった。

そして再び笑い始めた。シブヤがパンチを出す。ゲキカラが1発返し笑う。

またシブヤがパンチを出す。ゲキカラは2発返して笑う。ゲキカラの反撃が3発・4発と

なった時にシブヤは床に崩れ落ちた。「ははは・・・」

笑いながらシブヤにトドメをさそうとゲキカラが前に出た。

するとそこにダンスが壁となって間に入った。

驚いたゲキカラは「お前には関係無いんだ。そこどけよ!」

「絶対にどきません」ダンスはシブヤの前に立ち真剣な表情でゲキカラを見た。

しかしかまわずゲキカラはダンスを殴った。

「おかしいですよ!さっきは意味のある喧嘩をしろって言ったゲキカラさんなのに無抵抗の

ダンスさんを殴るなんて・・・そんなのおかしいです」

今度はミソがゲキカラの前に立ちはだかった。

「いいからどけよ。お前に関係無い話だ」ゲキカラは少なからず動揺していた。

「優子さんって人は、そうしたのですか?ゲキカラさんの事を心配して駆けつけてくれた

友達や仲間を殴っていたのですか?そんな人だったんですか?答えてください」

ミソはゲキカラのやりきれない気持ちは何となくだが理解していた。しかしそれでも

そんな理不尽なゲキカラを見たくない気持ちで殴られるのを覚悟で精一杯の抵抗をした。

「答えてください!ゲキカラさんの好きな優子さんはそんな人なんですか?」

「優子さんは・・・優子さん・・・」ゲキカラは優子の名前を呼び続けその場に泣き崩れた。

ダンスに起されたシブヤはゲキカラのそばに行き「悪かったな。優子さんに会いに行こうぜ」

ゲキカラの背中に手を回し口を開いた。その言葉に反応したようにゲキカラが顔を上げると

「一緒に会いに行こう」そこにサド、ブラック、トリゴヤが立っていた。



数日後、ミソは優子の墓前にいた。

「悪かったな。呼び出したりして」そこには笑顔のゲキカラが立っていた。

「いえ。ここが優子さんのお墓なんですか?」「ああ~ここがそうだ」

「お祈りして良いですか?」「おお。ぜひしてくれ。そうだその前にミソにこれやるよ」

ゲキカラは自らのトレードマークROCKのネックレスをミソに手渡した。

「いいんですか?貰っても」「ああ~お前に言われて目が覚めたからな」

「そんな・・・」「それとこないだ殴っちゃったダンスには謝っといてくれ」

「ダンスさんなら大丈夫だと思います」「そう言えばシブヤは学校辞めたんだって?」

「はい。それでダンスさんがヤバ女統一の為に立ち上がりました」

「ほお~ダンスか」「はい。私もタイマン張りました」「負けただろ」

「はい。何で分かるんですか?」「アイツは相当強いぞ。シブヤの影に隠れているから

分からないけどな。何となくだけど優子さんに似ているんだよ」

「そうなんですか?私もダンスさんについていけばゲキカラさんみたいになれますか?」

「私!?何言ってんだ。バカな会話はここで終了だ」

そう言って2人は優子の墓前に手を合わせた。

おわり

もう一つのマジすか学園 第3章8話

マジすか学園スピンオフ まとめ