早期流産の原因 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

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 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 流産(自然流産)の原因は多岐にわたっています。胎児側要因と母体側要因の両方があります。妊娠12週未満の早期流産と妊娠12週以降の後期流産では原因も違ってきます。中には原因として推測されているだけで実証されていないものも多くあります。

 まずは早期流産の原因です。子宮内容物、つまり胎児・胎芽の染色体異常が50~70%でみられます。染色体異常以外の発生異常(先天異常・奇形)を含めると早期流産の90%以上が胎児側要因で起こっていることになります。

 以前、「妊娠12週未満の切迫流産に対する有効な治療法はない」と書きました。根拠はここにあります。胎児側因子、中でも染色体異常や発生異常(先天異常・奇形)のため自然淘汰の形で流産となることが多いのです。

 参考までにどんな染色体異常が多いのでしょうか?常染色体のトリソミーが最も多いといわれています。約半分が常染色体のトリソミーです。常染色体のトリソミーの中では16トリソミーが最も多いといわれています。他には3倍体やモノソミーがあります。個別の核型でみると45XOという性染色体のモノソミーが10~20%と最も多い異常パターンです。なお染色体の用語について興味ある方はリンクを見てください。

 早期流産の残る10%弱は母体側要因で起こります。子宮の異常(子宮筋腫・子宮奇形)、感染症(パルボウィルスB19・単純ヘルペスウィルス・サイトメガロウィルス・トキソプラズマ・風疹・梅毒など)、内分泌疾患(糖尿病・甲状腺機能異常など)、自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデス・抗リン脂質抗体症候群など)、高熱放射線被曝外傷などがあります。

 後期流産の原因は次回以降にします。

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