北九州市の酷い生活保護行政と「エール」を送る尼崎市の現役公務員 | キーサン日記

北九州市の酷い生活保護行政と「エール」を送る尼崎市の現役公務員

 政令指定都市のなかで最も厳しいといわれる北九州市の生活保護。厚生省からは、「保護行政の優等生」と言われていますが、分かっているだけで、今までに何人も餓死者がでています。この5月にも餓死した死体が発見されました。

 以下に朝日新聞の記事、「しんぶん赤旗」(注・僕は共産党の支持者ではありません)の記事を掲載しておきます。

 また、この北九州の保護行政にエール(!)を送っている杉山富昭という現役公務員のウェブログの文章も参考までに掲載しておきます。コレを読むと驚かれることと想います。


 この北九州市の現実は未来の日本の姿かもしれません。
-------------------------------------------------------- 衰弱知りながら給水停止・保護申請断る 障害者が孤独死 2006年07月17日05時55分朝日新聞
 
北九州市門司区の市営団地で5月、独り暮らしの身体障害者の男性(当時56)が、ミイラ化した遺体で見つかる事件があった。この事件で、北九州市が、男性が脱水症状で衰弱していたのを昨年9月に把握しながら給水停止を続け、病院に入院させるなどの措置も取っていなかったことが分かった。男性が生活保護を申請しようとしたのに対しても、相談段階で断っていた。

 門司区役所の内部文書や、関係者の証言を総合すると、最初に異変に気づいたのは、団地を管理する市住宅供給公社の職員。家賃滞納が続いたため、昨年9月28日に訪問したところ、男性が床をはって出てきた。水道は9月14日、電気とガスはその前から止められていた。職員は市水道局に「男性が衰弱し、脱水状態にある」と連絡した。

 市水道局は9月30日、男性の状況を区役所に知らせたが、水は止めたままだった。近くの住民は、男性が公園で水をくんでいる姿をたびたび目撃している。

 区役所はその日のうちに、ケースワーカーと保健師を男性宅に派遣。男性は「生活保護を申請したい」と伝えた。だが、区役所は即座に保護を開始できる「職権保護」を適用しなかった。市内に住む次男から食料の差し入れがあるとして、「生死にかかわる状況ではない」と判断したからだ。

 実際には、コンビニエンスストアで働く次男が数日に1回、食パンやおにぎりを持ってくる程度だった。男性は妻と離婚しており、息子たちとの関係は複雑だった。

 男性は12月6日、区役所の保護課を訪問。「次男からの援助も途切れる。体も弱っており、保護をお願いしたい」と話した。しかし保護課は、長男が7月分と8月分の家賃を支払ったことを理由に、長男と話し合うことを求めて帰宅させた。それ以降、男性からの接触は途絶えた。

 男性は5月23日、布団の中でミイラ化している状態で見つかった。司法解剖の結果、1月下旬に死亡したとみられる。

 団地の町内会役員は「男性のやせ衰えた姿を見れば、誰もが生活保護が必要だと思った。しゃくし定規な考えが、男性を死に追いやった」と話している。

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2006年6月4日(日)「しんぶん赤旗」

北九州市 餓死の現場
生活保護 2回求められた行政
申請書も渡さず


 電気、水道、ガスが止められ二度にわたって生活保護を求めた男性(56)に北九州市は保護の申請書さえ渡しませんでした。男性は餓死しました。一人暮らしの市営団地から遺体が発見されて一週間がたち、市民からは、「これは行政による人殺しだ」との怒りが広がっています。(佐藤高志、矢藤実)

