次は海渡さんに、国民全体に影響のある日本版NSC設置法、そして来年重要な焦点となる国家安全保障基本法案についてじっくりお話願いたいと思います。

 来年の国会の最大の焦点になるのが国家安全保障基本法案。これは安倍さんの悲願です。

201210月、安倍さんが自民党総裁だったときに臨時国会の代表質問で『集団的自衛権の行使を可能にすることによって、日米同盟をより対等、そして強化する。憲法解釈を見直していく』と求めていたのです。

そして総理大臣になった安倍さんは1月のNHKTVで『集団的自衛権(憲法解釈)の見直しは安倍政権の大きな方針の一つ』だと最初から言っていたわけです。選挙の前は言っていないんですけどね。

 日米同盟の強化に繋がるというのは分かるのですが、その関係が水平的で対等な関係ではなく、より上下関係がはっきりし、いいように使われるのでは。日米同盟がより対等になると安倍さんは本気で言っているのか分かりませんが、対等になり得るんですか?

 実際の軍事力を見ても対等にはなりっこない。これは一つのレトリックですね。自衛隊は米軍の指揮下に入って完全に一心同体となって動いていくことを意味しているのではないかと

 属国の追従者としか位置付けられないですね。

 安保そのものを見直さなければいけない。それを言わずにこの法律を作ると言うところが、安倍さんのごまかしですね。

 独立して自衛できる日本を目指しているように見えますが、全然違う方向に走っているじゃないですか。 

 この法案ができたのは127月、野田政権のときですね。基本方針を読むと日本が戦争をやるのが前提になっています。日本国憲法9条を無視している。

 要するに改憲を直接進めるというよりは、実質改憲をしていくことになると。

 秘密保護法も基本法案に組み込まれています。今までの内閣法制局の見解では、我が国の憲法では集団的自衛権を行使できないという解釈だった。もう何十年も続く解釈ですが、それを変えようとしているのです。

国家安全保障基本法を閣法として出すのか、自民党が議員立法として出すのかはっきりしていません。宇 閣法で出す場合は内閣法制局のチェックが必ず入る。内閣法制局の審査を避けるために自民党は議員立法で出すことも。

 内閣法制局をねじ伏せて閣法として出してくる可能性もあると思います。内閣法制局の後任小松一郎さんは集団的自衛権容認を打ち出した当時の政府有識者会議に事務方として関わった人。法制局未経験者で外務省出身者が法制局長官になるのは前代未聞。

長官を変えることで法制局全体の見解が変わるのか、憲法を維持するのか、その審議はこのお正月中にも進行中です。

 でもまだ政府が閣法で出すか議員立法で出すか決めていないのであれば、内閣法制局全体が変わったわけではないという可能性も?

 違憲な立法を法制局が通すということが実際に起こるのか。法制局の中にいる良識のある方に頑張って頂きたい。

 内閣法制局は国民世論の動きも見ていますから、反対運動が広がれば変わる可能性も。これからの運動が影響力を持つと思います。

 アフリカや中東など日本と何も関係のない所に軍隊、自衛隊、人員、そしてお金を使うことがアメリカの狙いで、そのアメリカの要求につき従って集団的自衛権のような話がでてきたのを、やはり皆さんに知っていただかないといけないですね。

 表の戦争準備三法の一つ目が日本版NSC。次の秘密保護法は政府の嘘を秘密にし、戦争を始めやすくするための法律。そして国家安全保障基本法。この3つが揃うと、まさしく日本の戦争準備が完了すると言えるのでないかと思います。

もう一つの戦争準備刑事三法にも秘密保護法が入るわけですが、共謀罪を一挙に600も作る共謀罪法案。そして、共謀捜査の道具とするため第三者の立会を省略し、一挙に拡大されかねない盗聴法の大幅拡大。これが監視を広めるための戦争準備刑事三法です。

 戦争の遂行と国民の監視・統制が行なわれつつあるということですね。

 我々国民が、政府は実質改憲しようとしていることを認識して、反対運動をすることですよね。今まで護憲運動してきた人は、改めて警戒感を持たないといけません。

 戦争の準備をすることで軍需が拡大しますね。不況脱却のための戦争準備という考え方もあると思います。そういう事業者に、他の方法で不況を脱する方法を示さなければいけないと思うのですが、それに関してはどうですか?

 原発に代わる自然再生エネルギーに対する投資、それが機能するような発送電分離を事業者が利用できる仕組みが必要だと思います。昨年の通常国会で決めた予算では防衛費を大幅に増額していますが、これは軍需産業を後押しするものです。

 若者の貧困が進むと、高校や大学卒業時に借金を抱えている状況になるんですよ。米国がまさにそれ。宇 だから低所得層は軍に入る。貧困と格差を広げることで軍に入る若者を増やそうとしているのでは。米国を見ればあながち空言にも思えません。

 イラクやアフガン戦争の米軍帰還兵で自殺者が2万人もいるんです。日本で育った若者がいきなり戦場に行って、人を殺す。精神状態が破壊されてしまうんですね。

 自衛隊はこれまでと違う任務を課されます。自衛隊そのものが変わるんです。

 秘密保護法のときも防衛省が一番消極的だったんですよね。内閣法制局の元局長も集団的自衛権は問題だと言っていますからね。

 個別自衛権でできることを集団的自衛権でしか出来ないと嘘をついて国民を騙しているようなところがありますね。