数日前。
バイクで車の横をすり抜けたら、それがいたく腹立しかったらしい。
直後にものすごい急アクセルで俺を追い越した後。
車がキッと止まり。
ドアが開いた。
……けど、また閉じた。
？？？
一瞬、見てたら。
また開いた。
中から、今度はえらい剣幕の男が降りて来た。
俺と同い年か少し上くらいか。
「テメー 何やってんだよ！？危ねえんだよ！！喧嘩売ってんのか？！」
……いやいや、別に売ってねーし。
……しかし、すんごい勢いですが。
もしかしてこれ、ぶん殴りっことかしちゃいたい雰囲気ですか？
てかヤル気満々ですよね？
…けどちなみにワタクシ、ちょこっとだけ強いですよ？笑
まさかの展開に、こっちがビックリしちゃうよ！
俺「はぁ、すいません」
男「すいませんじゃねーんだよ！それで済むと思ってんのかよ！？」
俺「え、何？喧嘩したいの？？笑」
男「テメー ふざけんじゃねーぞ！！」
イヤですイヤですやめて下さい！
ボクはそんな気はないんです！
全くヤル気はないんです！
……しかし、降りかかる火の粉は払わねばなるまい。
仕方がない。
俺は嫌だったけど、仕方がない！
正当防衛せざるを得ない！笑
「え？何？俺と喧嘩したいの？笑」
知らずにウッカリ喧嘩売っちゃった相手が、ボクシングのチャンピオンて。
ベタベタのコントか！
もしくは偶然一人ドッキリテレビ！
……栄光ライセンスでも見せた後、ヤッベーってなった後に「チャッチャラー♩」とか言ってドッキリのプラカード出したい！
…俺は騙す気なかったけどな！
……しかしまだ中年男の勢いは止まらない。
男「テメー なめてんのかよ！？おおおーーー！！？」
俺「…いいよやろうよ（仕方がないから）。笑 ちょっと車脇に寄せてさ」
男「……馬鹿野郎テメー、気を付けろ！！」
俺「だからいいよ。やりたいんならやろうよ（仕方がないから）。笑」
男「……テメー二度と喧嘩売ってくんじゃねーぞ！！今度から気をつけろ！！」
捨て台詞を吐き、クルッと背を向けてスタスタと車に戻る。
……えええ～～～～？？
一方的に喧嘩売って来てたのは、そっちでしょ！？
そして何事もなかったのように発進。
……ええええ～～～～～～！？
…しかしまぁ、普通の町中だったので、次の信号待ちで嫌でも追いついちゃう。
車の真横に行って、中を覗き込んだ。
するとその助手席には………！
何と………！！
……それは、悲劇のほんの序章だった。
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