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ロシアのプロパガンダサイト、「ロシアの声」で以下のような記事を目にして、思わず苦笑してしまった。笑っている場合でもないのだが。


『モスクワにとっての南クリル諸島は日本政府にとっての尖閣諸島と同じ』

ロシアにとっては、第二次世界大戦の結果得られたものを見直す可能性についての問題が届けられること自体が、全く受け入れられないものなのである。ここには地政学的な事情も一役を買っている。南クリル諸島というのはロシアの太平洋艦隊にとって、太平洋への玄関口である。諸島をコントロール下に置き、この重要な海域を制圧するという考えは、1940年代、米国をも魅了した。米国は戦後処理の一環として日本からクリルを獲得し、そこに軍事基地を構築することを夢見た。ただ、日本との戦争にソ連を参加させ、それによって米国の損失を軽減するという喫緊の必要性が生じたために、セオドア・ルーズベルト米大統領は南クリル諸島が将来的にモスクワのコントロール下に置かれることに同意せざるを得なくなった。あにはからんや、戦争終結から数年後、ソ連は米国の敵国になり、日本は米国の同盟国になった。米国は、日本政府の領土返還運動を支持するようになった。そこには、諸島に米軍基地を建設し、海峡をコントロール下に置く、という狙いも含まれていた筈だ。すなわち、必要の際にはロシア海軍の太平洋への出口を封鎖する可能性を手元に置く、という狙いが米国にはあったのだ。



斜線部はリンク先記事より引用。記事タイトルの『』付けは当記事筆者による。

http://japanese.ruvr.ru/2013_01_11/100751252/

何と、ロシアは日本が、支那と同じく他国の領土を盗もうとしている、尖閣諸島と同じように、国後島や択捉島を日本が盗もうとしている、と言っているのだ。ロシアには、北方領土を一島たりとも返す気がないことが、これではっきり分かる。

この言説がロシアによる巧みな詐言、妄言、謬説であることは論を俟たない。ロシアとは、このように平然と、息を吐くようにウソをつくのである。盗人でも、これだけ理屈をこねることができる、という良い見本である。今日は、この言説を採り上げ、ロシアが如何に嘘つきの達人であるかを少し示してみたい。

なお、ロシアの脅威、我が國への主権侵害(満洲やシベリア、朝鮮における日本人大虐殺、そして工作員を通じた占領憲法の押しつけなど)については5月3日(土)に東京都で開催されるジャパンライジングさん主催の勉強会でも、時間の許す限り採り上げる予定である。

コミンテルン憲法というべき占領憲法を押しつけたのがロシアである以上、彼らの悪行を採り上げ、今後の警戒が微塵も揺らぐことがないよう、認識して頂くのが勉強会の趣旨に適うからである。

さて、大東亜戦争時の大統領を「セオドア・ルーズベルト」としている、中学生以下のレヴェルの間違いが、この言説の程度の低さを如実に表しているが、今回採り上げるのは、(正確には)フランクリン・ローズヴェルト大統領が「南クリル諸島が将来的にモスクワのコントロール下に置かれることに同意せざるを得なくなった」のだ、とロシア人が嘯いていることである。これは、完全な詐言である。

このようにロシア人は、白昼公然とウソをつくので気をつけられたい。では、なぜ、これがウソなのか。ここには、何と二つもウソがある。



1、ヤルタ秘密協定は無効である


まず、ローズヴェルト大統領が南クリル諸島をモスクワのコントロール下におくことを同意した、というくだりであるが、これは、いわゆる「ヤルタ秘密協定」を指す。

「ヤルタ秘密協定」とは、1945年2月、スターリンが千島列島と国後島、択捉島などの領有を戦後処理として主張し、これをローズヴェルトが丸呑みしたものであって、公開されなかった協定である。

ところが、この協定には「アメリカ大統領」との肩書も付されていなければ、「アメリカ合衆国を代表する」旨の記載もなかった。後任のトルーマンでさえ、ローズヴェルトの死後に初めてその存在と内容を知ったヤルタ秘密協定は、いわば、ローズヴェルトが大統領としての資格ではなく、個人的に勝手に署名したに過ぎないものなのである。

だからこそ、サンフランシスコ講和條約にはこのヤルタ秘密協定の内容は全く反映されず、「南樺太と千島列島は帰属未定」とされたのである。これは、ヤルタ秘密協定は無効である、とアメリカはじめ調印国全てが確認したことになる。

そして、アメリカは1956年に鳩山一郎首相に対し、「ヤルタ秘密協定の無効声明」を手渡している。これは、「アメリカ政府は、ヤルタ秘密協定とは、単に当時の首脳が共通の目的を陳述しただけのものであって、当事国の最終的な決定ではなく、これには領土移転の如何なる法律的効果をもたらすものではない」と記されている。

すなわち、ヤルタ秘密協定によって国後島、択捉島など北方領土の領有権をロシアが得た、という引用文の主張は、事実に全く反する虚言であることが分かる。



2、「南クリル」などというものは地球上に存在しない


次に、言葉の上での詐術である。このように、ロシアはどこか他の反日国家とは違って知能犯であるから気をつけねば易々と騙される。

というのは、下田条約(1856年)においても、樺太・千島交換條約においても、千島列島(ロシアのいうクリル諸島)とは、「得撫島以北の島々」と明記されているのである。つまり、「国後島、択捉島、歯舞諸島、色丹島は、千島列島に含まれない」というのが、日露間での歴史的経緯である。

にもかかわらず、この記事は勝手に、「南クリル」などという言葉をでっちあげ、「国後島など北方領土は、クリル諸島の一部であり、それはヤルタ秘密協定によって米ソ間でソ連の領土となることを確定したのだから、これを認めない日本は、尖閣諸島の領有権を主張する支那と同じだ」、と言っているのである。全く呆れた、言語道断なでっち上げである。

このように公然とウソを並べ立てて北方領土返還の気など微塵も見せないロシアと、友好関係が持てるはずがない。ロシアと組むことは、どんなことにせよ、彼らに利用されるだけに終わる。日露間に友好関係など、あってはならない。ロシアとは国交断絶、敵対関係にあるのが正常な関係である。