ヘインの話し | 学生団体S.A.L. Official blog

学生団体S.A.L. Official blog

慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。

ぼくはヘインに尋ねる「ヘインは雨季が好き?」
彼はあまり考えずに答える「はい。私は雨季が好きです。」
ぼくはこの答えに少し驚く。
カンボジアの人は雨季が嫌いなのだと、自分の中で勝手に思っていた。
雨季にはとにかくたくさんの雨が降る。主な移動手段がバイクであるカンボジアの人にとっては辛いものである。
彼は続ける「雨季がないと作物が育ちません。だから私は雨季が好きです。」

ヘインはプノンペンにあるタヤマ実践カレッジという日本語学校の学生である。
そこの学生は一日の大半を学校で過ごし日本語を勉強する。
彼らは努力して日本語をみにつけ、流暢に日本語を話し、日本の文化を愛している。
しかし残念ながら彼らにはお金がない。
日本に行きたいと切実に願いながら日本にこれない人たちが、そこにはたくさんいる。

ぼくは彼にたくさんの質問をする。
カンボジアの好きなところは?嫌いなところは?おすすめの場所は?将来したいことは?
彼はどの質問にも丁寧に答えてくれる。ガイドブックに載っていないような些細なことから、様々なことを想像する。

カンボジアには知らないことがたくさんある。
世界には知らないことがたくさんある。

今度は彼が僕に矢継ぎ早に質問する。
あなたの住んでる街は?日本で行きたいところは?富士山に行ったことは?
彼の質問に答えながら、ぼくのなかにある考えが浮かび上がり、段々と確信に近づく。

日本にも知らないことがたくさんある。
近くにありながら見たことがなかったものがたくさんある。

何か新しいことを知ったときの胸のときめきは、なにごとにもかえがたい。
日々を意識して過ごせば、美しいものも、醜いものも、感動も、問題点も、ぼくらのまわりにころがっている。


まだ知らないことがたくさんあることを、ぼくは幸せに思う。

【文責 広報局1年 永井勇輝】