左翼思想とは、ある特定の人物、または党派やグループなどの「意思」こそが絶対であるとする思想である。



 左翼思想のルーツは、様々なところに求めることができますが、やはりこの思想を代表する人物こそはジャン・ジャック・ルソーです。

 ホッブズらの「主権論」を継承したルソーは、「人民主権」という観念を打ち立て、人民の「一般意思」なるものを体現する存在こそが国家のあり方全てを決定できるのだと唱え、その思想は後に発生したフランス革命の指導的思想となりました。

 古来の「法」を破壊し、革命を正当化する上で、ルソーの思想は大きく役立ったわけです。

 「一般意思」という観念は、ジャコバン派やその指導者ロベスピエール、そして後のナポレオン1世による独裁政治を正当化するのにも好都合でした。

 フランス革命は、理神論者であるルソーと、ヴォルテール(無神論者との説もあり)が精神的支柱となった、反キリスト教革命であると言われています。

 古来の法とキリスト教の神を否定した後に、神に代わるものを作らざるを得なくなったのです。

 独裁者ロベスピエール自らが「大司祭」となり、1794年、パリの「シャン・ド・マルスの丘」で「最高存在の祭典」という理神論の儀式を執り行いました。フランス革命は、表向きは「自由・平等・博愛」などというスローガンを掲げていましたが、内実は反キリスト教の、「理神論」という別の宗教がフランスを乗っ取ったものに過ぎなかったのです。

 「一般意思」の観念は、絶対者であるキリスト教の神を否定した後、これに代わる絶対的な「神」を観念するのにも好都合でした。すなわち、人民の「一般意思」を体現する「独裁者」が唯一神の代わりとなり、その座に座ったのです。恐るべきことです。

 ルソーの思想のこのような解釈は、明治維新以降、ほとんど無批判にルソー思想を流入させた我が国にも影響を及ぼし、「天皇主権」説という奇説が唱えられるに至ってしまいました。

 恐れ多くも、天皇陛下を「一般意思」を体現する独裁者と位置づけ、我が国の古来の法と国体の破壊を企てるものなのです。天皇陛下を理神論の「神」に擬するという、許し難い不敬です。

 かくして、ルソー思想は後の共産主義や社会主義、国家社会主義などにも独裁者の統治を正当化するという意味で影響を与え、レーニンやスターリン、ヒトラーや毛沢東、ポル・ポトや金日成などという人民の「一般意思」を体現する独裁者を産み出していくのです。



<参考文献>『悠仁天皇と皇室典範』 中川 八洋 著 p.113~p.119


悠仁天皇と皇室典範/中川 八洋

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