さて、日本人が保有する証券が3万件近くあるとされるマン島フレンズプロビデント社の積み立て型投資商品(セービングプラン)ですが、最近の振るわないファンドの運用で心が折れたり、急激な円安による支払いの増加、収入の減少などによる負担に耐えかねて積立をギブアップする人が増えてきているように見受けられます・・・。
積立をギブアップするというのは、具体的には積立の停止や減額、一部引き出しを経て、最悪最終的には損を覚悟で解約をするような行為のことを言います。
停止や減額、一部引き出しをする時点では、まだ自分の証券には将来の可能性があると思っているひとが多いように思いますが、停止や減額を1度してしまった人が積立額を元に戻したり、積立を再開する確立は残念ながらきわめて低いといわざるを得ません。
人間という生き物は、いちど楽をしてしまうと元に戻れない性分のようです。
25年の積み立て契約をしている人が、5年も経っていない積立を、停止や減額してそのまま放置したところで、その証券の運用が初期ユニットに対してかかる6%の手数料を上回って好転する可能性は残念ながら殆どないでしょう。
その結果、今度は一部引き出しで累積ユニットの殆どを引き出し、手数料の塊である初期ユニットだけを保有するが、そうなると証券を保有する意味も無くなり、いずれは解約する運命となってしまいます。
そのような一般的運命に従った結果、市場にはおそらく数千件、少なくとも1,000件くらいの初期ユニットだけになって保有されている抜け殻のような証券が存在すると考えられます。
はたして、このような初期ユニットONLY状態になっている抜け殻証券の保有者が解約しようとするときに出てくる「中古のフレンズプロビデント証券」は買いか?
もし、知り合いにこのようなフレンズ破綻証券の方がおられて、解約返戻金に多少色をつけた程度で円のキャッシュで譲ってもらえるとしたら、間違いなく買いです。
解約するまで心が折れきっていないひとでも、初期ユニットしかない証券を持っている人に未来はありませんので、「そのようなものを持っていても損だから」とその心をわざわざ折ってでも買い取る価値があると言っていいでしょう。
仮に契約して5年経っている25年契約の証券だとすれば、解約した場合に初期ユニットから差し引かれるペナルティーは84%です。
もし、5年前に500ドルの積み立てを25年で契約している人が、初期ユニットで支払いを停止したまま保有していたか、累積ユニットを全額引き出してしまって初期ユニットしかない場合、
2年が初期ユニットだとすると、12,000ドルを初期ユニットに支払ったにも係らず、おそらく現在の市況ではまず時価総額が12,000ドルを割っていて、なおかつ解約するとその時価総額の84%がペナルティーとして取られてしまうので、帰ってくるお金は2,000ドルくらいしかありません。
もしそのような証券をわずか2,000ドル+αで買い取れるとすれば、買い取って名義変更し、積み立てを再開して数年後にファンドの市況が好転したところで売るだけで間違いなく儲かります。
このような案件は、通常新規でRL360やITAを紹介している業者からは出てきません。
なぜなら、新規で契約してもらわなければ紹介手数料がもらえないからです。
もし、そのような業者の人脈にフレンズの中古を探してもらう際には、相応の手数料を提示する必要がありますし、おそらく提示しなくても物件価格に上乗せするはずです。
なので、フレンズの中古案件はお買い得であることは間違いないのですが、自分で物件を探さなければなりません。
そして、中古の案件は契約内容や商品のバージョン、仲介しているIFAなど条件がまちまちなので、そのなかからお買い得な案件を見つけることは難しいかもしれません。
本当にお得な情報というのは、誰かが親切に教えてくれるものではありません。
まずは、中古のフレンズプロビデント案件が流通しない業界の事情をばらしておきます。
ちなみに、オフショアのセービングプラン(積み立て商品)で、血縁や婚姻による利害関係のない全くの第三者に証券名義を譲渡できるのはフレンズプロビデントだけといってもいいでしょう。
厳密にはRL360でも可能ですが、公にはなっていません。
フレンズプロビデントととしては、そういった譲渡の柔軟性を認めていながら、中古の案件が流通することによって、その譲渡に係る金銭的利害に一切係らないし、係りたくないという姿勢があります。
それゆえ、特定の個人が、いくつもの証券を(転売目的で)買い占めるような行為は認めていません。
本来は継続してもらうことで、徴収できる手数料もあるので、たとえ名義が変わっても、継続して支払ってもらえるほうが良いに決まっていますが、そのような名義譲渡を生業とする業者がそのことでお金を稼ぐことは望んでいません。
しかも、初期ユニットを解約したときに徴収されるペナルティーの本来の意味は、あまりちゃんと理解しておられない方が多いように思いますが、「25年契約をした人なら、本来その人が25年にわたって支払うはずだった初期ユニットの時価総額に対して6%の手数料の未払い分」に相当するのです。
つまり、早期解約はプロバイダーであるフレンズプロビデントにとっては解約ペナルティーによって担保されているわけです。
IFA(仲介ブローカー)の立場ではどうでしょうか?
