テーマは横須賀原発にしました。

 そこで事故があれば風向きによっては東京も壊滅状態になるというという点で

浜岡も横須賀常駐原子力空母も共通なので。

 11・27の口頭弁論も終わっていますが、とりあえず10月の記録が見つかったので転載させていただきます。

 読むと中部電力に理がないのがよくわかります。

 まともな反対尋問ができない中部電力も気の毒な気が・・・国策でやらされているので。

 自然エネルギーで稼ぐようになったら株も上がる(文字通り)でしょうに。

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 http://www.geocities.jp/ear_tn/

 第7回 口頭弁論の傍聴報告


10月30日、1時30分より、東京高裁第101号法廷にて、第7回口頭弁論が開かれた。それに先立ち、傍聴希望者が参列し、わずかに定員を超えたため、抽選となった。記者席も満席だった。

今回も前回に引き続き、石橋克彦神戸大名誉教授が浜岡原発の危険性について証言された。


はじめに中部電力の弁護士による反対尋問が90分、休憩の後、原告側から海渡弁護士による再主尋問が40分間行われた。その後、中部電力による再反対尋問が予定されていたが、行われなかった。


反対尋問において、中電側は「遠州沖撓曲帯」など、細かい専門的な質問をくり返していたが、石橋先生の証言を覆そうという突っ込んだものではなかった。それは反対尋問というよりはむしろ、新知見について先生にレクチャーを受けている感じさえした。次第に反論材料がないと見えて、一審と同様、先生の証言の信頼性を貶めようと、「変動地形学の専門家ではありませんね?」というような質問をしたり、先生の書かれた文献を引用して、反原発の立場で発言している印象を与えようとするような尋問をくり返した。しかし、石橋先生が何枚も上手で、幅広い専門的な知識に基づく証言は全く揺るぐことはなかった。結局、中電は続ければ続けるほど、劣勢であることが明らかになった。先生が中電をやり込める場面では傍聴席では笑みがこぼれた。


再主尋問では、中電が拠りどころにしている中央防災会議の強震動予測の不備について、更に理路整然と証言された。原告側にとっては、胸のすくような裁判となった。


■ 中電による反対尋問から

〔中央防災会議が想定している東海地震のモデルとしている1854年の安政東海地震において、旧浜岡町佐倉を震度5としている根拠がないと主尋問で証言したことについて〕

Q:中央防災会議では、安政東海地震での各地の震度分布に合わせようと検討された。佐倉の震度5を重要視したのは?

A:宇佐美先生が旧浜岡町については、佐倉の震度5しか出していないからです。

Q:中央防災会議で議論はされましたか?

A:当時は委員になっていて、おかしいと思っていました。

Q:佐倉の震度5について、ディスカッションされましたか?

A:特にされませんでした。

Q:中央防災会議で佐倉の震度5が検討されていたら、どうでしょう?

A:(想定する地震が)もう少し変わっていたかもしれません。

Q:強震動地震学の専門家ですか?

A:狭い意味ではそうです。関心を持っています。

〔論文「原発震災」について〕

Q:防災対策として、全国の原発を順次廃炉にすべきだと考えていますか?

A:国民的議論を踏まえていく必要がありますが、地震列島は大変です。

Q:原発震災を回避するためには、原発関連施設を廃絶する必要はありますか?

A:地震学的に長期的にそう考えています。

Q:日本の海岸線をふちどる55基の原発の地震被害が日常的に起こる。全部の原発が心配だとありますが。

A:安全なところを探して、安全なところでやるのを否定しません。

〔論文「原発に頼れない地震列島」について〕

Q:中越沖地震に照らしてみれば、原発は軒並み過小評価になり、廃炉にしなくてはならないのではありませんか?

A:基準地震動が確保できるのであれば・・・。イデオロギーとか立場で物を申しているのではありません。

Q:先生の想像力を駆使したら、全ての原発が不適格になるのではありませんか?

A:地下構造とか地盤とか加味して、計算するものです。


■ 原告側による再主尋問から

〔著書「大地動乱の時代」について〕

・阪神淡路大震災の前から液状化対策について、疑問に思っていた。大げさだと言われたが、この本の通りになった。地震学の立場から発信していこうと思った。

〔中央防災会議の強震動予測について〕

・強震動予測のレシピは誰がやっても同じ予測ができるようにした平均的なもので、ここでしかできない予測が必要であり、万全ではない。

・応力降下量については高精度で信頼できるデータはない。

・アスペリティ(固着域)の面積は19%で良いが、いくつに割り振るかはわからない。

〔浜岡原発を廃炉に〕

・日本列島から段階的に原発を廃炉にするにあたり、運転歴、地震の危険度などを加味していくと、優先順位1位は浜岡。

・地震の危険がある真上で運転しており、欧米人が聞いたら、腰を抜かすことだろう。首都圏には死の灰が舞う。

・中電の幹部技術者が雑談中、「巨大地震が想定される浜岡で頑張ってることないんだよな」と本音を漏らした。日本中、そういうふうにして進んでいる。敗戦前夜の日本の状況と変わらない。


■ 報告集会

4時から、NBF日比谷ビル(旧大和生命ビル)16階のさくら共同法律事務所で報告集会が開かれ、原告支援者で満席になった。

青木弁護士、石橋先生、海渡弁護士が相次いで、裁判の概要についての説明をされた。原発の地元の方々から、反対尋問にあった「安政東海地震時の旧浜岡町佐倉での震度5の妥当性」についての発言があり、石橋先生を交えて議論が深まった。同じ佐倉でも地盤にバラツキがあること、震度5は地盤の良い神社の記録と考えられること、当時は他に人家がなかったことが考えられ、データの精度としては低く、もっと大きな揺れを想定すべきという結論になった。石橋先生も海渡弁護士も、想定外の質問や突っ込んだ質問もなく、余裕のある反対尋問だったと語り、反対尋問の成功を会場で分かち合った。


■ 今後の予定

・11月27日(金)13:30~15:00 立石雅昭証人原告側主尋問

・12月25日(金)     〃      立石雅昭証人被告側反対尋問

・2010年2月19日(金)11:00~12:00 最終弁論(結審)