 亡くなった男性の住んでいた門司区の四階建て市営団地。子どもの姿はなく、独居老人が多く生活しています。

 近所の人の話では、男性は昨年八月にタクシーの仕事をやめ、月三百円の町会費も払えなくなりました。身体障害者手帳(四級)の交付を受けていました。

 同じ団地に住む女性(82)は話します。「やせ細って歩くのも大変だったみたい。出歩いているところをほとんど見たことがないわ」

 昨年九月には電気、水道、ガスを止められていました。同月三十日、住宅供給公社の職員が男性を訪問した際、はうようにして出てきたといいます。

 区役所の担当者は、この時点で男性宅のライフラインがとまっていることを把握。しかし、担当者は同月三十日、生活に窮した男性が二男をつれて門司区生活保護課を訪れ生活保護を求めた際、「二男に援助してもらいなさい」と。結局、申請書すらもらえずに帰宅することになります。

 昨年十二月、切羽詰まった男性の電話が区役所に入ることになります。「二男も生活が苦しく、もう援助できないといっている」。役所は「別の親族もいる」などと、男性に保護の申請書を渡すことを拒みました。

 男性が亡くなったのは、一月下旬と推測されています。遺体が発見されたのは四カ月後、五月二十三日のことでした。

 保護課の担当者はいいます。「市の保健師が男性を診察したが、即座に命にかかわることはないと聞いていた」「区の対応は適法」

 生活保護法は憲法二五条に基づいて生活に困っている人は誰でも申請することができる権利を認めています。市社会保障推進協議会の飯田富士雄事務局長は「この事件は、市が生活保護を必要とする人の申請を拒むことから起こった」といいます。

生活保護 申請受け付け相談件数の13%
面接で根掘り葉掘り聞かれ
 
 餓死したのは、この男性だけではありません。四月には、道路一本、川一つ隔てた別の市営住宅で女性二人が餓死し、同居の女性(47)が飢餓状態で発見された事件がありました。

 団地に住む女性(79)は「誰がいつ病気になってもおかしくない。せめて仲よしの友達をつくっておくことが唯一の自衛手段ね」といいます。

 「悔やまれてならない」と話すのは自治会長の井上泰明さん(64)。「人道的な問題でしょう。隣近所は、なんとか助けたいと協力しているのに、市の対応は不満です」

 同市では、生活保護の申請前に「相談を」といって長時間の調査をおこない、申請をなかなか認めないのです。

 「まだ六十四歳だから働けるだろう」「(DVが原因でも)別れた夫から仕送りをもらいなさい」「貯金が十万円あるからダメ」

 プライバシーまで踏み込んで根掘り葉掘り聞かれる面接に「死んだ方がましだ」と涙を流す相談者は後をたちません。

 北九州市は、厚生省(当時)の指導のもとで保護率を抑制、現在政令市で最下位水準です。

 二〇〇五年度では七千三百八十三件の相談のうち、申請が認められたのは、わずか九百五十一件の12・88%。相談件数が、ほぼ同じ福岡市と比べても半分以下の件数です。

 北九州市の“差別的”保護行政の理念が端的に表れているのが、同市発行のしおり。「生活保護とは」という説明には、「国が最低限度の生活を保障するとともに、一日も早く自分の力で生活していけるように援助する制度」と憲法二五条、生活保護法の文字も抜け落ちています。

 「生保行政によって、もう一人たりとも“殺させない”」―。六月二日、日本共産党は記者会見を開き、北九州市の異常な生保行政の実態を告発。党の対策会議を立ち上げました。

 八幡生活と健康を守る会の吉田久子事務局長は話します。「生活が苦しくなった人にとって生活保護は最後の命綱です。人を見殺しにする血も涙もないやり方を私たちは、絶対に許しません」

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北九州市の生活保護行政にエール!

