(財)日本賃貸住宅管理協会が10月からの運用開始を目指している、「めやす賃料表示」 ですが、この表示制度そのものには私も賛成です。ただし、内容が中途半端すぎます。


「めやす賃料」とは、『賃料(家賃)』、『共益費/管理費』、『敷金引き金額』、『礼金』、『更新料』の合計を、4年間賃借した場合の総額を1か月分に按分(48分割)したものです。


例えば、このような条件

『賃料(家賃)』→50,000円
『共益費/管理費』→5,000円
『敷金引き金額』→1ヵ月分(50,000円)
『礼金』→1ヵ月分(50,000円)
『更新料』→1ヵ月分(50,000円)

だった場合、
{(50,000円+5,000円)×48ヶ月+50,000円+50,000円+50,000円}÷48
=58,125円

となり、単純に賃料と共益費(管理費)のみを合算した額とひと月あたり3,000円以上の差が出てきます。
2年間換算で考えると61,250円となり、6,000円以上開くことになります。
実際、賃貸を借りるときはこういう計算の仕方をするべきだと思います。
なので、めやす賃料表示は良い取り組みだと思います。
しかし表示方法には、仲介手数料、更新事務手数料、町内会費、鍵交換費用、原状回復特約費用、定額の設備使用料、保証会社への保証委託料、家財(火災)保険料などは含まれない項目となっています。

正直、全ての項目を入れないでどうすんの?って感じです。

特に札幌(北海道)では、敷引き、礼金や更新料なんてほぼ皆無なので、まったく機能しないでしょうね。


仮に上記の例で、このようなパターンがあったとします。

仲介手数料→1ヵ月分(50,000円)
鍵交換費用→21,000円
原状回復特約費用→清掃料として31,500円
定額の設備使用料→ストーブリース料として1,000円
保証会社への保証委託料→25,000円
家財(火災)保険料→20,000円


これを含めると、(※青字は上記でも加算されている額)
{(50,000円+5,000円+1,000円)×48ヶ月+50,000円+50,000円+50,000円+50,000円+21,000円+31,500円+25,000円+20,000円}÷48
≒62,200円

となり、『賃料(家賃)』、『共益費/管理費』、『敷金引き金額』、『礼金』、『更新料』のみを合計した場合とひと月あたり約4,000円の差、2年間換算だと約68,400円となり約7,000円の差となります。
月あたり7000円の差って大きいと思います。

賃貸の営業をしてて思うのが、入居者は毎月の賃料額を気にしても一時金(特に退去時精算額)を気にするひとは少ないということです。(初期予算がある人を除く)
上記の例でも、家財(火災)保険料を除いては物件によって、支払いが必要だったり必要が無かったりします。

賃貸を借りる場合には、最初に支払う額全て、契約中支払う額全て、退去時に強制的に支払うこととなっている額全て、これを踏まえて予算を決めたほうが良いと思います。
家賃同様、一時金も一律な訳ではありませんので。











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