二十四節季のひとつ「夏至」は、北半球では1年で最も昼が長く夜が短い日です。南半球では「冬至」ということになりますね。

北半球では、最も性欲をかきたてる日とされているようです。ギリシャ北部の伝承では、未婚の女性が無花果の木の下に自分の持ち物を置くと、夏至の魔力により将来の伴侶を夢に見るとされています。イギリスのストーンヘンジの夏至まつりでは、男神と女神がの出会いを祝う意味があるとされています。

日本にもこの時期にしか見ることができない、自然がもたらす神秘的な光景があります。

昨年も紹介しました小豆島の夏至観音です。

 

夏至観音 2009.06.14

「夏至観音」は、20年ほど前にお遍路さんが偶然撮影し、発見されたという岩壁に白く浮かび上がる神秘的な観音様のことです。晴天の日の午後3時ごろに、南西の陽光が境内の洞窟「仙齢窟(くつ)」の入り口付近の岩肌に差し込んだ際に、光と影のコントラストで、頭を右に少し傾け、錫杖(しゃくじょう)を持っている約3mの白衣観音像が浮かびあがる現象です。
 
夏至観音 2009.06.14

足元の方から徐々に姿を現しはじめ、およそ5分間ほどかけて、その姿が完成します。しかし太陽の運行による現象のため、完全な姿が見られるのはほんの数秒間だけ。ほんの一瞬でも目を逸らすと、それは崩れはじめてしまいます。

その名のとおりこの現象は、夏至をはさんだおよそ50日間の期間に限定されます。このため梅雨時でもあることから、天候に大きく左右され、完全な姿を見ることができるは例年1週間程度です。

上記の写真2枚は、夏至の1週間ほど前に撮ったものです。

夏至のころを過ぎると、その姿が上下に伸びて痩せてゆきおじぎをするようになります。
 
夏至観音 2008.07.12

夏至からおよそ3週間後の様子。
 
夏至観音 2008.07.12

辛うじて姿を確認できます。

近年では、この「夏至観音」を見ようと、近隣の四国・中国はもちろん、関西や中部など遠方からも多くの観光客が詰めかけるようになりました。またマスコミ関係者やプロ、アマ問わずカメラマンの姿も多く見受けられます。

しかし険しい山中のそんなに広くない境内、ベストショットが狙える位置は定員1~2名、いい場所で撮影しようと思うと、最低でも30分以上前からスタンバイしておかなくてはなりません。

今年の夏至は6月21日土曜日です。運よく晴れることにでもなれば、広くはない境内が足の踏み場もないぐらいの人出になるかもしれません。

なお洞雲山までは自動車での通行は可能です。しかし舗装されているとはいえ、幅員が狭く九十九折の山道でガードレールなどはありません。大部分の区間が自動車同士の離合が困難なため、譲り合ってご通行ください。

 

最後に洞雲山境内の「夏至観音」説明書き全文転載します。

 

観世音菩薩の光現

 

 南へ一〇度の天空を「太陽」が通るのは、夏至の頃であります。この時期に午後三時と言うのは、西へ四十五度傾いた位置です。この瞬間、洞雲山境内の岩壁に三mの観音立像が光現致します。刻々と観音様のお姿が輝き始め、完全な容姿を拝することが出来ます。般若心経をゆっくり呪する時間であります。この時間は三~五分間であります。

 光現から光彩に輝き光り、そして光散する姿図は何方も同じく拝見できます。この時、太陽はインドのガンジス河の河口、カルカッタの真上に位置します。また冬の満月時にも月光で光現しています。

  小豆島八十八ヶ所

  第一番霊場 洞雲山

 

◇洞雲山 概要

名称:洞雲山(小豆島霊場一番札所)

所在地:小豆島町坂手灘上甲730

アクセス:香川県道28号(坂手港線)を坂手港方面へ向かい、岡田食品工業本社手前を左折し道なり