8月16日付岩手日報「論壇」に【禍根残すILC誘致】という題の

投稿があったそうです。書いたのは雫石町の元技術士という方

だそうです。

 ILC誘致は、平泉町が県と国に「国家プロジェクト」として

積極的に 取組むよう、調査費も要望しているそうで、
推進の旗振り役(座長)は増田元岩手県知事という情報が

あります(次記事へ)。
 以下、その上記の投稿です。

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 【スイスの巨大加速器施設でヒッグス粒子を発見したとの報道があった。県が誘致を狙う国際リニアコライダー(ILC)計画もヒッグス粒子の発見が目的だという。ILCは、南部北上山地の地下100mに直径4.5mの二本のトンネルを50キロの長さで掘削して設置される巨大加速器である。さらに類似の巨大加速器の必要性や目的など一般県民にとっては理解を超えている。
 県はILC誘致に伴うバラ色の効果のみを強調するが、誘致実現が将来の県民の生活や安全を脅かすことはないのか。
 候補地の条件は活断層がなく、硬い安定岩盤であることで、当地域は変質や風化がない花こう岩盤体で条件を満たすという。この岩盤体は白亜系花こう岩質体と呼ばれ、ジュラ系陸棚相を挟んで南北2か所存在するが、長さは、それぞれ40キロに満たないようだ。
 しかし、花こう岩は風化するともろくなるという。候補地の近くには2本以上の断層が走っている。盛岡ー五葉山断層と八戸ー北上川流域ー牡鹿半島に至る複数の断層群である。活断層ではないというが、現状では調査不足である。
 長大な地下トンネルの掘削は取りも直さず県民の生活と生産を保障する永続的生産基盤の破壊・損傷を意味する。わが国は、多様な自然災害列島で、どこでも大規模災害が起こりうるゆえ、人工的改変や構造物を加えれば甚大な災禍に見舞われかねないことは、福島原発事故をみても明らかだ。
 巨大地下空間に崩落や爆発などの潜在的危険があり、たとえ事故が起きなくても地下水脈の変化や地質構造の変化が予測不能な災害を長期的に起こさない保証はない。
 ILC利用の研究はせいぜい30年程度で、その間、逼迫気味の電力を23万キロワットも必要だという。研究目的が達成されれば近い将来、必ず訪れる終了後の跡地利用計画が出る。その要請によってはILCの実利用期間とは別次元の長い時間尺度で県民の不安を招来する。残された長大な巨大地下空間は、その位置と構造からみて、後世最大の懸案とされる原発の核廃棄物最終処分場としての要請が来ることは必至だ。
 跡地は地下埋設を基本とする処分場の立地条件に合致するので、その呼び水となろう。候補地は青森の下北や福島に近く、要請を拒むことは至難だろう。
もし、跡地が最終処分場になれば、3.11大震災のような地殻変動や未成熟な処分技術も相まって壊滅的な放射能汚染に見舞われる。
初めから誘致ありきで復興に便乗的姿勢を貫けば、未来の生命と環境に取り返しがつかない禍根を残すだろう。】