”犯人”が殺した、あるいは殺そうとしている相手は、彼の友人――”政情不安定”な国で”武装集団”に人質にとられ、その集団が身代金を日本政府に要求したが政府は支払いを拒絶、”処刑”されてしまうのだが――が”危険な国に行った奴が悪い”と、その要求の背景を捨象して宣伝したニュースキャスターや国会議員、ひいてはそういう発言を放置していた国民全体ーーという設定だった。

 殺人という形で”復讐”をするというなどということは許されることではないが、犯罪の動機という形で、あの異様に高揚した自己責任論を批判している点で興味深く観た。