今年の三月、宇多田ヒカルのアメリカでの第2弾アルバム「This Is The One」が米iTuneミュージックストアのダウンロードのチャートの19位に入ったというニュースが流れた。見ると確かにiTuneミュージックストアのアメリカでのランクのデイリーチャートの20位に入っていた。
「きっと来週あたりビルボードのアルバムチャートの上位に入ってくるに違いない」
そう思って期待して見ていたのだが、CDとしての発売をしていなかったのでデジタル形態のダウンロードだけのポイントだったのでビルボードのアルバムチャートの178位に1週入っただけで終ってしまった。その前週の同チャートにはBoAのアメリカでのデビューアルバム「BoA」が127位にやはり1週だけ入っている。
「なんだよ。BoAにすら負けてんのかよ」
そう思っていたらインターネットでのダウンロードのみの発売から2ヶ月たった5月12日、ようやくCDによる発売となった。
「もしかしたら、今度こそ期待出来るかも」
思っていたら5月30日付けのビルボードのアルバムチャートで初登場69位。ちょっと微妙な順位だった。翌6月6日付けで139位に後退し、翌週は姿を消した模様。前作の「Exodus」はロックっぽくて本来の宇多田ヒカルらしくなかったが、今回のは第一弾シングルの「Come Back To Me」を聴いた限りでは宇多田らしさが出ていていけそうだっただけにちょっと物足りない結果とも言える。でも、まだまだ、宇多田のアメリカ進出は始まったばかり。今後の活躍を期待しよう。


Come Back To Me - Utada
やはり、英語が喋れるのが強みですね。

・Utada Net.COM

日本人で全米チャートでのヒットと言えば、やはり坂本九の「上を向いて歩こう」が有名。「Sukiyaki」のタイトルで全米シングルチャート(BILLBOARD HOT100)で1963年6月15日から3週連続で1位になって、その年の年間チャートでも13位になった。また、続いてリリースした「China Nights(Shina No Yoru)」(「支那の夜」)も58位まで上った。

「Sukiyaki」の入ったアルバム「Sukiyaki and Other Japanese Hits」も全米アルバムチャートの14位まで上がった。更にシングル「Sukiyaki」はビルボードのR&Bチャートの18位、アダルトコンテンポラリーチャートにおいては1963年6月8日から5週連続で1位になっている。


Sukiyaki - Kyu Sakamoto

<1963年6月29日付ビルボードTOP10>
1. Sukiyaki - Kyu Sakamoto
2. It's My Party - Lesley Gore
3. Hello Stranger - Barbara Lewis
4. Blue On Blue - Bobby Vinton
5. Easier Said Than Done - Essex
6. Those Lazy-Hazy-Crazy Days Of Summer - Nat King Cole
7. One Fine Day - Chiffons
8. You Can't Sit Down - Dovells
9. Memphis - Lonnie Mack
10. Surf City - Jan & Dean

それ以外でも日本人は全米チャートにちょくちょくと顔を出している。しかしながら、それ程派手な活躍は出来ていないのが実情だ。

① 冨田勲(Isao Tomita)
NHK大河ドラマの『勝海舟』(1974年)や第『徳川家康』(1983年)の音楽を担当したシンセサイザー奏者の冨田勲は70年代半ばから1980年初頭まで計7作もビルボードのアルバムチャートも送り込んだのは日本人最多。
最高に上位にランクされたのが1975年の「展覧会の絵(Pictures At An Exhibition)」の49位だが、一番チャートに長く居座ったのが、「月の光」(英題は「Snowflakes Are Dancing」)で25週オンチャートした。

<冨田勲(Isao Tomita)のビルボード・アルバムチャートの成績>
1. Snowflakes Are Dancing (1974年57位)
2. Moussorgsky: Pictures At An Exhibition (1975年49位)
3. Firebird (1975年71位)
4. Holst: The Planets (1976年67位)
5. Kosmos (1978年115位)
6. The Bermuda Triangle (1979年152位)
7. Ravel: Bolero (1980年174位)


The Great Gate of Kiev - Isao Tomita(from "Pictures At An Exhibition")

② ツトム・ヤマシタ(Stomu Yamashta)
京都市出身のミュージシャンであるツトム・ヤマシタは、ニューヨークのジュリアード音楽院やボストンのバークレー音楽院で学んだ後、パーカッションやキーボード奏者として世界で活躍した。有名なところでは1976年のデヴィッド・ボウイ主演映画『地球に落ちてきた男(The Man Who Fell to Earth)』のサントラとか、英国ロイヤル・バレエ団に曲を提供したりといったところ。彼のアルバムでヒットしたのは「While You See A Chance」(1981年全米7位)
とか「Higher Love」(1986年全米1位)などのヒットで知られるスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)らとスーパーグループ「Go」を結成して作った「Go」というアルバム。グループのメンバーはヤマシタやウィンウッドの他には、クラウス・シュルツェ(Klaus Schulze)、アル・ディ・メオラ(Al Di Meola)、元サンタナのマイケル・シュリーヴ(Michael Shrieve)といった一流どころが集められている。ツトム・ヤマシタを英語名「Stomu Yamashta」で表記したのは意図的なのだろう。

