東京に戻ってきました。
静かな信州の夜から、ガラリと変わって、小雨降る都会のネオンまたたく賑やかな夜、ジャック•ブレルを日本語の歌詞で聴きたくなって、ヘビーリピートで聴いています。
ブレルの歌詞を日本語の歌にするのはさぞかし難しいことと思うのに、さすが加藤登紀子さん。原詞に限りなく近く、ものの見事で、やっぱり登紀子さんは素晴らしいなと思います。

私の二十歳の頃、ブレルがうたにした街「アムステルダム」にパリから夜汽車で行きました。
朝について、美術館に行ったり、ゴンドラから街を眺めたり、美しい街は夜になると一変。
娼婦の館が所狭しと怪しげなピンク色の街になり、水夫たちが入ってゆくとガラガラと音を立てて鎧戸がしまり、カーテンが降ろされる。
街には合法のドラッグの街に変わり果てて、あまりに恐くなった私は、コロンビア人のミゲルという友人に別れを告げ、その日の夜にブリュッセル経由の夜汽車でヘトヘトでパリへ帰ってきたのを忘れられません。
ブリュッセルにつくと真夜中の3時。
乗り換えがわからない私を親切にしてくれたのはベルギーに住む黒人の男性。とても親切な紳士で、待ち合わせ時間まで付き合ってくれて、ワッフルとホットチョコレートを飲んだ、あの時の美味しさといったら、素晴らしいものでした。
目で見てきたものは歌になる。
今になってそう思います。
加藤登紀子さんの名訳詩のブレル。
今ならもう歌えるだろうか。そうだそうしよう。
次のシャンパーニュライブで出そうかと思う夜です。