子宮内避妊器具による避妊法について part1 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

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 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 子宮内避妊器具(intrauterine contraceptive devices: IUDと略します。)は金属やプラスチック製の器具を子宮腔内に挿入し、主として受精卵の子宮内膜への着床を阻害することによる避妊法です。

 現在IUDは、プラスチックあるいはその他の高分子重合体で作られています。挿入が簡単に行えるように挿入器具に入っており、また脱出はほとんどなく除去もしやすい形状になっています。

 最近では避妊効果を高め、かつ不正出血などの副作用を減少させるために薬剤(銅やレボノルゲストレルなど)を付加したIUDが開発されています。

 IUDは比較的効果が高く安全な避妊法として認識されています。使用期限はIUDの種類によって異なり2年から5年です。

 現在日本で使用できるIUDは5種類あります。
従来型:FD-1®、優性リング®
銅付加型:マルチロードCU250R®、ノバT380®
黄体ホルモン含有型:ミレーナ®

 IUD の避妊機序は他の避妊法の作用機序のように明確ではありません。受精卵の子宮内膜への着床を阻止して妊娠を防ぐことが動物実験等で確認されています。IUD が挿入された子宮内膜の間質内には多数の食細胞の浸潤が認められ、着床に関係する酵素系の活性変化も認められています。

 銅付加IUD の場合、子宮内膜の酵素系には亜鉛イオンが補酵素として必要ですが、その活性が銅イオンによって阻害されて着床を阻害するという説が有力です。

 黄体ホルモン含有IUD の場合は、除放性に黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を子宮内で放出します。排卵は抑制しませんが高濃度の黄体ホルモンによって子宮内膜は非定型的内分泌期像に変化し、受精卵の着床阻止効果が高くなります。同時に頸管粘液が減少して精子の通過を妨げますパール指数は0.14%とピルに匹敵します。特徴として、他のIUD と異なり子宮内膜の変化を起こすことにより経血量が減少するため、月経困難症や子宮腺筋症の治療にも用いられます

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