大広間は、殺気が漂っていた。
藩主は、城代家老・大杉に諭す様に、今は跡取りの藤丸の大事な時で、事を穏便に済ませと命じた。
大杉は、家老・加藤家は藤丸様暗殺に関わったのは明白、全ての男子に腹を切らせ、御家断然するのは当然と、藩主の命令を拒否しつつ、幕府には加藤家の男子は病死で、跡取りも無く加藤家は断絶した、と届けると提案した。
藩主は、この場においても大杉に反論出来ずに、萎縮してしまった。
見かねた藤丸が、口を開いた。
例え、幕府に大杉の提案を信じても、やがて真相は漏れると反論した。
続けて、この話が藤丸の婚約者の父親で老中に知れたら、藩の存亡に関わるぞと言った。
大杉は、それには心配に及ばずと即答した。老中には、付け届けをしますと言うのだ。
藤丸は瞬く間に体が熱くなり、大杉に「黙れ!」と一喝した。
脇の部屋に控えていた清吉は、全てが明かされる時が来たと思った。