以下は朝日9/11夕刊1面 玉石混交のニッポン人脈記 「石を

うがつ 8」「核のゴミを掘りかえせ」の、途中までをやや

アレンジし、::::マーク以下は丸まる転載したものです。

 この日の同じ1面のトップは「地中最終処分、撤回を 高レベル放射性廃棄物、暫定保管を提言 学術会議」というもので、狙ったのか偶然なのか、トップと“人脈記”がいいコンビになっています。

 下線はkatsuko。末尾にkatsukoのコメントあり

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鳥取県中部東郷町(現 湯梨浜町)方面<かたも>地区のナシ農家榎本益美<ますみ>(76)さんは、1999年12月1日、シャベルで土を掘り始めた。放射線量が高い土砂入り552個の袋を掘り出そうとしたのだ。

土砂はこのあたり―人形峠一帯でかつでウランを採掘していたときに出たものである。

 採掘者は核燃サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)だった。残土の撤去を求められたが

できず、「仮置き」として残土を地中に埋めた。

 住民の求めで現地調査をしたが、表面を掘っただけでごまかそうとした。それで榎本が静止を無視し、

掘り続けたのだった。今日やらなければならないという決意のもと、榎本さんは大手通信社の鳥取支局の記者土井淑平<よしひら>(71)さんと携帯電話で連絡をとった。まもなく市民団体の支援者がかけつけた。

 掘り出せた袋は一つ(800kg)。二人はトラックにそれを積んで県境を越え、岡山側の人形峠にある

開発機構の事務所の正門に置いた。日付は変わり午前2時、冷たい雨が降っていた。

 

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 原子力発電ではウランが原料に使われる。ウラン鉱が見つかっ

た人形峠周辺では、50年代末に採掘が始まった。その後、商業

ベースに乗らないことがわかって終わったが、放射能を帯びた土

砂は残された。

 放置が明らかになったのは88年。この時取材に来た土井と、

自らもかつて採掘に従事していた榎本が出会う。

 地元鳥取県の農家に生まれた土井は、早稲田大を出て記者にな

った2年目に三重県で四日市公害を取材し、環境問題に関心をも

った。その後赴任した鹿児島では、川内原発の建設計画などを取材した。

 実際の公害で生活が破壊される前に、計画段階で住民がいがみ合い、地域社会が壊れる様子をみてきた。

「開発と原発は、もう一つの戦争だ」。知恵袋のような役割で

住民運動にかかわっていく。取材者のあり方して批判があろう

ことは承知の上だった。

  

方面地区のウラン残土は1万6千立方メートルに及ぶ。榎本を先頭にした自治会は90年8月、放射能でベルが特に高い3千立方メートルを撤去することを認めさせた。しかし、その実施は岡山県が人形峠事業所への搬入に反対したことを理由に引き延ばされた。

 その間、住民は酒色の接待などで切り崩しにあい、20世帯の

地区は真っ二つに割れた。そんな中での榎本の実力行使は全国に

報道され、一気に注目が集まった。

 その後、鳥取県と東郷町は、訴訟費用にと350万円を住民ら

に支援した。行政としては異例のことだが、

事態を放っておけない、解決法はもはや訴訟しかない、という考え

だった。

 裁判では住民側の訴えが認められた。最終的には、特に放射線

量が高い290立方メートルの残土が米国のウラン採掘地に運ばれ

そのほかは鳥取県の県有地でれんがに加工されて県外に搬出された。

 方面地区からウラン残土の撤去が終わったのは2006年11

月。発覚から18年がたっていた。

 榎本は鼻血や脱毛、貧血に悩まされ、胃潰瘍の主術もした、

ウラン採掘による放射線障害としか考えられないと思っている。

同じく鉱山の作業に出ていた妻、雅恵は94年に肺がんで亡くなった。

 当時は危険性など何も知らされずに作業をした。「体にいい」と

いう話まで流れ、ウラン鉱石を風呂に入れたこともあった。

「だまされた」。怒りが榎本を動かしてきた。

 人形峠の問題は、原発の使用済み核燃料をめぐる問題を語っても

いる。

 日本の原発には既に約1万4千トンの使用済み核燃料がたまり、

国のいう再利用を進めたとしても、廃棄物は出続ける。10万年

単位で管理しなければならないこのゴミは結局、地域同士が押し

付け合い

深刻ないさかいになっていかざるをえない――。

 「核のゴミ戦争」。01年に退社した後も取材を続ける土井は、著作でそんな言葉を使って警告

している。                                 (大久保真樹)

 ☆katsukoのコメント(下線部分)

  

 


* 取材者のありかた

 大久保記者がこの記事を載せてくれたことに感謝しますが、

  大久保記者が“取材者のありかた”をどう思っているのか、

 疑問があります。

  中立公正などということを言い出したら、あるいは記者は運動にかかわるべきでないなどということを言い出したら、このまま日本

の支配層が暴走を続けたとき、大久保さんがこの程度の記事を

書くこともできなくなるのです。

 大久保さん、自己限定をしてはいけない。

 * 米国のウラン採掘地に運ばれ

  シリーズになっているので、このことの説明は他の記事で

してくれるのでしょうか。

 でも、先住民の労働者の被曝が問題になっているのです。

  新聞記事は毎日読んでもらえるとは限らない。次の段落の「方面地区から」という句で改行しなければ、「やはり被曝被害に悩む」

という形容を“米国のウラン採掘地”の前につけることが可能

だったのでは?残念です。

 なおこのとき、米国のウラン採掘地におしつけたくせに、

有用金属だからという名目で、 二束三文とはいえ代価を払わせた

―繰り返しますが、日本側が払ったのではなく、

あちらに払わせたのです。[2010?年の岡山での“双方向シン

ポジウム”で小出裕章さんからお聞きしました]

 * れんが

  このれんがが経産省の前に使ってあるので、経産省前は

 空間線量が高いのだといううわさです。

   一般にれんがを買うときは気をつけよう

 * 低線量被曝で鼻血が出るわけがないと言っている人も多いので、  

  これは貴重な症例だとおもいます。

 *地域同士がおしつけあい

   そうじゃないでしょう、国が地域同士に押し付け合いを

  させる、でしょう。