◆書評 : 馬渕睦夫 vs 渡部昇一『日本の敵 グローバリズムの正体』(飛鳥新社) | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。



 ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆ 
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 ユダヤ金融筋の「ハイ・ファイナンス」とは何か?
  ユダヤ人左派とグローバリズムが敵視するのはナショナリスト

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馬渕睦夫 vs 渡部昇一『日本の敵 グローバリズムの正体』(飛鳥新社)
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 冒頭から白熱した議論がいきなり展開される。
 口火を切るのは馬渕睦夫・元ウクライナ大使である。それは米国の安倍晋三批判の根幹にあるアメリカ人の「マニフェスト・ディステニィ」に真っ向から挑戦するナショナリストとして安倍晋三を「危険人物」として米国が捉えており、しかも米国の民主党政権主流リベラルな東海岸のマスコミの感覚では、ナショナリストは「悪」なのである。


 これは60年代からある議論で、ナショナリズムは欧米人に誤解を与えかねないので英語でいうときはパトリオティズム(愛国主義)が適切である


 ユダヤ系のニューヨークタイムズが盛んにネタニヤフ(イスラエル首相)を攻撃するのは「ユダヤ人同士なのに、なぜ?」と思うところだが、左派系ユダヤにとって「ナショナリスト」は悪だからである。


 ましてキッシンジャーはドイツ系ユダヤ人だが、「イスラエルは十年以内に消滅する」などと物騒な発言をしている


ハンガリー系ユダヤ人のジョージ・ソロスは明瞭にイスラエル現政権を批判し、そのタカ派的外交を罵倒している。


ユダヤ人同士、すこぶる仲が悪いが、それはユダヤ人になかに国際金融組が跋扈していて、かれらが推進する「グローバリズム」の邪魔になるからである。


 ニューヨークタイムズは安倍首相を「歴史を歪曲する修正主義」「不必要な軍国主義」「つまり安倍晋三を「強固なナショナリスト」として定義して悪い印象をあたえつつ、「米国の国益を侵害する懼れがある」などと罵倒している。異様である。


これは如何なるものか、馬渕元大使が渡部昇一氏に問う。
 渡部氏は安倍首相は愛国者であり、「07年のインド訪問で、ハッキリと示されていると思います。日本軍とともにインド独立のために戦ったチャンドラ・ボーズの遺族や、東京裁判で被告人全員の無罪を主張したパール判事の遺族をお訪ねになった。これで(安倍さんの歴史認識は)十分ではないでしょうか」


 しかし左翼マスコミから受けた理不尽な攻撃を跳ね返すには安倍首相が「一度ワシントンへ行って会見を開く。アメリカや世界中の報道機関、テレビや新聞記者を集めて、三十分でいいけれども、出来れば二時間ほど余裕を取って、首相自らあらゆる質問に答えますといえば、現職の総理大臣ですから世界中が報道します」。


 渡部昇一氏の上記提言は重要である。
 こうして日本が受けた恥辱を覆し、中国、韓国が呼号する出鱈目な史観をハッキリと論駁しておく必要がある。なぜなら、これが言論戦だからと渡部氏が強調している。


 あたかも、本書が後押ししたかのように安倍首相は2月28日の国会答弁で「中国、韓国の日本をおとしめるプロパガンダに適切に対応する広報活動を行う」とした。

 さて本書の議論の肯綮は、ユダヤの金融資本という正体不明、魑魅魍魎がいかに世界をおかしくしたかというストーリーが展開され、興味津々の分析がある。


 国家を越えるグローバルな資本主義によって、つまりユダヤ人左派は「国境をなくせ」と獅子吼する金融市場に集約したグローバリズムであり、どこの国であれ潜り込んで稼ぎをなす。


そのためには米中が手を組む。戦前は米英ソ中が「連合国」だったという組み合わせの摩訶不思議も、ユダヤという一本の糸を解せば全貌が読めてくると馬渕氏は言う。


 なんだか「ユダヤの陰謀論」かとおもいきや、シオニズムユダヤの「シオンの議定書」への言及もなく、あくまでも「ハイ・ファイナンス」という勢力が世界政治を蚕食している実態に迫るわけだ。

 ▼あの戦争の背後にいたのは誰々か?