IFAの立場はより複雑で、そもそも顧客が5年以上積み立てを継続できないことに対してフレンズプロビデントのようなプロバイダーからその業務内容を評価され、あまりにドロップする率が高い場合には何らかのペナルティーや、最悪は取引停止がありえます。
しかしながら、そういった破綻証券の譲渡を推進しない理由として、紹介者と同じく新規の契約手数料を稼がなければならないからです。
ですので、新たにRL360やITAを購入しようとしているお客さんに、わざわざ手数料のもらえない中古のフレンズ証券を紹介するようなことはありません。
初期ユニットしかないような抜け殻証券は、IFAの立場では、できればすっきり解約して欲しいというのが本音でしょう。
IFAと繋がっている紹介業者のスタンスは、よりそれに輪をかけてドライです。
紹介業者には、契約上の何の責任もサポートの義務もありませんので、解約しようがしまいが、手数料をもらった後であればどうでもいいことです。
そして、IFA同様に、新規でもらえる手数料をみすみす見逃す手はないので、仮に中古案件の情報を握っていても黙殺するケースが多いでしょう。
IFAと紹介者のスタンスは、現在契約可能な商品の新規契約がコンスタントにないとビジネスが成り立たないという観点から、「今売れる商品を優先せざるを得ない」という部分で基本的に同じです。
このような事情から、もしあれば圧倒的に投資家に有利な「フレンズプロビデントの中古案件」に関する情報はあまりなく、あったとしてもやや手数料をぼったくられる傾向にあるといえます。
もちろん、フレンズプロビデントの中古案件は、どこかに在庫のあるようなものではなく、潜在的に「売っても良いと思うような抜け殻証券」をもっている人たちが市場には存在し、増え続けているということに過ぎません。
しかしながら、その情報を手に入れるのは容易ではありません。
一番簡単な方法は、嫌がられるのを承知でIFAに直接連絡を取り、解約を希望するクライアントが出てきたときに教えて欲しいと言っておくことです。
その際に、具体的にどのようなものが欲しいかをはっきりと伝えることも重要です。
かつてフレンズプロビデントを扱っていたIFAであれば、どこでもほぼ毎日と言っていいほど積み立ての停止や減額、解約などの問い合わせがあるはずです。
ただ、後から移管が可能とは言え、「どこのIFAが取り扱った証券なのか?」という部分も重要な選択要素の一つです。
現在RL360やITAの取り扱いのない、ジリ貧のIFAが現状仲介IFAとなっている証券の場合、買い取った後にすぐ難民になる可能性があります。
IFAに直接問い合わせをする場合には、そのあたりも十分考慮してどこのIFAにコンタクトを取るかを吟味する必要があります。
とは言え、そのように吟味して「中古のフレンズプロビデント証券を探している」とコンタクトを取ったところで、おそらくほとんどの場合、上記の理由で相手にはされないでしょう。
毎日そのような案件の情報がたゆまなくあるにも関わらずです。
ズバリ、買うべきフレンズの中古は、初期ユニットが最大18か月だった時代のPremierもしくはPremier Ultraの「International Whole Life」もしくは香港バージョンのWhole Lifeです。
そして、ほとんど初期ユニットしか残っていないもので、できれば運用がマイナスになっているものが良いです。単に安く買えるからです。
考えようによっては、累積ユニットに何年分も詰まっている解約返戻額がそこそこ大きいものであっても、解約返戻額は買取後も確実に帰ってくるものなので、今の運用がマイナスであれば良い買い物かもしれません。ただし資金は必要です。
ここで現状IFAの確認と、バージョンの見極めに次いで重要なポイントは、解約返戻額の確認です。
解約返戻額は、「現在の時価総額ー解約ペナルティー」で決定されます。
仮に、時価総額が同じ1万ドルでも、元々の契約年数と経過年数(支払い残存年数)によってペナルティーの額が変わってきますので、解約返戻額は2,000ドルのものあれば、3,000ドルのものもあります。
累積ユニットにそこそこ積み立てられているものは、累積ユニットにはペナルティーは掛かりませんので、累積ユニットの時価総額がまるまる解約返戻額に乗ってくるため割高になります。
解約返戻額が小さいものは、買い取りの交渉価格が安くはなりますが、単純にお買い得というわけでもありません。
解約返戻額の大きいものでも、それはそれだけのバリューがあるからそれはそれで良いのです。
要は予算の問題です。
日本にある現金を一挙に海外に移転したいと考えている人にとっては、解約返戻額の大きい証券を円のキャッシュで買い取ることができれば、何の足跡も残さずにマン島の保険証券に資産を移転することが可能です。
(※現在は名義変更時にTAX IDとしてマイナンバーの提示が必要です)
解約したい証券の保有者との交渉において、ベストのケースは解約返戻額とほぼ同額で買い取ることですが、目の前に買いたいという人が現れると欲が出るものですので多少は色を付けてあげる必要はあるかもしれません。
多くの解約したい方は、「すぐに現金が欲しい」というニーズがあり、解約して現金を手にするまで1ヵ月も待てないという方も多いでしょう。
そういった場合には、円の現金を用意してあげれば喜ばれると思います。
買い取り額の交渉範囲は、解約返戻額~解約返戻額+30万円くらいではないかと思います。
もし、誰か仲介者に探してもらうとしても、30万円くらいの紹介料の取り代があれば十分でしょう。
結論を言いますと、フレンズプロビデントの中古は、もし良い出会いがあれば投資案件として十分魅力のある案件だと言えます。
買取の際には、くれぐれもちゃんとしたIFAに名義譲渡の書類(Assignment)を処理してもらい、証券名義人の変更と同時に、被保険者の設定を自分に変えるように注意してください。
名義変更をしても、新しい証券は発行されませんので、もとのオーナーの名前の入った証券を確実に受け取ってください。
最後にもういちど言っておきます。
投資に関して本当に得な情報は流通しません。
そしてそれにはちゃんとした理由があるのです。