<ツトム・ヤマシタ(Stomu Yamashta)のビルボード・アルバムチャートの成績>
1. Go (1976年60位)
2. Go Too (1977年156位)


Crossing The Line - Stomu Yamashta
ボーカルがお馴染みのスティーヴ・ウィンウッドなので日本人の曲というイメージはあまりない。でも、なかなかのクオリティーである。

③ YMO(Yellow Magic Orchestra)
細野晴臣(ベース)、高橋幸宏(ヴォーカル、ドラムス)、坂本龍一(キーボード)らのYMO。当時テクノブームを起こした彼らはシングルヒットも出していて「Computer Game "Theme From The Circus"」がビルボードHOT100の60位まで上るヒットとなっている。

<イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra)のビルボード・アルバムチャートの成績>
1. Yellow Magic Orchestra (1980年81位)
2. X∞Multiplies (1980年177位)


Computer Game - Yellow Magic Orchestra(YMO)

④ ラウドネス(Loudness)
もともとはディープパープルのコピーをやるような実力派ハードロックバンドだったレイジーは悲しいかな当時人気だった英アイドルロックバンド「ベイ・シティ・ローラーズ(Bay City Rollers)」のようなアイドルバンドとして売り出されてしまった。不満だった「レイジー」のメンバー高崎晃(ギター)と樋口宗孝(ドラムス)は、オーディションによって選ばれたボーカルの二井原実、山下昌良(ベース)を加えた4人編成でハードヘヴィメタ系ロックバンド「ラウドネス」を結成。(その後メンバーは色々変わる。)見事アメリカ進出を果たし、ビルボード・アルバムチャートに3作も送り込んだ。

<ラウドネス(Loudness)のビルボード・アルバムチャートの成績>
1. Thunder In The East (1985年74位)
2. Lightning Strikes (1986年64位)
3. Hurricane Eyes (1987年190位)


Crazy Doctor - Loudness

⑤ ピンク・レディ(Pink Lady)
70年代後半「UFO」、「ウォンテッド」など数多くの大ヒット曲を連発し時代を作ったご存知ピンクレディ。
アメリカ進出を試みコメディアン&俳優のジェフ・アルトマンと米テレビ番組「Pink Lady and Jeff」にホストとして出演。番組は視聴率22%で結構成功している。その前年に彼女らが全米シングルチャートに送り込んだのが「Kiss In The Dark」。当時のディスコブームになんとか乗りながら坂本九以来の日本人のTOP40入りを果たした。


Kiss In The Dark - Pink Lady
レイフ・ギャレットが最初に出てきて紹介している。

<ピンク・レディ(Pink Lady)のビルボード・シングルチャートの成績>
1. Kiss In The Dark (1979年37位)

⑥ 松田聖子(Seiko)
ピンク・レディ以上に日本のオリコンチャートのトップに曲を送り込んだ松田聖子。
1990年にニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのドニー・ウォルバーグ(Donnie Wahlberg)とデュエットした「The Right Combination」がビルボードHOT100の54位まで上るヒットになっているが、この曲はカナダのチャートではなんと2位に、オーストラリアのチャートでも9位まで上っている。

<松田聖子(Seiko)のビルボード・シングルチャートの成績>
1. The Right Combination - Seiko and Donnie Wahlberg(1990年54位)


The Right Combination - Seiko and Donnie Wahlberg

⑦横倉裕(YUTAKA)
ジャズ・フュージョン系のミュージシャン横倉裕は1956年生まれ。1978年にデイヴとラリー・ローゼンのプロデュースで日本でリリースしたデビュー・アルバム「Love Light」のタイトルチューンが1981年にLAを中心にヒット。

<横倉裕(YUTAKA)のビルボード・シングルチャートの成績>
1. Love Light - Yutaka with Patti Austin(1981年81位)
(※R&Bチャートでは最高位61位)

<横倉裕(YUTAKA)のビルボード・アルバムチャートの成績>
1. Love Light - Yutaka(1981年174位)




⑧BABYMETAL(ベビーメタル)

SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの女性3人からなるメタルダンスユニット、BABYMETAL(ベビーメタル)のセカンドアルバム「Metal Resistance」が2016年4月23日のビルボードのアルバムチャートの39位に初登場した。2014年リリースのデビューアルバム「Babymetal」は全米アルバムチャートの187位まで上っていた。今後、セカンドアルバムがどこまで上昇するのか楽しみ。



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⑨ピコ太郎(Piko-Taro)


PPAP (Pen-Pineapple-Apple-Pen) - Piko=Taro

2016年秋にピコ太郎(別名:古坂大魔王)が久々にやってくれた。

2016年10月29日に全米シングルチャート(ビルボードHOT100)に77位で初登場したが、次の週には圏外へ。それで終わると思いきや11月26日に82位でリエントリーし、93位、90位とチャートに粘り、トータル4週間全米シングルチャートにランクされた。

この曲の長さはたったの45秒しかなく、全米シングルチャートにランクされたもっとも短い曲としてギネスに認定された。

<ピコ太郎(Piko-Taro)のビルボード・シングルチャートの成績>
1. PPAP (Pen-Pineapple-Apple-Pen)(2016年77位)

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