 渡部昇一氏は「アメリカは蒋介石ではなく毛沢東を支援した(中略)。ソ連のような共産党独裁でもなく、蒋介石の国民党のように腐敗していない日本が、なぜあれほどアメリカの目の敵にされたのか。それは中国を共産化する時にたちはだかった日本が、非常に邪魔だったからです」と言う。


すかさず馬渕氏は、
 「その通りで、中華人民共和国は事実上、アメリカとイギリスの金融資本がつくったと言えます。


イギリスが中国であくどいことをした具体例は、1935年11月の幣制改革でした。1929年にアメリカで始まった世界大恐慌の影響で、ルーズベルト大統領は34年に銀買い上げ方を制定、財務省が銀の備蓄を行うようにしたため、銀の国際価格が跳ね上がりました。


銀本位制だった中華民国から大量の銀が国外に流失、財政危機に陥ります。中国に資本投資しているイギリスは使節団を送り、銀本位制をやめさせ管理通貨制とするように要請。


南京政府は国内の銀を国有化して独自に不換紙幣を発行、一切の取引はこの法幣で行うと定めました」
 当初、英国ポンドとの固定相場だったが、すぐに「アメリカドルとの固定相場を採用する」


 つまり、これが英米の中国経済への露骨な介入だった。
 「中国はアメリカ経済への依存度を高め、貨幣制度改革と称して、なんの役にも立たない蒋介石の紙幣と強制的に交換させるかたちで、中国の庶民が持っていた銀を全部吐き出させた。


すべての銀を召し上げて、蒋介石の浙江財閥、それに繋がるサッスーン財閥、その背後にいたロスチャイルドのアメリカの金融資本家たちで山分けしたのです」と。


 そしてこうした仕組みはニクソン訪中を促したロックフェラー率いるチェース・マッハンタン銀行、それと手を組んだトウ小子平が国民を搾取して中国を経済大国にした。まさに今も昔も、変わらないと馬渕大使が指摘し、渡部氏も賛同している。


 じつは評者はこの構造を早くから指摘してきた。
つまり人民元という紙くず通貨を、米国はいきなり理由の説明もなく国際準通貨に格上げしてドルとのベッグ制を強要するかのようにドル基軸に組み入れた。


そのうえで中国のファイナンスのノウハウはゴールドマンサックスが主導して教え、中国経済はすっかりその気になった。


ゴールドマンサックスのヘンリー・ポールソン会長は70回も北京へ通い続け、中国工商銀行の上場に際しては大株主におどりでたほど、しかもポールソンはブッシュ政権後期の財務長官となった(ただし彼はユダヤ人ではない。いまのルー財務長官は正真正銘のユダヤ教徒)。


気がつけば欧米不況のおり(2009年のリーマン・ショック)に中国は巨額の財務出動で、世界経済の沈没をひとりがむしゃらに牽引したのも、財源は赤字国債発行であり、それはドルによる外貨準備の大半をドル建ての米国債で中国が保有していたからである。


そして天文学的財政出動の償還時期を迎えて、中国経済の破滅が間近に迫ると欧米金融機関はまっさきに逃げ出した。


中国のほうが上手であり、人民元を国際通貨の一員に加えろと騒ぎだし、ユーロへのシフトも始めると米国は従来の方針を静かに転換した可能性があるが、そのことを本書は指摘してはいない。


 問題は、しかし戦前のパターンと現在のそれとがあまりにも酷似していることで、ユダヤ金融資本はそれなりの思惑があり、かつ対応するかにみせて中国はドルを貯め込み、共産党幹部はせっせと海外へドルを持ち出し、逃亡をはかるように、かつての浙江財閥と同じことを繰り返した。


つまり中国共産党はユダヤ金融資本とおなじ程度に狡猾でしたたかで、自らが膨らむことにユダヤのノウハウを逆利用したというのが評者の推論、本書の分析も後半部へ行くとほぼ同じ分析になる。
馬渕氏は言う(250p)

アメリカの金融ビジネスエリートらはさんざん中国で荒稼ぎをやってのけたが、相互の利益にならなくなれば、「あっという間に関係が清算されます。げんに昨年からアメリカのグローバル企業が中国から撤退を始めました。


中国人の賃金があがりすぎたことや、経済成長率の鈍化、不動産バブルの崩壊開始などの経済減速にくわえ、健康を蝕む環境破壊や共産党の度を超えた腐敗などが原因でしょう。


要するに、世界の投資家にとっての利益を生む投資先としての中国は、その役割を終えたということです(中略)。外資によって経済発展を遂げた国は外資が脱出すると同時に崩壊するのです。これが、歴史が教える真実です」。

全編にながれるユダヤ人への過大評価は気になるところだが、世界経済の謎をとく足がかりとしてエキサイティングは議論を展開している。
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