国際放射線防護委員会(ICRP)基準は世界の原発労働者から病院の放

射線技師まで、あらゆる分野で放射線被ばく限度の決定にひろく使われて

いる。

 この基準は放影研の疫学調査にもとづいている。

 その疫学調査とは、原爆の初期放射線による被ばくが〇・〇一または

〇・〇〇五シーベルト以下の被爆者(広島で爆心地から二・五礰[km ? 

katsuko]または二・七礰以遠で被爆した人)を「非被爆者群」としている。

つまり低線量被ばく者を初めから射程外にしている。

 しかし於保源作さんという広島の医師の独自調査―発熱、下痢、皮膚粘膜

出血、脱毛など急性症状の発症率の調査(一九五七年)―及び日米合同調

査団の調査(五一年)をもとに、沢田昭二さんたちが“遠距離”ないし「入市被

爆者」の「内部被ばく」をふくむ被ばく線量を推定した結果、結果、一・三礰

付近で放射性降下物の影響は初期放射線を上回り、放影研が「非被爆者」

とした二礰から三礰で被爆した人は、平均して〇・〇一シーベルトの五〇倍

~一〇〇倍に相当する被ばく影響を受けていたことが明らかになった。

 つまり放影研の疫学調査は根拠として信用性がない。

 かつ「ICRPの基準というものは、「ICRP勧告のサマリー」にはっきり書いて

あるのですが、経済的社会的要因を考慮して、合理的に達成できる限りの

制限を行う。要するに、原子力発電所などを運営していくうえに邪魔になら

ない体系なのだということをはっきり宣言していることです。この点に関して

は、ヨーロッパ放射線リスク委員会はあからさまにICRPの基準を、「商業原

子炉や核戦略を遂行している人たちの妨げにならないように」つくりあげら

れた。だから内部被曝の無視ということでメスを当てると、まさに「原子力

推進を妨げないために内部被曝を無視せざるを得なかったんではない

か」と判断しております。」

[以上のうち「 」内は矢ケ崎克馬氏講演録からの引用。その他は

沢田昭二さん談話

http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/genki/148/genki148_5.html  に依拠]