-1353-伝わる | 三角山通信

三角山通信

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山を駆け上がってくる風の侵入で階段とリビングの境のドアの蝶番がキーキーいってるのかと思っていたが、それは外の箱根バラの茎が伸びて棘が硝子窓に擦れる音だった。切り落とそうか、窓を開けたままにしておくか、音に馴染んでしまうか。

 教室の窓の蔦の場合は馴染むを選択したので蔓は窓の隙間から室内に延びて壁を伝わり1枚葉までつけた。紅の小さなひと葉に俺の気持ちが正しく伝わっているといい。サッシの窓枠を通過してまでやって来た蔦の脈よ。沈黙と饒舌。それとも饒舌と沈黙。