人里離れた山奥などで「ヤッホー」と呼べば応える怪しき者。
その正体はギョロ目に出っ歯、和装で蓑をかぶったユーモラスな姿をした「やまびこ」。
「やまびこ」は「幽谷響と」も書き、人里離れた深山幽谷などで起こる音声の反響の事を指し、鳥や岩、あるいは彭侯(ほうこう)などの仕業だと考えられていたようです。
別の言い方で「こだま」とも呼ばれますが、音声などが反響する現象を指す意味合いは同じで、樹木の霊すなわち「木霊」の仕業と考えられたことからこう呼ばれました。
「やまびこ」には亜種などがいて、中でも島根県の斐伊川上流に棲む「呼子(よぶこ)」は凶悪。
うっかりすると大蛇神「八岐大蛇」の生贄にされかねませんので、くれぐれもお気をつけあれ。
◆参考資料
『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』 水木しげる 著 講談社 発行
『日本妖怪大事典』 水木しげる 画 村上健司 編著 角川書店 発行
『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎マニアックス』 一迅社 発行