フェイシズ


「フェイシズ」             (原題:Faces in the Crowd)
2011年 アメリカ/フランス/カナダ  監督 ジュリアン・マニャ

小学校で教師をしているアンナは、友人たちと酒を飲んだ帰り、
連続殺人鬼が女性を殺害している現場を目撃する。
殺人犯に気づかれたアンナは、彼から逃げようとして、橋の上
から落ち、強く頭を打つ。 その時に人の顔が覚えられない

(失顔症・相貌失認)という病気になってしまう。

人の顔を覚えられないという病気は、あまり聞いたことがない

が、実は世の中に2%もいるという。この病気がこの映画で
重要な位置を占めている。またその病名(失顔症・相貌失認)
をぼくは、聞いたことがなかったし、症状のめずらしさもあって、

映画はなかなか面白かった。

相貌失認では人の顔の判別というのは、口や鼻や目といった
顔のパーツで覚えられても、全体像が認識できない。実は、
人の顔を認識するためには、一つ一つのパーツを認識するよ

り、はるかに複雑な情報処理が脳内で行われているとの事。

俳優のブラッド・ピットも、この病気との事だ。そう言われてみ

れば、ニュースになっていたのをどこかで読んでいる。

その病気にからめて、ブラットピットは家にいるのを好む事に

関し、このように述べている。

「この世界では、何度も同じ人に会う必要があるんだ。それな

のに顔を忘れてしまうから、人に会う度に不快な思いをさせ

るのではないかって、いつも心配しなくちゃいけない。

だから、家にいる方が気が楽なんだ。子供の世話で家から出

られないって思われているみたいだけど、実際には全くその

逆だよ。」

ところで一つ、この映画のストリーで納得いかなかったのは、
アンナの彼氏で警察官のひげもじゃ男。
さんざんアンナから、顔が識別できない苦しさを聞いていて、
『親しくなって、ベットを共にして翌朝、いきなりヒゲを剃って

しまう展開はどうなの?』と思った。

当然、彼女は、彼氏の顔が変わって、見分けがつかなくなっ
た事にまたパニック状態となる。ああ、かわいそう。

ところで、最後にこの映画でちょっと笑えたシーン。
彼氏の顔が判別できないというアンナの悩みを聞いた彼女
の女友達は、
「え?それって毎日違う人とSEXしているみたいで最高じゃ

ない!」と、言ってニコニコしているのがお気楽でなんだか

おかしかった。

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参照:人の顔が覚えられない「相貌失認」(失顔症)について知ってください

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