何かの書評で、「現在にも通じるテーマを論じている」と書いてあったので読んでみた。
実態は、古い短編論文の寄せ集めの本だった。

1つ1つの論文は「さすがドラッカーさん」と思わせるものだと思うが、編集の仕方が悪い。
というのも、収められている論文の年代の並び順がバラバラで、今読んでいたのが1990年代に発表されたものだったのに、次の論文は1970年代であったり、次は1980年代になったりと、行ったり来たりで、その都度頭を切り替えなくてはならない。
しかも、いつ発表された論文なのかを知るためには、各論文の文末を見なくてはならないため、いちいちページを探して確認しなくてはならない。せめて、論文タイトルの下とかワキとかに発表年を書いておいてくれれば楽なんだが。

いくらドラッガー氏の論文に今日性があるといっても、その時代に実現されているテクノロジーやその頃の経済状況などを思い起こしながら読まなければ大いに誤読する恐れがあるわけで、そういう意味で非常に読みづらい編集をしていると感じた。

ドラッカー本ならなんでも良いから出版したかったのかと、思わず穿ってしまうような杜撰な仕事っぷりに失意の念を禁じえないのである。

(良い仕事して欲しいですねぇ度:★★★★☆)

P.F. ドラッカー, Peter F. Drucker, 上田 惇生
実践する経営者―成果をあげる知恵と行動