Step6. デマンドサイド経済学を基本に(2)零細応援 | 産経新聞を応援する会

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Step6. デマンドサイド経済学を基本に置くべき

 

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(2)

 

そもそも、サプライサイド経済主義の「一極集中」のシステムの中で、分配が行われるはずはないのです。分配するのなら、なぜ、分配のシステムではなく、「一極集中」のシステムを創らなければならないのでしょうか。トリクルダウン理論というのは完全にペテンなのです。

 

このサプライサイド経済学に、まっこうから反対するものが、デマンドサイド経済学です。

 

デマンドサイド経済学とは、直訳すると需要側経済学です。需要側の要因が国民所得の大きさを決めるとする需要サイドを重視するケインズの理論の事を指します。

 

金を持っていない消費者が大半で、スーパーにだけはモノを揃えておくサプライサイドの経済はそもそもおかしいのです。それを放置するようなことをして、ましてや格差や貧困を容認したり拡大するようなことをして、モノが売れないということを言うのはおかしい。売れるようにするためには、税制や公経済によってデマンドサイド(需要側=消費者)に充分な分配を行わなければならず、そこに国家の役割があるのです。そう考えるのが来るべきデマンドサイド経済学でしよう。

 

サプライサイド経済学では、はじめに、大企業や高額所得者がますます豊かになり、やがて、高額所得者層から低所得層に向かって富がおこぼれとして徐々に流れ落ちるので、それまでの間、庶民には痛みを伴う改革が押し付けられました。しかし、デマンドサイド経済学はその逆なのです。つまり、最初に税制や公経済によって消費者となる庶民が豊かになり、その間、大企業や高額所得者は痛みを伴う改革を受け入れるとするものです。やがて、豊かになった庶民は良い消費者となり、大企業や高額所得者の商売を支え、大企業や高額所得者に富をもたらすのです

 

本来、世界ではデマンドサイド経済学が主流でした。サプライサイド派はジャーナリズムの世界以外ではおおかた無視され続けてきました。サプライサイド経済学を信奉するような経済学部は有力な大学にはいないだけではなく、アメリカを除いて、ヨーロッパの有力な学部にはサプライサイダーと呼ばれるような経済学者は一人もいませんでした。ところが、日本の経済学者の間ではサプライサイド経済学が有力なのです。一体、日本の経済学はどうなっているのでしようか。経済学だけでなく、マスコミも富の一極集中を支持しています。法人税と所得税の減税と消費税増税は、ますます大企業と高額所得者への富の集中をもたらします。

 

民主党が参議院選挙で消費税増税を言って大敗したときに、田原総一郎は、「なぜ菅総理が参議院選挙前に消費税増税を持ち出したかというと、それは、マスコミがすべて消費税増税に賛成だったので、菅総理がそれを民意だと勘違いしたからだ。なぜ、マスコミが消費税増税に賛成だったかというと、マスコミはすべて東京にあるからだ。」と言っていましたが、事実、大企業と高額所得者の集中する東京では消費税は支持されていました。サプライサイド経済政策のめざす富の一極集中は、東京一極集中でもあるのです。

 

デマンドサイド経済学の主な実例としては、クリントン税制があります。クリントンは、デマンドサイド(需要側)新経済成長理論を作動させ、時の主要な経済学者の強い反対を押し切り、消費税廃止と累進所得税制を行い、結果としてレーガン政権の残した絶対不可能と言われた巨額財政赤字を僅か任期8年間で財政再建に大成功しました (現在でも、アメリカは消費税は無く、州ごとに小売売上税Sales Taxと言うのを定めています。アメリカのSales Taxは日本の消費税と違い生活必需品には課税されません。) また、他には、世界大恐慌を克服し、アメリカを世界第一位の国民総生産を誇る超大国に育て上げたルーズベルト税制があります。

 

日本では、個人消費・企業売上の全体増加に大成功し、日本を世界第二位の国民総生産へ押上げた吉田・池田勇人税制がデマンドサイド経済学を機軸にしています。現在では、デマンドサイド経済主義は吉田茂の孫である麻生太郎に引き継がれていますが、麻生政権は惜しくも1年間で終わり、その間、緊急経済対策しか実施出来ませんでした。その緊急経済対策は、からくも、大デフレ不況の危機的経済の下支えに貢献したのです。


 

上記日米の4人の経済的大成果を収めた国家リーダー達は自由平等競争の絶対性」の高累進増税の必要性を本能的に直感し、強く減税を主張する経済学者を突っぱね、経済成長と財政再建の同時達成を目指すデマンドサイド経済学を採用しました。財政再建のために税収を上げる唯一の方法は経済を発展させる以外なく、経済を発展させるなら、国民に富の分配を行うデマンドサイド経済政策以外ないのです。

 

デマンドサイド経済学をマクロ政策の基本とすることが正しいのです。まず、国民全体が豊かでなければ、何も始まりません。成長戦略などのミクロ政策はその後に発動すべきものです。この位置関係が狂っているので、日本はいつまでもデフレ不況地獄から抜け出せないでいるのです。