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清吉が、闇夜の道を駆けていると、向こうから蹄の音が微かに聞こえてきた。

脇の雑木林に寄り、家老の加藤邸へ駆けていると、蹄の音が段々近づいた。
すると、大杉の息子が乗った馬が、藩の別邸に向かって道を走ってきた。

その後ろから、配下の藩士数名が馬を走らせ、更に10名を超える藩士達が走っていた。
これで、藤丸様と八重様達も安心するだろうと思いながら、清吉は走る足を緩めなかった。

加藤邸では、加藤と病床から起き出した長男が、藤丸暗殺成功の知らせを今か今かと待っていた。
じっと待っている長男とは反対に、酒豪の加藤は酒を飲んで時間を潰していたが、待ちくたびれて部屋の中をうろうろし始めた。

その時、門から警護担当の浪人達の声を耳にした。
吉報が届いたと思い、長男の静止を振り切り、門へ走った加藤が目にしたのは、浪人達と黒装束の男が闘っている姿であった。

慌てて他の浪人達を呼ぶ加藤であったが、怒りに満ちていた清吉の剣で、次々と浪人は倒されてしまった。