生活保護法批判論 | 2006.06.28 Wednesday 19:58


 生活保護行政の最先端を突っ走っている北九州市。ところが、週刊東洋経済7月1日号では同市の生活保護行政について、批判的な記事が組まれています。この記事では、5月23日に同市門司区で56歳の男性が餓死、6月5日に同じく門司区で60歳代の夫婦が自宅で死亡していたことなどを引き合いに出し、福祉事務所窓口での厳しい対応に疑問を呈しています。扶養義務者に援助してもらうようにしろ、兄弟姉妹から仕送りしてもらえないことの証明をもらってこい、といった対応を批判しています。

 しかし、生活保護の申請にやって来た市民に対して、扶養義務者などがいる場合に援助してもらうように促したり、離婚した者が離婚相手から慰藉料や養育費を受け取るように努力を促すのは、全く当たり前のことで、何ら批判されることではありません。むしろ、そうした当然の努力を怠り、安易に生活保護に依存しようとすることを奨励するような風潮こそ弾圧されるべきなのです。

 実際、窓口対応をしていると、「さっき離婚届を出してきました。子供を引き取ったので、生活保護を受けたい」と、しゃぁしゃぁと言ってくる人たちが後を絶たない。子供を真剣に育てようとするなら、まず必死に働いている姿を子供に見せるべきでしょうし、相手に慰藉料や養育費を要求する努力を怠っておきながら、血税を貪るような態度には激しい怒りを覚えるのです。生活保護改革で、母子加算の要件が厳しくなるのは、子供を真剣に育てていない世帯が多いという実態を踏まえたものではないでしょうか。母子世帯で生活保護を受けておきながら、いつの間にか妊娠していたという事例も山ほどあります。子供を産むのは自由ですが、それなら責任を負うべきなのです。こうしたズサンな法システムが市民の批判を高めていることを真摯に反省するべきなのです。生活保護世帯の子が、まともな養育もされず、教育もまともに受けられないまま成人し、また生活保護に陥るという悪魔の連鎖が存在しています。当然の自己責任・自助努力を怠る者に人権を主張する資格などないはずです。

 北九州市の生活保護行政は、全国の模範となっているようですし、私もしばしば職場で「北九州方式」を導入すべきだと主張していますが、誰も聞いてくれません。だから尼崎市はいつまで経っても生活保護率が県内1位のまま突っ走っている。北九州方式がなぜ支持されるべきかについては、以前にも書いたように、現行生活保護法が国賊法と化しているからです。怠けて怠けて怠け続けた人生を送ってきた者が最後の最後に自分の人生にケジメをつけるならともかく、よりによって公金にたかるという逆襲をすることを奨励しているからです。北九州市の取組は、それに真っ向から戦っていると評価できるのです。北九州市の市民・納税者はもっと評価をしてあげるべきでしょう。

 福祉関係者などの中には、冒頭に紹介した餓死事件や年間3万人の自殺者を引き合いに出し、生活保護制度の拡充を主張する売国奴のような者もいるようです。しかし、自殺者の数と生活保護が厳しいということの間には、因果関係などないと言えると思います。つまり、自殺などをする人と生活保護を受ける人たちでは、層・カテゴリーが異なると言えるのです。北九州市の生活保護行政が厳しいのは、こうしたことを現場ならではの感覚で理解しているからだと思っています。それゆえ、数件の特異な事例を引き合いに出して、これを殊更強調し、せっかく長年に渡って実績を積重ねてきた北九州市の血のにじむような努力を水泡に帰すようなことは絶対にするべきではないのです。

 頑張れ!北九州市


書いた人 杉山富昭

http://72.14.235.104/search?q=cache:lroN7GqUDXkJ:seisakuhomu.blog.bai.ne.jp/%3Feid%3D56396+%E5%8C%97%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E5%B8%82%E3%80%80%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=2
(自治体政策法務研究室<Blog>)
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杉山富昭(尼崎市役所勤務)、俺はお前を絶対に許さない!!


〈追記〉

 杉山富昭のブログ(自治体政策法務研究室<Blog>)は閉鎖されました。これからは、「匿名」でブログを続けていくようです。卑劣な奴です。

 杉山富昭のサイトのURLを以下に書いておきます。参考にしてください。


http://hccweb1.bai.ne.jp/~hcl45701/