「トゥームストーン」(2) B級魂とは・・。 | ササポンのブログ

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オープニング、本作の悪党ども、カウボーイズの説明が、懐かしいサイレント映画風な映像ではじまる。
もちろん、合成の作りものだが、これで彼らの悪事が、手短に説明されると同時に、時代の雰囲気が醸し出される。

そしていきなり馬を走らせるカウボーイズのロングショット!!
そして鳴り響くエルマ風の正統派、西部劇テーマ!!

これこそが、
この呼吸こそが
B級、娯楽西部劇の呼吸だ。

このカーボーイズのやつらが、また悪いやつ。
恥ずかしいぐらいに、悪い奴。
自分たちに反抗する保安官の結婚式にいって、
荒らしまわる。
新郎の保安官をいたぶり殺し
花嫁を犯して殺す。
そして止めに
神父まで殺す。
殺したのは、リンゴー!!
聖書の黙示録を諳んじる知性と
神父を撃つ殺す、残忍性を持った悪党・・
マイケルビーンがえげつなく、楽しげに演じる。
こういう素敵な悪党もまたB級
悪いやつは徹底的に悪い。
殺されて当然なほど悪くなくてはならない


一方、アープ一家は、
平穏を求めて、トゥームストーンに・・。
店のウィンドーに自分たちの姿を映して悦に入る凡俗ぶり。
街の酒場のオーナーとなり、
金を稼ぐために自分たちの腕を使おうとする。

観客はみんな知っている。
最終的には、
彼らが、悪党どもと対決することを・・。
ゆえに、物語は、彼らが対決を嫌がっている、
腰ぬけのように描く。
安定を求める、正義感など忘れたような人物として描く。

やがて悪党たちが街に入り込む。

そこにはもう絵に描いたような太った保安官。
正義感はあるが、腕はない。

こういう描かれ方をされると、
もう西部劇ファンなら次の展開は読める。

そして話は、そのように進む。
観客の欲求は、どんどん彼らアープ一家の正義感による立ち上がりに
期待する。

そこでひと工夫、
まず兄と弟が立ちあがった。
ワイアットがとめるのも聞かないで、
悪党に向っていく。

逆襲される・・。

もうここまできたら、
西部劇ファンは、ラストまで話は読める。

そして映画は、もうその通りに進む。
その通りに進まなくては許されない。

悪に立ち向かったワイアット・アープはもう震えるほど
かっこいい。
アメリカの客なら立ち上がって、喝采するほどかっこいい。

そして隣には、死の影を漂わせたドク・ホリディ。

リンゴーが、最初のシーンでそらんじた、
黙示録の「青ざめた馬」が
ドクホリディだったという裏の設定もさりげなく・・。

すべての娯楽のツボを押さえる。
これこそが、
B級魂。
観客が望むものを、最高にかっこいい形で提示してみせる。
それがB級映画。

その呼吸を知った職人だけが作りうる
誇り高き映画。