私の出演した仮面ライダーは見ていて恐かったと思う。


緊迫感、恐怖感が1号は一番あったんじゃないかな。


子供たちは恐怖に震えながら、びくびくしながら見ていたと思う。


リアリティが、子供を釘付けにしていた。そのインパクトは強かったと思う。


あんな恐い敵と戦う。

わくわくはするんだけど恐い。

恐いけど見たい。


当時の日本は、日本列島改造論が叫ばれ、発展途上の真っ只中だった。


徹夜徹夜で頑張って働いているお父さん、お母さんの世代だったから、とにかく家族全員で頑張っていた時代だった。子供はひとりぼっちで鍵を開けて家に入って、置かれたご飯を食べながらテレビを付けて…


そういうふうに仮面ライダーを見ていた子が多かったかもしれない。


あの頃は、安保闘争などで世も荒れていたから、日本全体に不安が渦巻いていた。


だから、仮面ライダーの存在は、望むべきヒーローだった。


いてほしいな、っていう存在だね。


僕も強くなりたい、ならなきゃな、頑張るぞ、と、孤独と戦い、毎日、自分を奮い立たせるような挑戦の連続であり、見本となる象徴的存在だったと思う。


当時の子供たちにそういう印象が残っていたような気がするね。かなりの影響を与えたんじゃないかな。


戦うヒーローが巨大になってしまうと自分とは違うと思ってしまうけれど、仮面ライダーは同じ等身大だから、僕もなれるんじゃないか、という風に身近に感じた子供も多かったようだ。


時代の流れというのは、色々な事を教えてくれるね。


合掌、
藤岡弘、



ライダーヒーローメモリアル「仮面ライダー・本郷猛」(旧1号)藤岡弘、オフィシャルブログ「藤岡弘、の侍道」Powered by Ameba-raider