こんばんは。今日から第三章 帝国議会の解説に入ります。



(1)国体と自由を護持する立憲主義(法の支配)


 言うまでもないことですが、帝国議会は天皇の立法権を協賛する機関です。よって、初めに簡単に、「」と「法律」についてもう一度解説します。詳細な解説をご覧になりたい方は、入門の入門「立憲主義(法の支配)」その他「法」について解説している箇所を参照下さい。

 まず、「法」と「法律」は、日常生活ではほぼ同じ意味として用いられていますが、保守思想の憲法学においてはこれらは全く異なるものであることを銘記しておいて下さい。

 すなわち、法とは私たちの祖先から永年にわたって継承してきた道徳や慣習、伝統や文化などの規範のことです。よって、これらは誰によって作られたか不明のものであり、不文法(文字で書かれていない規範)です。これら法の中で、特に国体に関わる重要な法のことを憲法といいます。つまり、憲法とは道徳や慣習などの不文法です。

 これに対して、法律とは例えば議会のような特定の人々によって構成される機関によって制定される規範のことです。よって、これらは制定した者が明らかであり、成文法(文字で書かれた規範)です。

 このように、法と法律とは相反する性格を持つものであることを頭に置いておいて下さい。

 そして、保守思想においては、憲法典(成文の憲法)や法律を制定するには、その上位の規範である法(不文の憲法)を斟酌し、それに反しないものとしなければなりません。国体を護持し、我々の自由を保持するものは我々の祖先から代々継承してきた道徳や慣習など、すなわち法です。

 従って、あらゆる憲法典、法律、命令、規則などの規範は法に違反して制定することはできず、法に反するものは憲法違反として無効となります。

 『日本国憲法』なるものが、法(国体に関する不文の憲法)に反し、憲法としては無効である、というのも、このような論拠によるものなのです。

 我が国の国体においては建国の古来より現在に至るまで、立憲主義(法の支配)による自由に支えられた天皇による祭祀と統治がその核心として厳然と存在しています。



(2)立憲主義(法の支配)に対立し、国体と自由を破壊する人定法主義(法治主義)


 このような先祖から継承した道徳や慣習などの法に則り、自由を保守して国体を護持しようとする立憲主義(法の支配)に対立する観念が人定法主義(法治主義)です。

 人定法主義とは、憲法典(成文憲法)や法律などを制定する時には、法とは無関係に制定することができ、たとえその内容がどのようなものであっても議会などの規範制定機関によって制定されたものであれば、それは憲法典や法律として有効である、という考え方です。

 道徳や慣習を破壊して「理性」による国家建設を目指す左翼全体主義国家や、かつての君主が専制的な権力を行使し、法律の制定権を専断的に行使していた専制君主国家では、このような人定法主義(法治主義)が採られています。

 そして、このように立憲主義(法の支配)を破壊して、立法者の専断的な意思のみで憲法典や法律を制定する力のことを、「主権」と言います。君主に主権があるものを君主主権、国民の多数決に主権があるものを国民主権(民主主義)と言います。

 憲法典や法律などの規範の内容がどんなむちゃくちゃなものであっても、制定する権限を持った者が制定してしまえば、有効となってしまうのです。

 ゆえに、君主主権や国民主権(民主主義)の下では立憲主義(法の支配)は破壊され、自由は消滅するに至るのです。

 我々は、断固としてこのような自由を破壊する全体主義思想である人定法主義(法治主義)とそれにつながる国民主権(民主主義)を拒否、否定し、国体と自由を護持する立憲主義(法の支配)を守っていかねばなりません。

 以下、「第三章 帝国議会」の解説に入ります。



(3)天皇の立法権を協賛し、国体の下の自由を保守する帝国議会


 第三章 帝国議会



 第33条 帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス

(口語訳)帝国議会は貴族院と衆議院の両院で構成される。


 立法権を行使するのは天皇(第5条)ですが、「天皇は統治すれども親裁せず」が法です(第3条)。従って、実際に法案を審議し、可決するのは帝国議会であり、天皇はこれを裁可し、公布と執行を命じることでその立法権を行使します(第6条)。これをもって、帝国議会が天皇の立法権を協賛する、と言います。

 帝国議会は貴族院と衆議院の二院制で構成されています。法律はこの両院の可決をもって初めて協賛されます。そして、この構成こそが、正に立憲主義に基づく国体の下の自由を守るための配慮なのです。

 すなわち、衆議院は、ご存知のように選挙によって議員が選出されます。そして、法案は多数決によって可決されるのですが、留意せねばならないのは、これによって多数派の力だけが通ってしまい、少数派の自由が無視されてしまうという、国民主権(民主主義)と同様の弊害が現れる可能性があります。

 そこで、これを是正し、国体の下の自由を保守する機関が貴族院です。

 貴族院議員は、華族の中から互選されます。皇室の藩屏として私益によらず、国体護持に心を尽くすことのできる華族による貴族院は、衆議院による、ともすれば私益に走りがちで少数派の自由も顧慮しない審議による法案が協賛されることを防ぐことが可能なのです。

 こうして、貴族院は国民主権(民主主義)の弊害を抑える、いわば国体と自由を護持する砦としての役割を果たしているのです。



 次回は第34条から解説していきます。




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