今回は、これっぽっちもビジネスにはカンケーない本を取り上げます。
というのも、僕はもう15年以上村上春樹ファンだからです。
久しぶりに村上春樹の小説が単行本で発売されるということで、発売日を待ちに待っていたのです。
なので、書かずにはいられません。

で、読後感。



読まなきゃよかった・・・。



誤解のないように言えば、さすが村上春樹だけあって、非常に良い小品でした。
それだけに、読むとしばらく現実世界に戻ってこれなくなるんです。

もともと僕は小説家になりたかったのですが、まさにその当時にどっぷりハマっていたのが村上春樹でした。
そのため、今も村上春樹の作品を読むと、その文体やトーンから当時の思いが甦ってきて僕を苛むのです。
「オマエは、あの頃の自分が一番蔑んでいたタイプの大人になっちまった。もうオマエの右脳は生きながらに腐っているよ」
と。


さて、肝心の作品内容ですが、「レキシントンの幽霊」を思い起こさせる方向性ではありますが、ちょっと違うのは、全体的に失ったものが戻ってくるということ。これ以上はネタバレになるので書きませんが、ただ、最近の村上春樹は、失ったものが徐々に戻ってくるようになっています。少しずつモチーフが進化しているのだろうか。

(くやしさ:★★★★★)

村上 春樹
東京奇譚集