「自炊」代行、著作権使用料徴収で許諾検討、というニュースが紹介されています。
全文を以下に掲載しておきます。
紙の本をスキャナーで読み取り、自前の電子書籍を作る「自炊」の代行業者に対し、スキャン行為を許諾する代わりに、業者から著作権使用料を取る構想が、作家や漫画家などの著作者団体の間で検討されていることが25日、わかった。
日本文芸家協会や日本漫画家協会、日本写真著作権協会などが、26日、「蔵書電子化事業連絡協議会」を設立。許諾を与える枠組みやルール作りについて本格的な協議を始める。
個人が自ら使用する目的で自炊を行うことは、紙の本を自分でコピーするのと同じく、「私的複製」として著作権法で認められている。しかし、自炊代行業者は客の依頼を受け、紙の本を1冊100円前後で大量に電子書籍化している。作家や出版社は、複製者と利用者が異なるため私的複製には当たらず、著作権法違反だとして、スキャン行為の差し止め訴訟を起こすなど反発を強めてきた。
以下は私のコメントです。
電子タブレットの普及により書籍の自炊による電子書籍化が巷で流行っていますね。本棚はすっきりするし、持ち運びは便利だし、自炊による電子書籍化のメリットは大きいですよね。
しかし、私は数年前から自炊による電子書籍化に関するある疑問を感じていました。個人で自炊し使用する「私的複製」なら全く問題はないのでしょうが、電子書籍化したファイルを他人に無償コピーしたり、ましてや有償コピーしている状況をよく目にするからです。
私の病院にも医学部の学生がよく病院見学や実習にきます。ここ数年で感じたことは、学生が以前のように書籍としての教科書を持たず、代わりにタブレットを持ってくるのです。教科書や参考書を電子書籍化してタブレットに入れているとのことでした。多くの教科書や参考書は電子書籍化されていないはずなので、どのようにして入手したかを聞くと、一部には正規のルートで業者に頼んで電子書籍化したり自身で自炊したりしているようですが、ほとんどは先輩や同級生からコピーしてもらっているとのことでした。中には先輩や同級生が有償でコピーを販売しているとのことでした。疑問を感じるのはこの点です。
お金に困っている貧乏学生が多い国公立大学で、教科書代を浮かせるためにこっそりと無償コピーをいただいているということならば、目をつぶってやりたい気もするのですが、有償での転売は甚だ疑問を感じざるを得ません。
個人使用目的の私的複製ましてや有償での転売は違法行為のはずです。きっと近い将来、どこかの大学のどこかの学部の学生が摘発されて処分されるのでしょうが、氷山の一角にすぎないことでしょう。こうした犠牲者が出る前に自粛してもらいたいものです。
我が母校の医学部学生が摘発されないことはせめてもの願いであり、老婆心ながら見学や実習に訪れた違法コピーをしている学生には注意を促すようにしています。
話はそれましたが、「自炊」の代行業者からスキャン行為を許諾する代わりに業者から著作権使用料を取るということは極めて妥当でしょうね。そうすることで、消費者の負担は若干(かなり?)増えるのかもしれませんが、時代の流れに適合しつつも代行業者と著作者・出版社がいずれも生き残っていくためには致し方ないところではないでしょうか。
今の1冊100円前後の代行料であれば、正直に自分で機械を揃えて手間隙かけて自炊するよりも、業者に頼んだ方が安いことになってしまいます。正直者が馬鹿をみてしまいます。
ちなみに私自身も、本棚にある医学書の約半分は捨てるに捨てられない本ばかりなので、電子書籍化してすっきりさせたいと思っています。もちろん正規のルートで電子書籍化します。
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